たくさんの現地の方と話をした翌日、
我々は被災地へ行きました。
沿岸部をクルマで走りました。
荒れ果てた土地、主のいない家屋、玩具のようにひっくり返った自動車などを
目の当たりにしながら、被災地を走りました。
猛烈に、なんともいえない後ろめたさを感じました。
東京のナンバープレートがついた、このクルマで、
この地の住民でもなく、この地に親類や友人がいるわけでもなく、
今からボランティア活動をするわけでもない我々が
ここを走っていいのだろうか。
時折、東北エリアのナンバーのクルマとすれ違います。
荒れ果てた地に立っている、おそらく現地の方を見ます。
その度に申し訳ない気持ちになってしまうのです。
彼らに何かを言われたわけではありません。
冷たい視線を向けられたわけでもありません。
でも、後ろめたいのです。
理由がないからだと思いました。
いま、ここに来る理由がないから。
仙台の街中には行ける。現地の方とプロジェクトの
打合せをするという理由があるから。
でも、被災地にいく理由はなかったかもしれない。
だから後ろめたさを感じてしまう。
となると、
なんの理由もなかったら、街中にすら行けないかもしれない。
夏祭りや花火大会の会場、観光地や飲食店にも行けないかもしれない。
あの3月11日以降、日本中のみんなが
「何かしたい」「自分にできることはないのか」
と考えたはずです。
募金だって十分な支援活動なのに、それをしても、でもなぜか
「自分が無力で悔しい」という思いに駆られる。
東北に行って何かしたい、彼らの応援になることをしたい、
でも、行っていいのだろうか。いま東北へ行こうとする
自分は偽善者なんじゃないだろうか。
1000近いコメントをもらった、あの夜、
被災地も含め、日本中のみんながこのブログに集まってくれたあの夜、
そんなみんなの思いがわかりました。
自分も思っていました。ブログで震災について何かを書く度に、
東北の方に向けて何かを書く度に、思っていました。
「偽善者と思われてもいいから云々」とわざわざ言う自分に対し
疑問の気持ちを抱くこともありました。
でも違うのです。
そこへ行く理由はあるのです。
我々は東北現地の方の声を聞きました。
「東北においでよ」と言ってくれるみんなの声を受け取りました。
東北への観光誘致をテーマとしたこのプロジェクトに、
東北のみんながうなずいてくれました。
元々首都圏を中心に販売する予定だった今回の雑誌は、
首都圏と共に東北の書店にも並ぶことになりました。
東北の書店様が「自分たちもこの本を売りたい」と
手を挙げてくれたのです。
「どうしても礼が言いたい」と、東北から我々の会社まで
来てくれた店長様もいました。また涙が出そうになりました。
もちろん現地の全員と話をしたわけではないので、
我々のプロジェクトに対し、違う気持ちを持つ人もいるでしょう。
今でもその葛藤は少しだけ、どこかにあります。
企画を説明して回った初日、ある夏祭りの実行委員の方に
聞かせてもらった話を思い出します。
彼らもまた、被災者に対する思いと、祭りを実行せんとする
自分の思いの間で少なからず葛藤があったそうです。
同じ県内でも、大きな被害を受けた土地と、
そうではない土地があります。彼らは比較的被害の少ない地の
住民でした。そこで葛藤が起きたというのです。
でも、被災した土地の方から「絶対に祭りをやってくれ」という
声をたくさんもらったと、彼らは言いました。心はきまったと。
もうやるしかないんだと。
いま、我々には彼らの気持ちがちょっとだけ分かります。
東京に戻り、媒体作成を開始した我々のもとに、
現地スタッフによる原稿、写真が届いてきます。
施設情報、イベント情報と共に現地の方の顔写真と
コメントが届いてきます。我々は取材時に顔写真と
コメントをとってもらうようオーダーしていたのです。
読者、ユーザーのみんなに、東北の声を届けたいから。
本当に東北のみんなが、笑顔で「おいでよ」と言ってくれています。
東北に行く理由はあるのです。
我々も心はきまりました。
東北への観光誘致のプロジェクトを胸を張って推進します。
WEBサイトのキャッチコピーは「東北に行こう」ではなく
「東北においで」にしました。彼らの声と共に、
この夏の東北の情報を皆さんにお届けします。
現地スタッフが書いてくれた原稿を、東北のみんなの笑顔を、
東北のみんなの声を、ぜひ見てください。
あの夜、このブログに集まってくれてありがとう。
たくさんの声を聞かせてくれてありがとう。
みんなと過ごしたあの時間があったから、
このプロジェクトのメンバーとして頑張れました。
7月14日 木曜日
雑誌「東北Walker」発売
WEBサイト「東北Walker」スタート
明日から、我々のプロジェクトが始まります。
宜しくお願い致します。
明日のリリースを前に、職場より
編集者・K
・東北Walkerプロジェクトについて
・雑誌「東北Walker」(発売日以降、在庫が入り次第購入いただけます)
・WEBサイト「東北Walker」

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東北のためにできること (後) へのコメント一覧
応援してますd( ̄  ̄)
被災者が観光者を望んでいるのは、明白な事実。
この記事なんですがミクシーやfacebookに載せてもかまいませんか??
ありがとう。
他に形容する言葉がしっくり出てこない。
なんかいいな
やっと、東北へ行く理由が見つかりました。
あの日から私は、偽善者暗鬼を拭えず、ここにコメントをする事をずっと控えていました。被災地から遠い地で、いつも通りの生活を続ける私が何を言おうと虚しく、葛藤を続けておりました。
「東北においで」という声がたくさん生まれている。きっと誰もが待ち望んでいた情報です。日本全国の、一人でも多くの人たちに、この事実を知らせてあげてください。一読者として、プロジェクトの成功を、心よりお祈り申し上げます。
長文失礼いたしました。
故郷なのに何もしていない自分がとても後ろめたいです。
夏は福島に帰ろう。無力な自分にできることはそれくらいだろう。
そして、みなさん、福島に来てくなんしょ!
素敵やん
瓦礫、瓦礫と言うけど、あの積み上げられた物の中には沢山の方達の思い出が詰まった物が埋まっている。思い出の写真であったり、大切な人からの手紙だったり。だから瓦礫と簡単に一言で言って欲しくないって。
それを聞いて確かにその通りだなと感じました。瓦礫って響きはあんまりよくないよね。
私は恐らく被災地に行くことは出来ないけど、何かしら出来ないかと考えています。
僕もこの夏は福島の実家へ帰ろうと思います。
売り上げの一部を寄付みたいなこともするんですか?
また、雑誌売上の一部は観光誘致企画に拠出することになっています。
みんな、コメントありがとう!
きっと東北は今と違った雰囲気になるとおもう。
いいですかね?
協力ありがとう!
そしてなぜだか涙が出てきました。。
私も募金しか出来なくてもどかしかったです…
東北ウォーカー、関東でも置いてますかね?
明日本屋さん行ってみます!
ぜひとも購入したいのですが。。。
僕は学生なんで明日本屋で買って、できれば夏休み行きたいです!
それと話し変わりますが
女子サッカーの談話室たてて下さい!
僕もこのお盆に宮城の石巻までおってきます。
叔母が被災し行方不明なのもありますが、大阪にいてなんか日本だけど少し現実がリアルじゃなくて、肌で感じ少しでも貢献できてらなと感じます。
歴史を紡ぐため少しでも活動が広がるように人力を尽くしたいと思います。
ありがとうございます。
何年間もブログ拝見させていただいています。
愛知県在住ですが、東北ウォーカーを買うことはできますか?
また、記事の最後に書かせてもらったリンクから購入可能です。
よろしくお願いします。
観光名所の地元も直接的な被害はなくとも訪れる方は大変少なくなっているようです。少しでもこの企画で賑わい・活気が出てくれると嬉しいです。
Kさんありがとう!発売したら是非買います!
私の会社の本社が東北の秋田にあり、以前お世話になった縁もあり今回の東北ウォーカーさんへの掲載の案内をいただきました。
残念ながら今回は会社ではご協力できなかったのですが、送っていただいた企画書を拝見し、こちらのブログを読み、きっとKさんがやっているのはこれだろうと思い、陰ながら応援していました。
いつも楽しみにしているブログを書いている方が東北のためのプロジェクトを進めてくださっていることと、そのプロジェクトに参加できないのは悔しくも少しでも触れることができて嬉しいです。
被災した知人や一度だけ土砂のかき出しで行って会った方の話を聞き、きっと東北は立ち上がります。
ささやかですが、応援させてください!
あの地震のニュースを見たときから東北に行きたいと思っていましたが自分にできることが思いつかず、
それよりも行動に移す勇気がなく今まで来てしまいました。
仕事もあるのですぐにと言うわけには行きませんがお盆に行けるように策を考えてみます!
Kさん、ボランティアがしたいです。
のっけ丼も食べたいしな。
東北は素敵な所いっぱい。
日本は強い国!!!!
微力ながら俺のブログに記事のっけてもいいでしょうか?
自分も今香川から福島に来て支援活動しています。
と感じました。
僕も今年の夏休みに大学主催の被災地復興ボランティアに参加するつもりです。微々たる事でもいいので東北のために自分が出来る事を探していきたいです!
夏に旅行の予定はなかったのですが、東北地方を検討したいと思います。
大変、素晴らしいことですが、あくまで原発がネックなわけで…
責任が持てるなら良いのですが、やっぱり直ちに健康に影響はでませんからね。
東北はホント自然がキレイで人もあたたかいし良いところ!
今年も行きたいなあ
頑張って頂きたいです。
ただこれに賛同した方。
被災地に「なんとなく」来るのだけはやめてください。
被災者の中には復興に力を注ぐ心と体の準備が整った人も増えてきました。
しかし、家族を無くし、今だ発見されず、悲しみで身動きが取れない人も沢山いるのが現状です。
警察等はまだまだ捜索活動を続けています。自営隊も復興のために駆け回っています。
その方がたの交通の円滑をいたずらに害するのだけはやめてほしい。
物見遊山で来て良い場所とそうでない場所の区別がつかない観光客が多いのが残念でなりません。
具体的目的の無い方は控えてください。
勝手な言い分ですがもうしばらくでいいので。
なぜかわからないけど、とても悲しくなりました。お盆の時期にちょうど東北に行く予定がはいっているので、色々回って来ます!!
Kさんの記事の用な言われ方をされると自分も東北に行って良いんだって思えてきた。
素晴らしい企画をありがとう
今の自分の周りは正直地震のことは過去のことになりつつあると思います。
何もやらない自分も嫌だし、偽善者ぶって募金だけしてる自分もなにか嫌でした。
忘れはじめた今だからこそこういうことが大事になっていくんだと思います。
Kさんぐらい影響力がある人が前向きな行動をしてくれることで、偽善者ぶった自分も行動にうつせます。
「東北においで」
俺に出来ることは広げること。そして東北に行くこと。
まだ始まったばかりです!
みんなでがんばりましょう!
いや宮城の一ノ蔵のお酒をたくさん飲んで、東北に行かなくても、役にたちますよ
たくさんの人に来てほしいです。
毎日の不安や苛立ちの中でこういう優しさが薬になります。
東北においでよ。
アリアス
ありがとうございます。
読んで感動しちゃいました。
私は岩手が故郷ですが、地震後まだ帰っていません。
故郷も内陸で、しかもその地で一緒に体験した訳ではないので、ずっといても立ってもいられない気持ちなのに何か茅の外という自分の中での気持ちと葛藤し続けていました。
こういう企画や東北のために動いてくれる人達を見ると感謝でいっぱいになります。
不謹慎かなと思いつつも、あれから東北の景色や懐かしい場所がテレビに写ることが多くなり、いろんな意味で胸いっぱいです。
内容はどうあれ、皆どんな想いも心配する気持ちが一緒なんだと思います。
その気持ちをずっと持ち続けていきたいです(^o^)
発売したら是非見たいです。
夏の東北に帰ります。
岩手山、小岩井農場だーい好きです。
先日ボランティアで岩手県沿岸の保育園で炊きだしをしてきました。
そこは平和で,みんな笑顔でしたが。
現地の人たちが,「被災地を見てください。写真をとって,
みんなにこの状況を知らせてください。」
と言われました。
実際,被災地を見て涙が止まりませんでした。
生活の跡が様様とのこってました。
理由なんて何でもいいんです。ただ知っていてほしいんです。
東北を盛り上げてくれてありがとうございます。
これから東北を代表する夏祭りが始まります。熱い夏が始まります。
みなさん,東北にぜひいらしてください!!!
夏の東北各県の祭りは1年の中でも大イベントです!!今年の祭りは並々ならぬ思い、心が入ってるはずです!!
ぜひとも東北へ!!
そんな浅い話じゃない。行けば分かる。