今回はこれまでと少々違う角度からチョイス。
複数チームを渡り歩き、
5つのチャンピオンリングを持ちながら、
数字を見てもその凄さが分からない。
そんな選手をピックアップします。
ここまでなら、以前紹介したオーリーと
似たようなキャリアかもしれませんが、
しかし今回紹介する選手は、
そのオーリーのような劇的場面の
ハイライトフィルムを作ることもできません。
5度の優勝に貢献したキャリアの最盛期に
華やかなプレーを披露していないのです。
いうなれば、
最高レベルの「脇役」。
今回紹介する、ロン・ハーパーは、
そういう選手なのです。
得点、アシスト、リバウンド、ブロック、スティール
などなど、NBAでは様々なプレーに対して
「数字」が記録されます。
が、そのいずれの部門においても、
最盛期のロン・ハーパーには
目立った数字がありません。
能力がないのか、
いえ、そんなことは決してありません。
彼は元々20点以上獲れるチカラを持っています。
でも、最盛期の彼は違う形で活躍したのです。
順を追ってみていきましょう。
ロン・ハーパーは、
86年のドラフト、1巡目全体8位で
クリーブランド・キャブスに指名され
NBAのキャリアをスタートします。
因みにこの年の1位は、ブラッド・ドアティ。
以前紹介したオラジュワンらと並び、
「NBA四大センター」と呼ばれた時期もありましたが、
なんかいまいちパッとせずに終わった男。
ほか、上位には後にスーパースターとなる
選手は名を連ねておらず、
逆に2巡目のほうに、
マーク・プライス、デニス・ロッドマン、
ジェフ・ホーナセックなど、
未来の好選手が並んでいるという、ヘンな年。
ついでに言っておくと、
1巡目の15位に、デル・カリーという名前が。
「誰それ?」という顔のそこのアナタ、
今をときめくステフィン・カリーのお父さんですよ。
そこんとこ、よろしくメカゴジラ。
そして初年度から1試合平均22.9点を記録。
これは大変素晴らしい数字ですよね。
優秀なルーキーだったということが分かります。
その後LA.クリッパーズに移籍しますが、
そこでもまずまずの活躍を見せました。
エース的な役割を担っていた印象です。
当時の彼はおおよそ20得点が出来る選手でした。
普通にグッドプレイヤーですよね。
身長198cmのガードプレイヤーで、
運動能力にも長けており(怪我して鈍ったけど)、
なんというか「ジョーダンの下位互換」みたいな
選手だったというと分かりやすいでしょうか。
※実際、シルエット的にはよく似てました。
同じ身長で同じスキンヘッドで。
解説の塚本さんが「よく間違える」って言ったくらい
そんな彼に大きな転機が訪れるのは、1994年。
ジョーダンの1度目の引退により
チーム力のダウンを強いられた
シカゴ・ブルズが、彼を獲得するのです。
当然ながらジョーダンのようなプレーを
期待されたことでしょう。
ええ、ジョーダンの下位互換ですから(笑)。
ところが、いざ入ってみると、なんかイマイチ。
期待された活躍が出来ません。
なにしろ初期三連覇時の洗練されたブルズですから。
途中から入っても噛み合わないんですよね。
※ていうか、ジョーダンの代わりとして期待通りに
活躍できる選手を探すほうが難しいわけですが
というなか、翌年には、
マイケル・ジョーダンが復帰してしまいます。
わお! ヤバイ、ヤバイ!
ジョーダンの代わりとして入団し、
そしてなかなか活躍できなかった選手にとっては
これ、最悪の事態ですよね。
当たり前ですが、ジョーダンを押しのけて
自分がシューティングガードの位置に入るなんて、
できるわけありません。
もう、ポイッとされちゃう可能性大ですよ、これ。
が、フィル・ジャクソン監督はそうしません。
「キミキミ、オフェンスはいいから、
ディフェンスをやってくれたまへ」
そう指示するわけです。
ジョーダンとピッペンがいますから、ブルズには。
控えにもシュートに長けたクーコッチやカーがいて、
まあ、間に合っていたのでしょう、攻撃面は。
スラッシャーとしての力やミドルレンジの1対1では、
ハーパーよりもジョーダンの方が圧倒的に上、
かと言って、ハーパーは長距離砲でもない。
ピッペン、クーコッチ、カーの方が優秀。
ていうか、
シュートはあまり上手くなかったからね、ハーパー。
中長距離を外す場面は何度も見たし、
あっさりレイアップを落とすこともあったり。
あろうことか、ダンクをミスったことも。
※あのダンク失敗の時、ジョーダンがアホみたいに
大笑いしたんだよなあ、あれ、名場面だな(笑)
だから、ディフェンス。
そこにチカラを注いでくれよ、と。
これがまた大当たりですよ。
すごいのですよ、ロン・ハーパー。
元々素晴らしい身体能力の持ち主なうえに、
バスケIQも優秀。読みや判断力にも優れ、
相手チームの司令塔やシューターをピシャリ。
彼の最盛期は、ポイントガードのポジションを
務めることが多かったのですが、
その位置としては198cmという身長は大きな
アドバンテージになりますし、
なんといいますか、いい意味でも悪い意味でも、
「ポイントガードなのに〇〇」という面が
多い選手でした。
いい面は、
ポイントガードなのに、サイズがある
ポイントガードなのに、リバウンドが強い
ポイントガードなのに、インサイドも守れる
悪い面は、
ポイントガードなのに、シュートが苦手
ポイントガードなのに、ゲームコントロールしない
そんな感じでしょうか。
※悪い面、ケッコー致命的だな(笑)
この人、ポイントガードなのに、
アウトサイドシュートが苦手で、おいおいおい、
と思いきや、ビッグマンに競り勝って
リバウンドダンクかましちゃうこともあったり。
セオリーから外れた男ですよ、ホント。
横も縦も守れるスピードと頭脳があって、
ポイントガードの中では空中戦は最強の部類。
智将フィル・ジャクソンは、
彼の長所を引き出すことに成功したのです。
そう考えると、
当時のブルズって、ディフェンス最強だよなあ。
ジョーダンは得点力が一番目立ちますが、
ディフェンスの名手としても有名です。
ピッペンはNBA史上最強ともいわれるほどの
超スペシャルなディフェンダー。
ロッドマンはご存知、歴史に残るリバウンド王。
そして、ディフェンスの駆け引きの天才。
そして、このロン・ハーパー。
みんな同じような身長なので、
ローテーションしても穴が空かないというのも
相手からすればしごく厄介。
そりゃ優勝するわ。
ということで、
ブルズは二度目の三連覇を果たします。
そして、
ジョーダン引退&フィル・ジャクソンの退任により
ブルズ王朝が解体となったあとは、
そのフィル・ジャクソンが移ったLA.レイカーズへ。
ここでもまたハーパーは
スーパーディフェンダーっぷりを発揮します。
キャリアを積んだ彼は、身体能力だけでなく
いぶし銀の巧みな駆け引きも身に着け、
守備面ではドンドン穴のない存在に。
チームの主役はシャック&コービーの
最強コンビですので、彼はやっぱりここでも脇役。
でも、欠かせないんですよ、こういう人が。
フィル・ジャクソンが呼び寄せたという事実が
彼が優勝のために欠かせないピースであることの
何よりの証明なんじゃないでしょうか。
その守備力と、いぶし銀のプレースタイルを武器に
彼は5度も優勝します。棚ぼたじゃないですよ。
5度すべて控えではなくスターティングPGですから。
数字だけを見ると、
若い頃は凄い点取り屋だったのに、
後に衰えてしまったように見えるかもしれません。
でも実際は全然違っていて、
個人実績の数字が小さくなってからが
彼の全盛期だったです。
史上屈指の名脇役、ロン・ハーパー。
彼もまた歴史的な名選手といえるでしょう。
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動画サイトをウロウロしてみても、
名脇役としての彼のハイライトフィルムが
ないんだよねえ…。
ようやく見つけたのがこれ。
守備センスと身体能力に注目!
↓
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嗚呼、NBA名選手/ロン・ハーパー へのコメント一覧
ここんとこ盛り上がってないんで…。
わりと待望論はもらうんですが、その待望論を出した人すら書き込んでくれないパターンもあり(笑)
>>1
> 今日は代表戦の談話室無いんですね…。残念…。
自分も大好きですw
あの頃VHSでNBAみてました。トライアングルオフェンスはロン,ハーパーあってのもの。コービー、シャックのレイカーズでもですね
今度はロバート パリッシュなぞいかがでしょう!
次の世代かな、サクラメントやブレイザーズ、インディアナのレイカーズに挑んでいった世代の話でKさんの当時の思い出話あったら是非拝見したいです!!。
ロンハーパーは懐かしいですね。
NBA屈指のロールプレイヤーでありながら、シカゴ、ロサンゼルスでリングを勝ち取っていた…まさに優勝請負人でしたね。
スティーブカーやデリックフィッシャーが好きだった私にとっては、それでもスタメンを張る、ある意味特別な選手でした。
膝を怪我して得点能力が落ちたにも関わらず、腐らずディフェンダーとして復活して活躍する姿、あのJordanに見間違えんばかりの容姿でハラハラさせるシュート、その中で時たま輝くオフェンス能力、燻し銀のスーパーディフェンスにポイントガードとしてのセンスのなさ、親しみのもてる優しそうな表情や笑顔、独特の喋り方、哀愁の漂うあの背中。
ブルズ時代はJordanあってのHarperだったのでしょう。本当に1年目は酷かったですもん。
バッシュもジョーダン?
次は、ブレントバリーお願いします!!!
宜しくメカゴジラ♪