安西の発言から5日後。
4月某日
湘北高校体育館
キュキュ!!!
ダム、ダム!!!!
ザシュ!!
翌日に控えた合同練習試合に向け、練習に励むバスケ部員たち。
宮城 「よーーーっし!!! ラストーーー!!!!」
ランニングシュート、最後の一本。
桜木 「うらあああ!!!!」
ドガアアアア!!!!!
ワンハンドダンク炸裂。
彩子 「わお!」
晴子 「スゴイ迫力…!!」
桜木 「見たか! ルカワ!!」
流川 「見てねー」
彩子 「やれやれ……」
宮城 「OK!!! 集合!!!」
ダダッ!!!
宮城のもとにかけよる部員たち。
ポン
彩子が桜木の肩を叩く。
「気合い十分ね、桜木花道!」
ギン!
桜木 「トーゼン! 明日はこの天才が試合を制す!」
宮城、ニヤリ。 「フッ」
宮城の横には安西。
2人の前に並ぶ部員たち。
1年生の数は15人。この5日間でさらに減っていた。
キャプテン・宮城による猛練習に耐えかねて。
そして、1年生間のサバイバルからの脱落で。
例年とは違い、猛者たちが集まった湘北バスケ部、
同学年の選手の実力を見て自信をなくし脱落する者もまた多かった。
ある程度の自信を持ってここに来た者にとっては、
正比例するようにその挫折感も大きいのだ。
そして
―――楽しくバスケがやりたかった
決まり文句のようにそう言い残し辞める者も、やはりいた。
宮城 (ケッ、情けねえ…)
だが、残った1年生は、能力・メンタル共に充実した精鋭である。
湘北史上類を見ないハイレベルの新入生軍団がここに誕生していた。
安西 「フム。みんな、いい顔だ」
宮城が部員に指示を出す。
「今日はこれで上がりだ。明日に備えてゆっくり体を休めてくれ。
集合は朝8時、絶対遅れるなよ」
「ハイ!!!!!」
桜木 「オウ、オヤジ。なんかねえのかよ。監督らしいこと言えよ」
バシイイ!!!
彩子 「なにエラソーなこと言ってんの、アンタは」
安西、ひと言。
「ホッホッホ。桜木君、キミもチーム内の戦いに参加している
一人だということを忘れないように」
桜木 「ぬ?」
ザワ…
宮城 「よし!! 上がり!!!」
ゾロゾロ……
(なんか不気味なひと言だったな…)
(去年のスタメンの桜木さんが、戦いの中の一人って…)
潮崎が1年生に声をかける。
「1年、モップかけて!」
しかし、1年の返事は
「いや、自分たちまだ練習しますんで」
潮崎 「…!?」
ボールを取り出す1年生たち。
上がろうとする者は一人もいない。
さらに
ダム!!! キュキュ!!
潮崎 「?」
桑田、石井、佐々岡も居残り練習を始めだした。
潮崎 「…………。」
宮城 「シオ、上がりたいんなら上がっていいぜ。練習は終わったからな」
潮崎 「……」
宮城 「どーした?」
潮崎 「いや、まだ上がらないよ……」
3年生たちも緩めたシューズの紐をギュッと結んだ。
――この練習試合で、インターハイ予選への地固めを行います
(1、2年に負けてられるか!!)
「フッ」 宮城もボールを取り出した。
流川も黙々とシュート練習を続けている。
彩子 (ま、いつものことね)
桜木は、コートの隅で体操をしている。
例の怪我の後、練習後に欠かさず行っている日課である。
晴子 「どう? 桜木君、背中の調子は」
ピタ
動きが止まる桜木。
そして
ビッ! 親指を立てる。
「バッチリです!! 明日は完全復活した桜木をお見せします!」
(ハルコさんのために!)
晴子、ニコリ。
「ウン! 期待してるよ!」
(ハ、ハルコさん……!!!)
ギン!!
桜木 「フン!! フン!!!」
体操の速度を上げる桜木。
彩子 (コラコラ、それじゃ仕上げの体操にならないでしょ…)
その時
「桜木君」
安西の声。
桜木 「なんだ、オヤジ」
安西 「もう少し、動けるかな?」
桜木 「フッ、愚問を。スタミナの底なし沼に何を言っている」
「さすがだ」 安西、ニコリ。
そして、
「…と、荒石君」
荒石 「…?」
安西 「キミもこっちへ」
荒石 「あ?」
桜木、荒石が安西の前に立つ。
桜木 「なんの用だ、オヤジ」
黙って2人の顔を見ている安西。
荒石 「オイ、俺は今から親分の練習なんだ。さっさとしろ」
彩子 (誰が親分…!!!)
安西 「荒石君、身長は?」
荒石 「あ? 188だよ。なんだいきなり?」
安西 「桜木君は?」
桜木 「192。俺の勝ちだ」
荒石 「なにが勝ちだ、バカかオメーは」
桜木 「お? 負け惜しみかね?」
荒石 「黙れ」
安西 「2人とも大きいですね。では、リバウンド勝負をしましょう」
桜木 「ぬ…?」
荒石 「勝負…?」
安西 「2人の力を見比べてみたい」
桜木 「あ? 何言ってやがる。このリバウンド王がなぜ一年坊主と」
安西 「言ったはずですよ?」
―――キミもチーム内の戦いに参加している一人だということを忘れないように
荒石、ニヤリ。 「なるほど?」
桜木 「?」
荒石 「これに勝った方が、明日のスタメンってことだな?」
安西、ニコリ。
「ホッホッホ。始めますよ」
バスケ部の居残り練習は夜まで続いた。
新チームの初めての試合に緊張する者。
逆に、胸の高鳴りを抑えられない者。
静かに闘志を燃やす者。
至って平常心の者。
それぞれの思いを乗せたボールが、
コートで、ボードで、リングで跳ねていた。
彩子 「いい雰囲気ね」
晴子 「なんだかワクワクしてきました」
彩子、ニコリ。
「明日が楽しみね」
そして、翌日。
湘北高校、新体制による最初の試合の朝が来た。
続く
スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(282) へのコメント一覧
続きが気になります
仕事もがんばってください
アラシの発言の『なるほど?』って?マークいらないかと思いますー文章の流れ的に…
おもしろい作品なんで頑張って下さい〜
ずっとKさんの更新に待ちくたびれていました...。
これから湘北魂が高校総体国体、選抜、ユニバまでどーなって飛翔するかの生き様[花道、楓、荒石、天崎]が僕にとっては楽しみです!!
身体的疲労や精神的疲労も有りますけど、この先はKさんにしか突き進める事は出来ないと私は思います。
気ぃ張って休日更新頑張っていきましょう。
よろしくお願い申しあげます!!
一つ思ったんですが、映画の話でルカワの後輩がマネージャーとして来年入学するという話があったと思うのですが登場しないのでしょうか??
桜木と荒石のリバウンド勝負、熾烈なものだったんだでしょうね〜
試合での各選手がどう成長したか、楽しみです!
次回はいよいよ試合ですね!楽しみにしてます!!
更新頑張って下さい(^.^)
Kさん、絶対いい監督にもなれますよ!
嗚呼NBAもお願いします!
てか三連休連続更新してほしです。。。
スラダンの更新されるのが、今の生きがいです( ̄▽ ̄)
毎回気になる絶妙な加減o(≧∀≦)o
次も楽しみにしています!
インフルエンザも流行り出しました…健康管理に気をつけて下さい!!
よって、須形はかなりのガードなのではないだろうか??
更新頑張って下さい!
今年も楽しく読ませていただきます。
宜しくお願いします
桜木と荒石、どちらが勝ったのか気になります
桜木!負けるなぁ〜
次回も楽しみにしています
待ちくたびれましたよ…面白くなってきましたね
アラシも、やはりリバウンド強化からなんですね
リバウンドを制する者は、試合を制す!
次回も楽しみにしています
更新おつかれさまでした。
最初は内容の楽しさやテンポの良さが楽しめて
2度目はKさんの文才や細かい気遣いが発見されます
3度目は…
次を期待してます
荒石がかなり生意気ですね(笑)
安西先生が179話で言っていた、宮城、流川、桜木は次元が違うという言葉がどうつながってくるかがとても楽しみです。正直、桜木ほどの天才はなかなかいないと思うので、やはり主人公らしくプレーで荒石や一年生に力の違いを見せつけて欲しいです。
続きが気になる!
めちゃ気になる。
荒石188
流川は190くらいかなぁ
チョーきになります!!
荒石も桜木と特訓して急成長するのだね。
伝統再び…
荒石も安西先生に対してエラソーなんだ(笑)
ガンガン更新おねがいします!
しかもリバウンド練習を2人でやってるなんて、桜木がゴリに教わってた場面を思い出します。
これからも昔を思い出すシーンが出てくるんでしょうかねぇ?
Kさん最高です!
荒石のチップ…ですね…?
会場に着くと…
「なんじゃこりゃー!!!」←インターハイに向かう新幹線の中で組み合わせを見た時風。笑
で、そこには全国16強クラスのチームが。
「フォッフォッフォッ。私は県ベスト16とは一言もいってませんよ」
なんて展開にならねーかなぁ。
ならないか
どっちがスタメンか気になりますね〜(^O^)
もしや2人でリバウンドしたり?
はたまた2人とも出なかったり?
続き楽しみにしてます!
待ちくたびれましたよ・・・。
いい感じに緊張感のある湘北バスケ部の雰囲気が
わくわくしますね!!
毎回まぢ楽しみにしてます(^-^)v
恐らくリバウンドで、ジャンプ力とかは花道が勝つけど、他の部分で勝る部分があって、センター桜木じゃなく、センター荒石で、PFが桜木かそれか逆のパターンかなぁ?
気になる(-。-)y-゚゚゚
>>彦一さん
それありそう
さすがKさん!!
今年初の更新から最高ですね!
仕事も大変やと思いますけど頑張って下さい。
なんだかとても心地いい(>_<)
本当にスラダン読んでるみたいです!!
次回も楽しみにしています!!
すげーいいです!おもしろすぎです!!
続きがめっちゃ気になります!!!
更新楽しみにしています
途中の晴子の発言が不自然なような・・・
そう思ったのは自分だけですかね。
更新楽しみにしてます(^-^)
放任主義もいいけど、明日は公式試合じゃないとはいえ、今後を占う大事な日なのでは・・?
しかし花道との練習で荒石のディフェンスの能力がUPするのでは…
今回の話はなんとなくいつもよりはおもしろくないなぁー。。。
よって次回の更新早めにお願いします^^
>彦一さん
おもしろそう(^^)
同じ態度でも花道が好感もてるのは、素直で天然バカで可愛げがあるからであって、ただ生意気なだけなのはイラっとするだけなんだが
公式試合に遅刻するような選手を次の試合で使ってる監督であることを忘れてません?
小姑みたいに小言いうのやめません?
格下とのたかが練習試合で前日の練習をあからさまに軽くする強豪校なんて聞いたことないわ。
けっきょくみんな練習するから条件は全員いっしょだし。
それに厳しい練習を毎日続けてるとこなら、前日に練習したって翌日のパフォーマンスはそんなに下がらないよ。
公式戦を占うったってしょせんは練習試合だから練習の一環だからね。
「期待してるよ」より
「期待してるわ」のほうが
しっくりくる気が…
荒石が今後どのように成長していくかが楽しみです。
荒石のリバウンド特訓をしっかり見せずに、練習試合に話をもっていくなんて焦らしますね!