「はぁ、はぁ、はぁ…」
湘北高校に向かって走る、一人の女子高校生。
ザッ、ザッ、ザッ…
「ふぅ、ふぅ、ふぅ…」
同じ場所へ向かって走る、男子高校生。
二人は校門の前で、バッタリ会った。
「あ…!!!!」
彩子 「あら、陵南の…!」
彦一 「湘北のマネージャーさん…!!」
彩子、ニコリ。
「もうマネージャーじゃないわよ。
今日も受験勉強してたんだから」
彦一 「そ、そうでしたね…」
(よう見ると、キレイな人やな…)
彩子 「どうしたの? また得意の偵察?」
彦一 「いいですかね…?」
彩子、クスリと笑い、
「どうせ、ダメって言っても見るんでしょ。
先生に話せば大丈夫よ、いらっしゃい」
彦一 「は、はい…!!」
ポーーーー、
赤面の彦一。
(この人…、カッコええわ…)
そして、体育館に入る。
「来たあああーーーーーーーー!!!!!」
瞬間、歓声。
彦一 「ん…!!?」
コート上には、
リングにぶら下がる桜木と、
フロアに尻もちをつく三浦台選手。
ドスン!!
桜木、着地。
レフェリーがコール。
『ファウル、白5番!!』
『カウントワンスロー!!!!』
湘北ベンチ。
「いよーーーしゃああーーーー!!!!!!」
石井 「来た来た来た!!!!」
佐々岡 「今日、2本目!!!!」
彦一 「なんや、なんや、えらい盛り上がりや」
すかさずスコアボードを確認。
前半 残り5秒
湘北 58
三浦台 17
彦一 「あ、圧勝ペースや……」
荒石 「ひゅ〜、絶好調だなキャプテン」
天崎 「ホント、スゴイや…」
ギロリ!
桜木、尻もちの選手に睨みをきかせる。
「ハルコさんに下品な言葉をかけおって。
この桜木が成敗してくれる」
「ヒ、ヒィィ…!!!」
(なんだよコイツ、超怖えよ…)
ベンチの後ろから声を掛ける彩子。
「リョータ!」
「ん?」 宮城、振り向く。
彩子 「どうやら絶好調みたいね!」
宮城 「アヤちゃん!」
さっと、ひと席横にズレる。
彩子 「いいわよ、私は立ち見で」
宮城 「そ、そう…?」
そして、
『ビビーーーーーーーーーー!!!!!!』
前半終了。
湘北40点以上の大量リードで折り返す。
彩子 「凄いじゃない、桜木花道!!」
桜木 「お、アヤコさん!」
晴子 「そーなんですよ!!みんな凄いんですよ!」
彩子 「来年(来年度)も安泰ね、この調子なら」
晴子 「来年……」
途端に目が潤み始める。
桜木 「……!!?」
彩子 「ど、どーしたのよ…」
晴子 「だって、来年は彩子さんがいなくて…」
彩子 「………。」
(この症状、早く治さないと…)
晴子 「グスッ…」
桜木 「……。」
ただ、オロオロするだけ。
そして、
こちらでも、しばらくぶりの出会い。
彦一 「宮城さん!」
宮城 「お、陵南の」
彦一 「新チーム、チェックさせてもらいまっせ」
宮城 「相変わらず熱心だな、お前」
チラリと安西のほうを見る。
安西、ニコリ。
「いいでしょう。ゆっくり見ていってください」
彦一 「ハイッ!!!」
(ああ…、心の広い監督や…)
宮城、ニヤリ。
「ウチのゲーム見て、ビビんじゃねえぞ」
彦一 (上機嫌やな、よっぽど調子がええんやな)
しかし、
数秒後に空気が変わる。
彦一 「あのマネージャーさん、ええ人ですね」
宮城 「ん? 晴子ちゃんか?」
彦一 「いえ、あの3年の、元マネージャーの」
宮城 「ああ、アヤちゃんか」
彦一、ベラベラとしゃべり始める。
「優しいし、なんか雰囲気もカッコええし、
あと、よう見るとキレイやし」
宮城 「あ…?」
彦一 「…!?」
宮城 「よう見ると…?」
彦一 「い、いや……」
(なんや、なんや、なんや…!!?
急に不機嫌になったぞ…!!?)
宮城 「テメエ、何しに来た」
彦一 「し、試合のチェックに…」
宮城 「成敗するぞ」
彦一 「…!!?」
(なんでや…!!!!)
ゲームは、そのまま湘北が圧倒し続けた。
ザシュ!!!!
「よーーーっし、流川!!!!」
「さすが流川さん!! 早くも30点!!」
バシイイ!!!!
「おおおーーー、ナイス荒石!!」
「これは3代目ハエ叩きか!!?」
桑田 「スゴイや、ホントに…」
(俺が同じコートに立ってるのが
不思議なくらいに…)
天崎 「桑田さん、ディフェンスっす!!」
桑田 「お、おう…!」
天崎 「桑田さんのアシストも冴えてますよ!」
桑田 「…!!?」
天崎、手を叩く。
「さあ、ディフェンス一本!!!!」
桑田 「天崎……」
(後輩に励まされちゃったか。
もう貫録十分だな、凄い1年だ)
しかし、ベンチでは、
宮城 「うーん……」
(桑田もよく頑張ってるけど、もうひとつ
パンチが足りねえなあ…)
腕を組み、ブツブツとつぶやく。
(それにPGはバックアップが薄いんだよな。
来年どんな1年が入ってくるか、大事だな…)
その後、
湘北は、選手を代えながらも
リードを広げ続けた。
まさに、完勝のゲームとなった。
『ビビーーーーーーーー!!!!!』
湘北 102
三浦台 41
うつむいたまま、体育館をあとにする三浦台。
(次元が違い過ぎた…)
(俺たち、こういう役目なのか…)
(毎年都合よく使われている気がしてきた…)
試合前の威勢の良さはどこへやら。
桜木 「カッカッカ、成敗完了!」
荒石 「なーに言ってんだか」
ビクッ!!
彦一 (成敗…!!)
晴子 「桜木君、初戦勝利、おめでとう!」
桜木 「ハルコさん!!」
晴子 「カッコよかったわよ、新キャプテン!」
桜木 「…!!!」
(カッコよかった…!!?)
ほんわぁぁ〜〜〜。
高宮 「あれは変わらないんだな」
大楠 「一途な奴だ」
晴子、続いて、流川にタオルを手渡す。
「お疲れ様、流川君」
流川 「サンキュ」
タオルを受け取る。
晴子 「……!!!!!!」
(サンキュ…!!?)
クラッ……
よろめく晴子、
支える彩子。
「あらあら……」
桜木 「……!!!!!」
(ハ、ハルコさん…!!!)
高宮 「あっちも変わってないぞ」
大楠 「これまた一途なんだな」
野間 「道のりは険しそうだ」
ニヤニヤニヤ
コート内もコート外も、
いままでと似たような空気の中、
湘北の初陣は圧勝劇で幕を閉じた。
彼らの空気が変わるのは、
次の春だった。
続く
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スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(808) へのコメント一覧
恒例の入部をかけた、たたかいあるのかなー
楽しみすぎる!
再開してくれてうれしいです。
これからも楽しみにしてます。
ついに須形登場でしょうか。
もうひと波乱あるかと思っていました。
リョーちんが言うようにPGがどうなるのか春の新人が楽しみだ!!!!!
お誕生日くらい休んでいいんですよ…
でも更新されたから嬉しい笑
いよいよPGのあいつの登場ですね!
ずっと楽しみに待ってましたよ!
桑田には須形とは違ったPGとして頑張って欲しいです(^^)
顔のわりにえげつないパスを。
こうなってくると、スガタ君がたのしみですねー✨
遂に須形登場ですかね?
山王や海南からも欲しがるプレイヤーであることを祈ります!
次回も、楽しみにしています。
そういえば大学編では彩子さん登場していませんが、やはり偏差値の高い大学に進まれるんですかね?
ポイントガードで3ポイントもバシバシ決めるみたいな選手かな
かなり期待してます。
さて、いよいよ新年度
新入生の入部楽しみにしています。
アヤコさんみたいな人がいないと物足りないからなぁ
宮城よりも3Pの上手い男!!
桜木・流川世代はどれくらい…
ユニバーサードは…
晴子が新しい一年のスガタに一目惚れする!?
キャプテンはどんでん返しがあると思っていたのですが、やっぱり桜木だったのですね。
来年には須方君が登場するのですね!
どんなキャラかどんなことしでかすのか、今から楽しみです。
花道キャプテン体制の湘北はどうなるか楽しみです。
まさか彦一が彩子さんと絡むとは!
原作には無かったので、全く予想してなかった…
Kさんの発想には恐れ入ります!
ミッチーと渡邊拓也の出会いと、仙道の社会人リーグデビューも期待してます!
須方君の登場ですね!!!
本気の!
結ばれればいいなあ♡
キャプテン花道カッコいいです!
個人のライバルといえるのは、野ザルこと信長
一の瀬くらい、桜木・流川・荒石・天崎を抱える湘北は
神奈川では無敵なんじゃ?
読み返しますorz
次の神奈川予選は新たな強豪校を出して欲しいです。激戦区神奈川を謳う割には強豪校の数が少なすぎるので準々決勝あたりになると対戦カードの組み合わせが同じようになることが多いので、少しマンネリ気味になってしまいます。
出来れば現4強(湘北、陵南、海南、翔陽)のいずれかを倒して新たに決勝リーグに勝ち上がるまだ無名だった湘北のようなチームが出てきて欲しいです。
新章、楽しみにしています。