湘北 12
陵南 7
両軍ともロースコア。
湘北と陵南、全国屈指のフォワードコンビを要する
2チームのゲームとしては不気味ともいえる展開で
最初の10分を終えた。
ザワザワ…
「どうなるんだ、この試合。全く想像がつかないぞ」
「この2チームの対決で、こんな点数は予想外だ」
「次のクォーターで動くのか? それともこの流れのままなのか?」
不気味な空気は会場中に充満している。
インターバルの間も観衆のざわつきは収まらない。
『ビビーーーーーーーーーーー!!!!!!!』
2分のインターバルが終わった。
再び両軍がコートに戻ってくる。
湘北ベンチ。
パン、パン、パン!!
宮城がメンバーの尻を叩きながら声をかける。
「リードしてるのはウチだ。変な空気に飲まれずしっかり湘北の
バスケをやっていくんだぞ! 第2クォーターもリードで終えるぞ!」
5人が大声で呼応し、コートに向かう。
「オウ!!!!」
安田、天崎、流川、桜木、荒石。
スターティングメンバーの5人。
弥生 「湘北は最初の5人に戻ったわね」
町田 「安田と潮崎は時間を分けながら出る形か」
中村 「最初から凄い守備でしたもんね。半分の時間で全力を出すと」
陵南ベンチ。
仙道 「よーし、ここからだぞ。次の10分で逆転する」
「オウ!!!!!」
越野 「切り替えだ。次のクォーターはガンガン点獲るぞ!」
植草 「攻めよう、攻めよう!」
「オウ!!!!!」
植草、越野、仙道、福田、菅平。
1stクォーターの最後の5人。
町田 「対する陵南は変更後のメンバーのまま第2クォーターに臨むと」
中村 「この両チームの違いが、どう形に出るか」
弥生 「あるいは何も出ないか…」
陵南ボールからスタート。
越野のスローインを植草が受け取る。
植草 「さあ、一本!!!!」
「オウ!!」
だが、
流れは変わらなかった。
『ビーーーーーーーーーーー!!!!!!』
『24秒オーバータイム!!!』
「あああああーーーーー、また攻撃失敗!!!!!」
「ダメだ、両チームとも点が獲れない!!」
ゴール下でボールを持つも、シュートに行けなかった荒石、
「クソッたれ!!」
コブシを握りしめ、ディフェンスに戻る。
2ndクォーター 残り5分
湘北 20
陵南 14
洋平 「どうなってんだ、ホントに点が入らねえ…」
高宮 「流川も花道もどうしたってんだよ」
大楠 「いや、陵南もだ。あの仙道が全然目立ってねえぜ」
野間 「頼むぞ、湘北……!!」
仙道 「ふぅ…、難しいな」
陵南ボール。
植草と越野がボール運びを開始する。
「一本行こう」
「そろそろ何かが動くか?」
「どっちが流れを掴むんだ?」
どよめきのなか、2ndクォーター折り返しの時間に入る。
田辺 《両軍とも思うように得点を重ねられません》
陸川 《我慢の時間が続きますね。互いにペースを掴めません》
田辺 《第1ピリオドで湘北の時間もあったんですがね》
陸川 《継続できませんでしたね。もう一つ決め手に欠けたのでしょう》
その頃、
会場エントランスに二人の男。
「なんか、思ったより静かですね」
「ああ、そうだな」
神宗一郎 & 清田信長。
神 「普段は会場の外まで歓声が聴こえるくらいなんだがな」
清田 「どうせシケた試合してんでしょ、アイツら」
神 「どんなゲームなんだ、ちょっと気になるな」
ギィィ
清田が客席への扉を開ける。
清田 「ん?」
やはり歓声は聴こえない。
あるのは小さなざわめき。普段とは明らかに違う空気。
神 「静かだな」
清田 「どういうことだ…?」
電光掲示板に目を向ける。
2ndクォーター 残り4分
湘北 20
陵南 14
神 「20対14…!!?」
清田 「第2クォーター残り4分で…!?」
「待てよ、確か……」
清田、キョロキョロと会場を眺める。
「あ!」
客席通路の立見客の中に、頭ふたつ飛び出た長身を発見。
駆け寄り、声をかける。
清田 「一ノ瀬!」
頭ふたつ飛び出た長身の男、一ノ瀬、
「清田さん、遅いですよ」
横には、海南の1年生メンバーが数名いる。
清田 「どういうことだ、何なんだこのロースコアは」
一ノ瀬 「ええ、ちょっとヘンなゲームになってまして…」
同時に1年生メンバーがスコアブックを渡す。
「これ、ずっとつけてたんですが…」
ビッ!!
福田のミドルシュート。
ガン!!
リングに嫌われる。
「やっぱりダメ…!!!!」
「点獲り屋の福田も今日はサッパリだ…!!!」
神 「“やっぱり”…?」
(なるほど、今日はそういうゲームになっているのか。
この2チームは体験したことない展開かもしれないな…)
スコアブックとコートを交互に眺める清田。
「なんてつまんねえゲームだ…。これが決勝かよ…」
横からスコアブックを覗く神。
「序盤に仙道がフリースローを一本外してるな。
最初からこのペースで進んでいるってことか」
コートの動きは変わらない。
ガッシイイ!!!!
『ピピーーーーー!!!!!』
『白・5番!!(越野)』
シュートモーション中にファウルを受け、
フリースローを得た天崎。
ガン!!
2本目を外す。
天崎 「あああっ……!!!」
桜木 「コラアア!! 決めろ!!!」
宮城 「入らねえな、チクショウ…」
彩子 「ずっとこんな感じね…」
清田 「ヘタクソが…!!」
(まあ、俺もそんなに得意じゃないけど)
神 「いま、入らない空気があったな」
清田 「え…?」
少々驚いた表情の一ノ瀬。
「さすが神さん。そうなんですよ、いろんなシュートに対して
さっきからなんとなく“外れる気がする”んですよね」
1年生メンバー、うなずく。
「自分もです」 「僕もそんな気がしてます」
神 「この空気が続くとよくないな。互いに持ち味が発揮できない」
清田 「なるほど…」
(神さん、ちょっと見ただけで、その「空気」を察知したのかよ…)
田辺 《陸川さん、何か打開策はあるのでしょうか》
陸川 《やっぱり攻め方に変化をつけることでしょうかね》
田辺 《変化といいますと?》
陸川 《ここまで両チームに共通して欠けている部分があります》
神 「外からの攻撃だな」
そして、陵南ベンチに動き。
田岡 「彦一、準備しろ」
続く
スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(684) へのコメント一覧
連絡ありがとうございます。
※自分で考えたキャラなのに(苦笑)
面白いように決めたら凄いことになるけどね
ホントに不気味な展開。
でも、実際ありそうですね^ ^
陵南の彦一の投入で、変化が出て来るのか?来ないのか?
楽しみにしています。
なるほど‼
ここで彦一か‼
大事な場面で決められるかな?
3Pが必要なら、野茂も入るかな?
そしたらまた流川がPGかな
全然展開が読めないな‼
いつもながらすごく面白いです‼
次の更新も楽しみに待ってます‼
クイックリリースが使い物になってんのかなぁ(°_°)
その点、外の攻撃で彦一が起用される陵南。ここで彦一活躍できるのか?!
彦一が流れを変える”外”ですか⁉︎
彦一、三井、神を超えろ!!
要チェックや!!!
え、ヒコイチ?また30秒とかじゃないですよね(笑)
こういうゲームの時って選手はどんな精神状態なんでしょう。
昨年のウインターカップでこんな試合を見ましたが、私のようなバスケ素人でも変だなぁ、と思ったんです。
なので、とてもリアルな感じで読んでおります。
「あのシュートさえ決めていれば…」なんて。それが現役最後の試合だったらなおさら。
そしたら、野茂も、かな
彦一か……
自分バスケやってたんですけど…
普段シュート外す選手って
こういうところで決めるんだよね(  ̄▽ ̄)
彦一!!
なるほど!!!
そしてKさん、いつもありがとうございます!!
神さんが
「この2チームは経験したことない
展開かもしれないな…」
といっている
てことは
神さんor神さんの知ってる人で
こういう展開があったてこと(゜〇゜;)?????
(設定上だけど…)
「経験」ではなく「体験」でしたね
要チェックや‼︎
更新あざっす!
ここからの展開が気になります!