編集者・Kです。
ひとつのコメントから
今日、新たな記事が生まれました。
いまから25年前の、
高校バスケの名勝負をお伝えします。
わしが高校2年生のときの大会です。
つまり、わしの1コ上の代ってことですね。
1994年ウィンターカップ
女子決勝
名古屋短大付 × 純心女子
※名古屋短大付は現・桜花学園
キッカケは先日投稿した記事
「平成6年(1994年)のバスケットボール」。
この記事にて、
ウィンターカップ女子決勝の結果、及び、
そこで大活躍した純心の永田(のち日本代表)
についてチラッと書かせてもらったのですが、
そのコメント欄に
こんな書き込みを頂いたのです。
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ひろき
2019-07-01 19:08
この年のウィンターカップ女子決勝、
名短vs純心女の結末にも触れてほしかったなー。
おそらく、平成の高校バスケ決勝では
歴代1位になるであろう劇的な結末です。
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おおっと、なるほど、なるほど。
確かに、この女子決勝はとんでもない幕切れを
見せたことで有名な一戦です。
わしの高校バスケの記憶のなかでも
史上最も劇的なゲームといっていいでしょう。
当時わしは高2でしたが、このゲームは
メチャクチャよく覚えておりますデス。
ということで、早速振り返ってみましょう!!
この大会の注目は、
圧倒的に純心女子の永田睦子でした。
178cmの恵まれた体躯、
そしてこの身長の女子としては異例の
リングにぶら下がれるという身体能力、
彼女はのちに日本代表のエース格となる
選手ですが、この時代からその存在感は
際立っていたんですね。
そしてこの大会、
その永田に率いられた純心女子は
決勝戦まで勝ち進みます。
迎え撃つは、やはりというか
もちろんというか、王者・名短です。
その名短、この代は1年生(わしの1コ下)の
活躍が光るチームでした。
1年生コンビ、三木聖美と渡邉温子は、
女子バスケ界で「花の78年組」と呼ばれる代の
中心選手であり、共に未来の日本代表選手。
2人は、あの名短で1年生時から大活躍します。
と、
名短の3年生・黒田選手が
プレイもビジュアルも非常にカッコいい方で、
試合終盤、この人が手を合わせて祈る画は
後年になっても大会ハイライトとして
何度も使われたりしましたね。
※そういえば当時学生のわしらは
「黒田さん超カッケー」と騒いでいたなあ(笑
ゲームはまさに「一進一退」の死闘。
永田はやはりレベルがワンランク違い、
この決勝でも圧倒的なプレーを連発。
この永田なら、王者・名短をも
破ってしまうのではないか ―――
そんな予感の中で試合は進んでいきます。
そして、
名短47-46純心と、
名短1点リードで迎えた残り1分から
劇的なストーリーが始まるのです。
※残り1分から「始まる」のです!!
残り1分、
純心女子のスーパーエース・永田が
値千金のスティールから一人でシュートに
持ち込み純心が逆転します。
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残り1分
名短47-48純心
名短ボール
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続くディフェンス、執念で守る純心は、
逆転をかけた名短の攻撃をも
阻止します。
そこからカウンターを狙う純心に対し
名短ファウル。
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残り40秒
名短47‐48純心
純心ボール
===
純心1点リードで、純心ボール、
残り時間は既に1分を切っている。
名短、絶体絶命。
ここで名短タイムアウト。
残り40秒、1点リードの純心の攻撃。
会場中が「永田で勝負」と分かっています。
決めれば決定的な3点差。
チャンスを探り、ボールを回す純心。
残り20秒、
純心はシュートを外してしまいますが、
このリバウンドを拾ったのは永田。
勝利を引き寄せるオフェンスリバウンド。
そして、この土壇場において、
永田は氷のような冷静さでワンフェイク。
相手ディフェンスをかわし、
ゴール下でノーマークに。
が、
まさかのまさか、
このシュートが外れてしまいます。
リバウンドは名短。
点差は1点のまま。
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残り20秒
名短47-48純心
名短ボール
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名短の攻撃、
残り7秒、混戦の中、
名短がフリースローをゲットします。
シューターは1年生の渡邊です。
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残り7秒
名短47-48純心
名短フリースロー
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が、
これが、再びまさかのまさか、
2投とも失敗。
純心の1点リードは変わらず。
そして外れた2投目のルーズボール、
名短・純心双方が飛び込みヘルドボール。
これでジャンプボールに。
※当時はヘルドになるたびに
ジャンプボールになるルールでした
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残り4秒
名短47-48純心
ジャンプボール
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ジャンプボールは両者が叩き
再びルーズボールに。
これを執念で拾った名短、
残り0秒、スリーポイントを放つ。
が、失敗。
と思いきや、このシュートに対して
ファウルあったとのホイッスル。
そして、残り0秒ながら、
フリースローが「3本」与えられます。
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残り0秒
名短47-48純心
名短フリースロー(3本)
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シューターは、1年生の三木。
既に残り時間はゼロのため、
リバウンドには誰も入りません。
1年生がひとりフリースローレーンに立ち、
コート上の残りの9人は祈るのみ。
名短は決まることを祈り、
純心は外れることを祈ります。
1投目、成功
名短48-48純心
2投目、失敗
名短48-48純心
1本、1本に歓声と悲鳴。
残りゼロ秒で現在同点。
そして、ラスト1投。
3投目、
成功
名短49-48純心
この瞬間に試合終了、
そして優勝決定。
非常に珍しい、フリースローによる
ある意味「ブザービーター」。
しかもこれが全国大会の決勝。
プロ野球の優勝決定戦で
サヨナラホームランが出たようなもの
(いつぞやの近鉄のアレのような)。
高校バスケ史上に残る劇的な幕切れでした。
いやああ、
ホント、バスケってこういう試合が
あるからタマランよね。
上記、見返してもらうと分かりますが、
残り1分の永田の逆転シュート以降、
実はずっとスコアは動いていないんです。
その間いろんなプレーがあり、
いろんなシュートがあったなかで、
でもスコアは全く動かなかった。
残り1秒ですら動かなかった。
動いたのは「残りゼロ秒」だったんです。
これがバスケの面白さですよね。
これがバスケのドラマですよね。
残り20秒で決定的なチャンスを
外してしまった永田は、
その後、たくましく成長し、
日本がアテネ五輪出場を決めたゲームで
コートに立つ選手となります。
※因みに、この試合も超劇的だった!!
(これもいつか書いたほうがいいな)
「負けたことがある」
これが、彼女の財産になったんですね。
スラムダンク人気が最高潮に達し、
高校バスケの注目度も高かったこの年、
年の瀬に行われた高校女子のファイナルは
伝説の一戦となったのでした。
熱気ハンパネーーー!!
↓
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嗚呼、名勝負(12) 高校バスケ ウィンターカップ1994女子決勝 名短×純心女子 へのコメント一覧
自分は三木さん、渡辺温子さんと同学年なので、
この2人が活躍したこの劇的な決勝、今でも鮮明に
覚えています。
これをネタにKさんと酒を酌み交わしたいです。
きっとうまい酒が飲めるんだろうな(笑)
和歌山在住者としては頑張って強くなって欲しいです。
当時この試合は残念ながら見ていませんでした。
翌朝の新聞記事を読み、「漫画みたい」と思いました。
やっぱり、Kさんの文章はスゴイです。
新聞で読んだだけの試合を、記憶の底から引っ張りださせたのだから。
が名短に永田睦子が順心にいました。
名短の井上先生若いですね(笑)
試合結果もさることながら、名短が昨今も変わらず強豪なところは、やはり凄い!
なんて思っていましたが、Kさん、やっぱりアナタ天才っすわ。
とても同じ年とは思えないです。
当時の記憶が鮮明によみがえり、YouTube見る前に顔まで思い出しました。
いや〜凄いッス
(きっかけになるコメントされた方もありがとうございます^^)
そして、この名勝負を知らなかった私ですが、当時の映像とKさんの記事内の描写を同時に見ながら鳥肌立ちました!
こうやっていろいろな試合を知って感動できることが嬉しいです。
女子の試合では、比較的最近のことではありますが、リオオリンピックでの吉田選手の闘志あふれる姿もすごく強い印象に残っています。
力と力のぶつかり合いの中には、大きな感動が生まれますよね。
それにしてもルールかなり変わってるw
ほんと可愛くてかっこよかったなー。
そして何と言っても三木さん。折尾中時代からスーパーなプレイヤーだったけど、この試合を見て「持ってるな―」と再認識。
次回の高校バスケ名勝負は、2年後の男子決勝「能代工業×福島工業」を是非お願いします!
それまで月刊バスケくらいしか情報がなかった中での、初めてプレイを見る田臥勇太の衝撃。相手の渡邉拓馬もまんま流川ですごかったですが、それをも上回る天賦の才。
Kさんも同じような思いを抱いたんじゃなかろうかと勝手に思ってます。w
いつも楽しく拝見させてもらってますので、これからも頑張ってください!
ことも
この時代にから留学生が流行りだし
今のセネガルにつながってる
アイツらを日本一 にしてあげれなかった
凡人より(^^)
本当に、物凄い試合でした・・・今も、これ以上の試合は見ていません。
バスケットを見始めた頃の試合に、これだけ劇的な試合に出会えたのは強烈ですね