ユニバ 21
三ツ星 13
6分強でユニバ代表が20点を超えた。
ハイスコアゲームが続く。
「すげえ、すげえ!!! ユニバ押してるよ!」
「社会人2位を相手に学生がリードしてる!!」
道谷《塚本さん、ユニバ好調ですねえ》
興奮状態の塚本。
《思い切りの良いプレーが続いていますよね。
挑戦者の姿勢がずっといい方向に出ています。
ユニバはこの形で行くといいでしょう》
観客席の荒石。
「森重も神もいいプレーが続いている。
青葉組は絶好調だな。さすがに関東制覇で
勢いに乗っているってことか」
天崎、笑顔。
「チームの雰囲気は最高にいいからね」
荒石、軽く舌打ち。
「チッ、一方ウチの先輩方はいつ出番が
回ってくるってんだ?」
バス!!!
牧のパスから河田雅が決める。
微妙なミドルレンジのシュートを、
冷静にバンクショットで沈めた。
「おおおおーーーーー、河田兄!!!」
「中も外も行ける、完璧な4番だぜ!!」
牧、コブシを差し出す。
「さすが」
ゴツン! 河田雅、コブシをぶつける。
「パスが良かった」
ベンチの赤木。
「……。」
横目で三井がニヤリ。
「テメエだったら入ったか、あの距離?」
赤木、コートから目を逸らさず返す。
「入るに決まってるわ、たわけ」
三井、腕組み。
「しかし牧の野郎、あいかわらずいいパスを
出しやがるなあ。ウチの1番(伊達翔)にも
いい手本になるぜ、あれは」
藤真 「さすがは牧だな」
三井 「藤真…?」
藤真 「アイツに勝つことが俺の目標だ」
三井 「こないだ勝ったじゃねえかよ」
藤真、ニコリ。
「まだまださ」
三井 「……。」
赤木 「フッ」
記者席からユニバベンチを眺める彦一。
「赤木さん達が喋っとる。よく考えてみれば
みんな神奈川勢や…。これ、凄いことやな…」
弥生、ニコリ。
「アンタがあの中に混ざってたなんてね」
彦一、ウルッ。
「ワイはホンマええ時に生まれたモンや。
親に感謝やわ…」
弥生 「何を泣いとんねん」
そんななか、
ユニバ監督・唐沢が立ち上がる。
「赤木」
赤木 「…!!」
腕組みの唐沢。
「雅史と交代で行くぞ。相手は日本代表の
センタープレイヤーだ。胸を貸してもらえ」
赤木 「古谷聡……」
唐沢、続ける。
「一見物静かに見えるが、実は熱い人間だ。
お前が思い切りぶつかっていけば、
それだけの反応を返してくれるだろう」
赤木 「なるほど…」
藤真、ニコリ。
「そういえば古谷さんは深体大出身。
唐沢監督はさすがによく知っている」
赤木 「唐沢監督」
唐沢 「ん?」
赤木 「胸を借りるわけにはいきません」
唐沢 「赤木…?」
赤木、不敵な笑み。
「古谷さんを倒してきます」
唐沢 「…!」
一瞬ビックリした表情を見せつつ、
そして、すぐに笑顔に。
「それがお前だな、赤木よ」
赤木、立ち上がる。
「行ってきます」
『ビビーーーーーーーーー!!!!』
館内にブザーが鳴り響く。
道谷《おっと、交代のようですね》
塚本《立っているのは赤木ですかね》
「おおおおーーーーーー、赤木!!!」
「キングコング・赤木だ!!!!」
晴子 「お兄ちゃん!!!」
木暮 「来たよ、赤木!!」
彩子 「先輩、頑張って!!!」
ベンチの三井、しかめっ面。
(クソ、俺も早く出たい…!!)
宮城も同じ顔。
(俺も俺も…!!)
赤木 「河田!!」
右の手のひらを差し出す。
パチン!
河田雅、小さくその手を叩く。
「マークは5番(古谷)な。
結構当たりキツイぜ。覚悟しておけ」
赤木 「分かってる」
道谷《塚本さん、この交代の意図は?》
塚本、やはり興奮モード。
《こういう貴重なテストマッチでは
選手をなるべく多く使いたいですからね。
赤木君に限らずみんな出番があるはずです。
選手にとってはこういう場面でどれだけ
自分の力をアピールできるかも重要ですね》
道谷《なるほど、チーム内の競争ですね》
塚本《これもこのゲームの見所ですよ!》
杉山 (赤木…、思い切っていけよ)
森尾 「明利の赤木、お前の先輩の登場だ」
桜木 「どれだけやれるか見ものだぜ」
森尾 「おいおい随分と上から目線だな」
桜木、ニヤリ。
「プロだからな」
と言いつつ、桜木は強くコブシを握っている。
そして、その強い眼差しは応援する者のそれ。
森尾、ニコリ。
(顔に「頑張れ」って書いてあるぜ)
コートに入った赤木。
古谷の隣に立つ。
古谷 「明利の赤木か、いいガタイだな」
赤木 「よろしくお願いします」
古谷 「ああ」
(気合いの入った、いい顔だな)
迎えた三ツ星の攻撃。
交代で入った赤木の「お手並み拝見」
とばかりに、古谷にボールが入る。
「おおお!! さっそく来た!!」
「赤木のポジション!!!」
桜木 「…!!」
ダム!!!
古谷、体をぶつけていく。
「おおおおおーーー!! パワー勝負!!」
「日本代表の古谷が1対1を仕掛けた!!」
赤木 「ムン!!」
このアタックに体を張って踏ん張る。
古谷 「お…!」
(これくらいは動かないか)
木暮 「よし!!!」
彩子 「さすが先輩!!!」
木暮 「パワーじゃ誰にも負けないぜ!!」
古谷 (ならば…)
キュキュッ!!!
古谷、ターンからフックシュートの体勢に。
キュキュッ!!
赤木、すかさず距離を縮め、
古谷に十分な体勢を作らせない。
キュキュッ!!
古谷、もう一度逆方向にターン。
左右に振って、隙を窺う。
キュッ!!
しかし、赤木はこれにも反応。
唐沢 「おっ!」
河田雅 「さすが赤木!」
古谷 「ほう」
ビッ!!
古谷、ボールを外に戻す。
道谷《赤木、1対1で負けません!!!》
塚本《パワーにも技術にも対応しました!》
「おおおおおーーーーーーー!!!!!!」
「ナイスディフェンス!!!!!」
「さすがはゴール下のキングコング!!!」
木暮、ガッツポーズ。
「これがアイツのディフェンスだ!!!!
これが赤木剛憲だ!!!!」
彩子 「凄いわ、赤木先輩!!!」
晴子 「お兄ちゃん…!!!」
既に涙腺崩壊。
(ここまで来たんだね、お兄ちゃん…!!
代表のユニフォームを着て、大きな試合で
こんなにみんなの声援を浴びて…!!)
森尾 「こいつは強敵だぜ、桜木」
桜木 「ああ、次の試合が楽しみで仕方ねえ」
ベンチの唐沢。
「インサイドの守備は超一流だな、赤木」
河田雅 「アイツには手を焼いてますよ」
唐沢 「守備のジョーカーになりえるぞ」
河田雅 「俺もあれくらいできますけどね」
唐沢 「おっと」
(ライバル心が強いな、この二人)
オフェンス時も同様。
牧から赤木にボールが渡る。
「おおっと、またもや赤木のポジション!」
「盛り上げてくれるぜ!!!」
牧 「行け、赤木!!!」
赤木 「オウ!!!」
ダム!!!!
やはりパワー勝負。
体をぶつけるローポストアタック。
古谷 「オウ!!」
(来い、赤木!!)
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三井 「テメエだったら入ったか、あの距離?」
赤木 「入るに決まってるわ、たわけ」
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赤木 (いや、入らんかもしれんな)
ダム!!!
赤木、ドリブルキープしつつ、
背中で古谷を押し込みにかかる。
赤木 (河田のような華麗な技は俺にはない)
キュキュッ!!!!
ターンからゴールに向かって跳ぶ。
古谷のディフェンスは十分な体勢。
「抜けていないぞ…!!!???」
「ムリヤリ行った!!!」
赤木、真っ向勝負。
(だがそれでも負けん!!!
これが俺のプレイだ!!!)
古谷 「チッ…!!」
バシイイ!!!!
古谷の手が赤木の手を叩く。
『ピピーーーーーー!!!!!!』
ファウルを告げるホイッスル。
ガン!!!!
ボールはリングに弾かれた。
「あああああ、惜しい…!!!!」
「だがフリースローゲットだ!!!!」
「赤木の強気なプレイ!!!!」
牧、赤木に手を差し出す。
「ナイスプレイ。さすがのパワーだ」
バチン!!!
その手を叩く赤木。
「オウ!」
そして、ひと言添える。
「パワーならお前にも負けんぞ」
牧、ニコリ。 「どうかな」
記者席の彦一、ボーっとした表情で
コートを見つめている。
「赤木さんと牧さんか…」
隣の弥生。
「そういえば、同じチームになるのは
初めてなんじゃない? この二人」
彦一 「ホンマに夢のようなゲームやわ…」
弥生 「仲間でありながらライバルなのね」
ザシュ!!!
赤木、2本のフリースローを
しっかりと決める。
「おおおお、ナイッシュゥ!!」
「赤木、いいぞーーーー!!!!!」
牧が手を叩く。
「さあ、ディフェンス!!!」
赤木も手を叩く。
「一本止めるぞ!!!」
荒石、ニヤリ。
「おいおい、まるでキャプテンが二人いる
かのような光景だな」
実況アナ・道谷の興奮度も上がる。
《ユニバ好調!交代で入った赤木も
さっそく仕事をしました!!!》
塚本《いやあ、いいゲームだ!!!》
1stクォーター 7分
ユニバ 25
三ツ星 13
続く
スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(821) へのコメント一覧
いつありがとうございます
新年一発目。あけましておめでとうございます!!
最高ーー!!
高校の国体は、赤木が引退してたから…。
河田のトークも感動した。さすが赤木!!
魚住の言葉を思い出す!
いつもKさん
楽しく読ませていただいています^ ^
スラダンを手垢がつくくらい読み込んでた僕には文章から情景が浮かぶほど一つ一つ楽しませて読ませていただいています^ ^
貧乏暇なしとはよく言ったもので…
なかなか自分の時間が取れませんが…、
ここを読み始めてから、なんども読み返したい場所や、更新されて改めてもう一度読み返した場所等々少しの時間があれば自分の気の落ち着く場所になっていました。
お身体にはお気をつけて今後も楽しませていただければ幸いです^ ^
いつもありがとうございます
ゴリのプレー久しぶり!10年ぶりか
仕事の疲れが吹き飛んだー!!
ゴリカッコイイ!日本代表にも負けてない!
そして牧とのハイタッチはシビれました!
やっぱすげーっすMr.K。
関係なくて申し訳ないですが、と楢崎正剛が引退しました。。
取材のおもひでとかあったら是非、、
プロのライターさんなのでここには書けないですかな?
絶妙な原作オマージュに痺れた!!
次回も、楽しみにしています!
いきなりゴリ投入
早いテンポで選手交代
色々見れそうですな
ベスト8を狙うわけには行きません、全国制覇が私の夢です。(杉山が赤木宅に来た時)
向かっていけ!そのデカイ体はそのためにあるんだ!(魚住&茂一)
やっぱり赤木が関わる場面は名言が多いですね。
牧と神のコンビと渡り合い、山王を倒したホットラインだから。
長所が引きでて見える
面白いです!熱すぎる!!
選手間同士での負けず嫌いなところ笑いました笑
神奈川勢の活躍 嬉しいし頼もしいですね、笑顔がこぼれます
しかし荒石のセリフがきになりmすね
「船頭多くして船やまに登る」という諺を思いだしました
これが「船が山登りできるなんてすごい」にたどり着くように
願ってます。 Kセンセがんばれ 湘北勢がんばれ
赤木がずっと報われなかった時代を考えれば
今の赤木は想像できない…けど赤木はこの舞台に
立つために努力した。努力した結果実力だけでは
なくてチームメイトにも恵まれたような気がする
努力は技術力だけではなく様々なものを引き寄せる要因になってくるのだと感じました!
そしてKさん!更新ありがとうございます!
ドリーム21点
リアル13点
ドリーム 河田兄 2得点
リアル 攻撃失敗?
ドリーム 赤木 2得点
ドリーム25点
リアル13点(?)
なのでは。
修正しましたーーー!
あかん、涙出て来た………
ジャンプの連載開始から20数年。
当時のゴリは私の4歳下だったのに、こっちはもう50になる。
Kさんの続きを観ると当時の熱い思いが蘇ります。
あ〜ッバスケして〜(^_^)
っと心の中で思いながら読ませてもらいましたw
上のコメにもあったけどちょいちょい原作をイメージできる
セリフは良いですね
「赤木の方が老けてるぞ」
勝手ながら、早く続きが読みたい!!
牧と赤木のパス交換とかゾクゾクする
代表チームとはいえ高校からしのぎ削ってきてるんだから、普通の寄せ集めとは違う。
Kさん、更新ありがとうございます‼
これからも勝手に楽しませて頂きます。
そのシーンをどう描いてくれるのか今から楽しみすぎる!Kさん期待してます!
こうしをのせーてー、、、あれ?
たまんない!
桜木3年を飛ばした理由納得しました
「キャプテンが二人いるみたい」ですか。そういえばこの二人のキャプテンは、「海南と湘北の大きな共通点」でしたね。
両チームの揺るぎない大黒柱であり、それでいて歩んで来た道は実に対称的。そして二人とも、問題児を見事に監督していた(笑)。
この先の展開がますます楽しみです!
杉山さんが頑張れって心の中で応援してるのは未来のチームメンバーになるからなのかも…
そういえば牧と赤木は同じチーム始めてなんですね!
ホントに夢のチームだなぁ✨
赤木の方が老けてるぞ
を連載させるシーンはなかったぞ!!!笑
ある意味深読みしすぎちゃいますか!?
ゴリ!
やっと掴んだチャンスなんだ!
頑張れ!!
あと花道の表情が見たいなぁー!
手はギュッと握り拳になってると思います!
イメージは2万本シュートの自分のビデオを見る花道かな笑
とても楽しく読ませて頂きました。
オリジナルキャラも素敵なキャラが多く、また更新を楽しみにしています。
くだらないことかつ細かくてすみません。読み返していて少しだけ違和感があったので…
ただKさんの意向最優先で大丈夫です!
赤木のセリフの
「入るに決まってるわ、たわけ」
は
「入るに決まっとるわ、たわけ」
の方がしっくりきます笑
本作陵南編の試合終了の時も、
桜木「さぁ整列だ」
赤木「おう・・・[わかっとるわ!]」
となっていて何となく思いました!