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  • 2018年09月21日14:56

自分を信じることの大切さについて 〜山本KID選手の訃報より〜

2018年9月18日、悲しき訃報。

格闘界のスーパースターがこの世を去りました。


山本“KID”徳郁。


レスリング、総合格闘技、キックボクシング、
様々な舞台にて、小さな体で大きな輝きを放ち、
日本格闘技界の第一線を突っ走った男。

とにかくカッコいい男でしたね。
その戦い方も生き様も。


悲しいニュースが飛び込んできたあの日、
ふと、動画サイトで彼の戦いぶりを見返してみました。


改めて思いました。


自分強さを信じて、
自分の戦い方を貫いていたな、と。


魔娑斗戦、須藤元気戦、宮田和幸戦etc...
いろんな名勝負がありますが、

わしは、ホイラー・グレイシー戦が
特別な記憶として残っています。

いや、もうその頃のホイラーは結構なオジサンで
全盛期は過ぎていたと思いますし、

その前にとっくに桜庭や須藤が倒していた
(しかも、わりと圧倒的に)相手なので、
それほどの大勝利ではないのかもしれないですが、

なんというか、こう

「グレイシー? 知るかバカ」
みたいな、絶対的な“格上”感を感じたんですよね。

※実際「俺だって“山本”を背負ってるから」
って、インタビューで言ってましたね


格闘家には様々なタイプがありますが、
極端に大きく分けると「打撃型」と「寝業型」の
2種類があると思っています。

「ストライカー」と「グラップラー」と
言ってもいいかもしれませんね。

キッドはレスリングがバックボーンにありながら
強烈な打撃も持ち味だったので、どっちに属すのか
よく分かりませんが(笑)。


当時のグレイシー一族は「寝業型」の頂点のような
イメージ・オーラをまとった戦士の集団でした。

だから、彼らと同じリングに立つファイターは
「捕まったらやられる」「寝たら負ける」みたいな
空気感のなかで戦っていました。


そうなると、どうしても打撃に腰が入りにくい。
大きなモーションの攻撃がしづらい。
隙を窺う間合い戦の時間が増える。

どうすれば、グレイシーに捕まらずに、
自分のフィールドを保って戦えるか、という、

ある種、マイナスからのスタート
(そもそも不利、という前提アリキで、
どうすれば対等になれるか、という思考)
ともいえる選択をしていた気がするのです。

※昔の話ですよ。10年・20年前の格闘技界の


キッドは違いましたよね。

「なにがグレイシーだ、俺の方が強ええよ!
ブッ倒してやるよ、オラアアアアア!!!」
とボコボコ殴りに行く、あの戦い方。

んで、グレイシーを失神KOしてしまうという。

「はい、俺の方が強い〜!」
という、ふてぶてしい勝ち方。


あれに痺れたわけです。



で、

最近思うんです。


このキッド型思考の戦い方ができる
日本の選手・チームが増えてきているな、と。


記憶に新しい2018W杯、

日本はベスト16で惜しくも散ってしまいましたが、
わしはあの戦い方に感動しました。

セネガルやベルギーを相手に、
普通に自分たちのスタイルで挑んだということ、
そしてそのやり方で勝ち点を掴んだということに。

以前の記事でも書きましたが

「普通にやったら負けるから、守備的に戦って
ロースコアの展開で少ないチャンスに賭ける」

「攻められると怖いから、中盤は守備的に行き、
前線の選手も得点力より献身的守備を重視」

みたいな形が、W杯や国際試合における
日本の戦い方で、実際かつては
そういう戦術の時のほうが戦績がよかったり。


でも、西野監督はあのW杯で、
中盤に攻撃型の柴崎を置き(守備も強かったけど)、
前線には得点力を期待した選手を並べ、
ボールを保持する時間を増やして戦うという、
日本の強さを信じる選択をしたんですよね。

そのやり方でも決勝トーナメントに行けたわけです。
で、大会ベストゲームともいわれる凄い試合を
ベルギーとの一戦で見せてくれたわけです。


先日、鮮烈デビューを飾った森保ジャパンもそう。

なんかもう、自分たちのほうが上手い、強いと
思いながら戦っている雰囲気でしたよね。

ボールを持ったら、まず仕掛けに行くあの姿勢、
「ミスなんかしねえよ」とばかりに
狭いスペースでもボールを繋ぎに行く姿勢、

あれが頼もしいんですよね。
ワクワクするんですよね。


現在快進撃中のバスケ日本代表も同様。

「高さでは不利だからこうする」
「フィジカルで劣るからこうする」
「まともにやったら勝てないからこうする」

と、これまでマイナススタートの思考だった日本が、
普通に1対1を仕掛け、インサイドの戦いも挑み、
そして、勝ち星を増やし続けています。

八村、渡邊という20代前半の若者たちが、
海外勢を相手に対等以上のマインドで戦っています。

そうなると「イケる」という空気が生まれるのか、
ベテランの竹内らの動きもよくなり、
ガンガン行き始めるという、プラスの化学反応も。


それで勝つんですから、
やる方も見る方も、断然気持ちのいい戦い方です。


様々な競技において、
我々日本人は、日本のチームは、

「人種的にフィジカルでは勝てないから」
「相手の方が体がデカイから」
「どうやれば相手の持ち味を消せるか」
「相手のほうが強い、自分たちは格下」
「普通にやったら負ける」

というマイナス地点からのスタートだった、

わしはそう思っています。


そんななか、そうじゃない競技者が
これまで各時代に何人か現れ、
特別な存在となり、歴史を変えてきた、と。


サッカーなら、ラモス、中田英、本田など。
野球なら、野茂、イチロー、松井など。
格闘技なら、桜庭、魔娑斗、キッドなど。

そして、バスケ界にもいよいよ
マイナススタートではない人間が現れています。


そしてそして、次のステージ、

「マイナススタートではない競技者」のほうが
多い、という状態になったらばーーー

世界的に既に頂点レベルの野球は当然ながら、
サッカーも次のステージに行き始めています。

森保ジャパンが醸し出すあの空気は、
つまり、マイナススタートではない側の人間が
もはやスタンダードになっている、

ということではないかと思うのです。


そこで大切なことが、
今回の記事のタイトルにある
「自分を信じる」ということ。

わしはそう思っています。


「自分」を「信じる」と書いて、
「自信」という言葉になります。

日本のナショナルチームを見た
多くの外国人監督が、日本のことを
「自信がなさそう」と言ってきました。

ホントにそうだったんでしょう。


でも、
山本“KID”徳郁という男からは、そんな雰囲気は
微塵も感じませんでした。

自分を信じていた男だったんだと思います。


うーん、
思えば、スポーツに限らず、普通に仕事してても
そこが一番大事なんじゃないのかな、っていう。

また、自分がミニバスの指導者をやってるなかでも
やっぱりそう思いますね。


自分を信じることの大切さ。


キッドの訃報を聞き、いろいろ思い出し、
ちょっとそんなことを考えちゃった、
というハナシでした。


ではでは。



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自分を信じることの大切さについて 〜山本KID選手の訃報より〜 へのコメント一覧

  1. 1.
    • ヒロ
    • 2018年09月21日 16:01
    • 5
    KIDが自分と同じ年齢なので、あの自信の振る舞いで、自分は何でこんなものに悩んでいるのか?と言う日も沢山あり、自分を鼓舞した事も多々あります!
    自分を信じる。信じてあげる。大事な言葉ですね。自信はやはり、経験や、結果がもたらすものが多いかなと思うので、まずは、何事もチャレンジしなきゃいけない!と思います。
  2. 2.
    • けい
    • 2018年09月21日 22:02
    KさんならきっとKIDの事を書いてくれると思ってました。
    ヒールで登場してこっちがイラっとした中ででもスカッと心地よいファイトスタイルを当時は魅了されたの事を今でも覚えています。
    ご冥福をお祈りします。
  3. 3.
    • はるまき
    • 2018年09月22日 00:05
    ほんとに共感します。
    たまに自信なくなったり情けないことあるけど、こういった先人たちが日本をまだまだ諦めさせないんですよね!
  4. 4.
    • 雪の大魔王
    • 2018年09月22日 06:50
    個人的には、Kー1デビューとなった村浜戦で、ダウンした村浜に尻で乗ろうとしたり、総合の試合でレフェリーに止められた後も相手を殴り続けたり、悪いイメージしかなかったなぁ。

    そんなキッドの印象に残ってる試合と言えば、負けたけどザンビディス戦だったりします。




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