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デリック・ローズという男
(2011年5月5日配信)
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史上最年少でシーズンMVPに輝き、
圧倒的な存在感を示した、
当時22歳のスーパーポイントガードを、
わしは、これでもかと褒め称えました。
その恵まれた身体能力、
その華やかなプレイスタイル、
その恐ろしいまでの決定力、
それでいながら、チームをリーグ1位の勝利数に
導くこともできるという、リーダーシップ、
これは、とんでもない選手が現れたものだと、
大いに驚き、大いに称賛しました。
彼が、コービーやレブロンのような
歴史に残るスタープレイヤーになることを
信じて疑わなかったのです。
あれから随分と年月が経ち、
デリック・ローズは30歳になりました。
彼は、あのMVP獲得時から幾年のキャリアを重ね、
殿堂入り確実なスーパースターになったでしょうか。
否、
残念ながら、現時点でそれを言い切るのは
相当難しい状態にあります。
なぜ、そういう状態になってしまったのか。
それは、
彼が、ガラスのエースだったからでした。
過去に多くのスター候補が、同じ理由で
スポットライトを浴びなくなったように、
デリック・ローズもまた、怪我によって
その運命を変えられてしまったのです。
華々しいスター街道を夢見た世界中のファンが
彼の離脱を悲しみました。
よりによって、なぜ彼が。
世界一の選手になる可能性を秘めていた彼が、なぜ。
もちろん、ローズ本人もそうだったでしょう。
自身が思い描く物語は、こうではなかったはず。
まさにキャリアの絶頂期へ駆け登らんとする時に
彼は100%のプレイを披露できませんでした。
「神様」ジョーダンのあとを継ぎ、
シカゴ・ブルズのフランチャイズ・プレイヤーに
なるはずだった男は、輝きを失って以降、
幾つかのチームを渡り歩くこととなり、
そしていま、
2018-2019シーズン、ローズの戦いの舞台は
西カンファレンスに移っています。
ミネソタ・ティンバーウルブズが、
いま現在の、彼の所属チームです。
決してリーグを代表する強豪ではありません。
ここ最近はプレーオフ進出もままならず、
昨期ようやく久々の進出を果たすも、
1回戦でトーナメントから姿を消しています。
そのチームにおいて、
ローズ自身もエースというわけではなく、
年齢的にベテランの領域に入ったこともあり、
イチ・チームプレイヤーとして戦っていました。
22歳でMVPを獲得した男が、
下位チームで、脇役に甘んじている事実。
デリック・ローズは、
終わってしまった。
多くの人がそう思っていました。
しかし、
2018年10月31日、
デリック・ローズは、奇跡を起こします。
久々のスターティング・ファイブに入った彼は、
誰もが予想だにしなかった復活劇を見せたのです。
一度、転落したはずだった男が、
いま、このときに、キャリアハイの50得点。
世界中のファンが待っていた瞬間でした。
何年待ったのでしょうか。
まだ信じていたファンは何人いたでしょうか。
そして、本人はこの奇跡を予想できたでしょうか。
試合終了後、
彼はコートの上で涙を流していました。
優勝したわけでも、
ファイナルが決まったわけでも、
プレーオフ進出が決まったわけでもありません。
リーグ序盤の、とある1試合。
しかしながら、この日は、
バスケットボールを愛するすべての人にとって
特別な日となったのです。
例えば、
現在LA.レイカーズに身を置く、
世界を代表するスーパースターである
レブロン・ジェームズは、自身の試合後、
インタビューの際に「今日は彼の話をしたい」と、
他チームのローズの復活劇を喜びました。
レブロンは移籍初年度で、なかなか勝ち星を増やせず
難しいシーズンを送っている最中です。
本来なら他人のことを気にする時ではないのですが、
そんな状況でも、ローズが見せた奇跡について
触れられずにはいられなかったんですね。
それだけ、多くの人々に、感動とインパクトを
与えることとなった、ローズの奇跡。
ここから彼が、かつての輝きを取り戻すかどうか、
それは分かりません。神のみぞ知ること。
本人も「もとに戻れるとは思っていないが、
いまこの状態が自分にとっては一番いいんだ」と
語っています。
アクロバティックな空中プレイや、
サーカスのようなドリブルは
もう見られないかもしれません。
でも、祈らずにはいられないのです。
新しいローズが、何かを起こすことを。
別の形かもしれなくとも、あのときのような
輝きを再び放つことを。
勝手に宣言させてください。
デリック・ローズは終わらない、と。
Derrick Rose Records A New CAREER HIGH 50 Points In Emotional Victory | October 31, 2018
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デリック・ローズは終わらない へのコメント一覧
ありがとうございます!!
Dローズも、Dローズを教えてくれたKの部屋も応援し続けます!!
ディフェンス、リバウンドは相変わらず良かったですな。
昨日のケンプの記事を読み、ローズのことも是非!と思っていた矢先にこの記事!!
やはりKさんは分かってらっしゃる!笑
僕にとっての「やばい」がローズでした。
MVP当時も身体能力だけならランスだし、プレースタイルで言えばアイバーソンの方が華があったし…
それでも僕の心を鷲掴みにしたのはローズでした。
その後怪我で離脱して、それでもブルズは強いから、相対的にローズへのバッシング、アンチが増えて…
そこからの復活劇。ローズの涙を見て、もらい泣きしました。
これからもローズを応援し続けたいと思います!!
Kさんもローズ以上に応援してます。これからも楽しい記事待ってます!
※バッシュはDローズ4からずっと履き続けてます笑
本当、泣くほど嬉しかったです。これまでがキツかったぶん。怪我した時もだけど、ファンとしてはクリーブランド出た後ミネソタ決まるまでが精神的には一番キツかったなあ…
ローズのこれからのプレーヤー人生に、幸多かれ!
ローズこのまま頑張って!!
彼が怪我していない世界線があればと何度も想像しました。
今のようにウォーリアーズが君臨しているNBAじゃなかったでしょうね。ゴリゴリ全盛期のレブロンのヒートを圧倒しシーズンを戦っていたのはすごかった。
彼の存在はペニーと個人的に被ります
当たり前ですが、以前のように弾むようなバネとキレのある動きは出来なくなったみたいですね。
本当はもっとやれたであろうローズの活躍には胸が熱くなりました。
自然と仲間が集まってきたシーンが象徴してますよね。記事ありがとうございました。
でも今回Kさんの記事のお陰でまた心震わせてくれる男を見れて嬉しく思います。
たかがシーズン中の1試合でも彼にとっては2度と忘れない1日になるでしょうね。
MVPを獲得した夜より胸にも記憶にも刻まれた夜になったと思います。
彼の涙がこれまでの過酷さを物語ってましたね。
報われる事を願いつつ応援していきたいと思います(^^)
ローズの魅力と感じているワイルド(野性味あふれる)プレイが経験をプラスして進化してるのがこの試合で発揮そているのが感動でした。ローズの野性味を感じるプレイれからも見たいので応援したいとおもいました。
とても良い記事でした。
書かないわけにはいかず、長文となってしまった初コメをお許しください。