今日は、名勝負コラムを更新します。
いまどうしても取り上げたい
一戦がありまして。
NBAファイナル2000の最終戦です。
この試合、わしのなかで、
コービー・ブライアントを語る際には
絶対外せないゲームであります。
以前書いた、名選手コラムの記事と
かなり被ってしまうんですが、
やっぱりもう一度、これを書きたくて。
※因みにコチラがその名選手コラム
↓
上記の記事にもある通り、
この試合は、わしのなかで
「コービーが『真のNEXTジョーダン』に
なった試合」であり、その後に駆け上がる
スーパースターへの階段の第一歩となる
ゲームだったと思っております。
この試合はL.A.がインディアナを破り、
久々のNBAチャンピオンの座につきます。
シャックとコービーにとっては
これが初戴冠となったゲームです。
※このあと3連覇へと続きます
その優勝を決めた第6戦、
わしがコービーに心を掴まれたのは、
残り5.4秒からでした。
結論から言いますと、
この残り5.4秒からの一連のプレイで、
最後はコービーがフリースローを
2発沈めて勝負を決めるわけですが、
このシーンがあまりにも
鳥肌の連続なんですよね。
ちょうどいい動画があるので
(まあ、前の記事で使ったやつですが)、
細かくわけて紹介していきますね。
※全部同じ動画・サムネイルですが、
再生開始時間をすべて弄っています
彼は1978年8月生まれですから、
この2000年のファイナルの際は
まだ21歳です。
その21歳の若者が放つオーラに
是非注目してください。
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1)
残り5.4秒
IND 111 - 114 L.A.
タイムアウトが明け、両軍コートへ
※動画はこのシーン(1:48)からの
自動再生となります
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L.A.3点リードの場面で
タイムアウトが取られ、
それが明けたところから動画開始です。
両軍のメンバーが、最後の5.4秒を
戦うために、コートに出てきます。
インディアナは最後のディフェンスに
必死ですから、スローイン前から
ゴツゴツ体をぶつけているのですが、
コービーは凄い顔をしていますね。
この時点でインディアナのチームファウル数は
4つを超えているので、次からはあらゆる
ディフェンスファウルがフリースローに。
この残り時間ですから、
当然インディアナはファウルをするでしょう。
※いわゆる「ファウルゲーム」ですね。
時間の消費を防ぐために、すぐにファウルをし
相手にフリースローを撃たせる作戦です。
そのリバウンドを獲れば逆襲のチャンスという。
つまり、
このスローインのボールを受け取った選手が
間違いなくファウルをされる。
つまり、
その選手がこの大事なフリースローを
任される、ということです。
求められるのは、このシチュエーションで、
フリースローを決める技術と心臓を
兼ね備える選手、ですよね。
で、
スター揃いのL.A.レイカーズにおいて、
そのフリースローの役割を命じられたのが、
なんと、21歳のコービー・ブライアント。
名将・フィル・ジャクソンは、
この優勝を賭けたフリースローを
アフロ頭の若きプレイヤーに託すわけです。
おしくらまんじゅうのような人混みから、
デザインされたチームのムーブにより、
コービーが抜け出します。
そこにスローインが入り、
予定通り、コービーがファウルを受けます。
では、そこまでご覧ください。
コービーがファウルを受けたところ
(2:13くらい)で、
また記事に戻ってきてくださいな。
↓
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2)
残り2.5秒
IND 111 - 114 L.A.
コービー、フリースロー一投目
※2:14〜2:45
===
さあ、フリースローを得たコービー。
インディアナのエース、レジ―・ミラー、
そのヘッドコーチ、ラリー・バードは
外れることを祈るのみ。
繰り返しますが、
優勝を賭けたフリースローです。
そしてそれを撃つのが、21歳の若者です。
フリースローラインの少し後ろで
コービーは腰に両手を当て、
一度「ふーーっ」と息を吹きます。
そして、物凄いオーラをまき散らしながら、
フリースローラインまで数歩歩きます。
L.A. の本拠地「ステイプルズ・センター」の
観衆は総立ちです。誰も座っていません。
そりゃそうですよね。あと少しで自チームの
優勝が決まるわけですから。
以前の記事でも書きましたが、
このシーンが、わしには、
バスケの神様が「さあ、バスケファンたちよ、
彼こそが、これからのスーパースターだ」
と、お披露目の場を用意したように
見えたんですよ。
総立ちでこの21歳を見守るL.A.のファンの画も、
なんだか保護者が子供を眺めるような、
そんな愛情を感じるのです。
「さあ、決めてこい、ボーイ!!」
「君のシュートで優勝だ!」
なんていう声が聴こえてきそうです。
ところが、ボーイだなんてとんでもない。
こういうシュートを1000回くらい撃った
ベテランのような、強い強い顔で
コービーはボールを構えます。
一投目、
一度大きく息を吐き、肩をほぐし、
彼独特の、右手だけを残すフォロースルー。
見事に一投目を成功させます。
ガッツポーズもせず、笑ったりもせず、
「よし、決めた、あと一本」という
力強い目のまま、
リバウンドレーンに並ぶチームメイトに
ゴツン、ゴツンとコブシをぶつけます。
では、そこまで見たら(2:45あたり)、
また記事に帰ってきてください。
↓
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3)
残り2.5秒
IND 111 - 115 L.A.
コービー、フリースロー2投目
※2:45〜3:05
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1投目を決めたコービー。
インディアナの司令塔、
マーク・ジャクソンは観念の顔。
対して、L.A.側は、
ブルズで3度の優勝を経験したベテラン、
ロン・ハーパーが手を叩きます。
「よーーし、よく決めた」
「まったく、すごい奴だぜ」
そんな感じでしょうかね。
そして2投目。
同じ顔、
同じフォーム、
同じ軌道、
見事にリングを射抜いてみせます。
残り2.5秒で、
IND 111 - 116 L.A. 。
これで99%優勝決定です。
もう揺るぎません。
もちろんインディアナはタイムアウト。
ここで両軍が再びベンチに戻ります。
総立ちの観客は優勝を確信。
その大歓声に応えるように
コービーがやっと両手を挙げて
ガッツポーズをとります。
このNBAファイナルの優勝が決まる
大事な大事なフリースローを
21歳の若者が2投とも決め切りました。
ここでコービーは、観客席に向かって
自分の左手薬指を指すジェスチャーを
披露します。
これは何かといいますと、
「チャンピオンリング」を
意味しているんですね。
ご存知の方も多いと思いますが、
NBAチャンピオンにはコミッショナーから
指環が贈られるんですよ。
よって、このジェスチャーは
「俺たちの指にリングが来るぜ」
という意味であり、
つまりは
「これで優勝が決まったぞ!」
ということであります。
コート上で最も若い選手が
かくも堂々と、優勝を宣言し
ベンチに戻っていきます。
では、そこまで見たら(3:05)、
また記事に戻ってきてください。
↓
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4)
残り2.5秒
IND 111 - 116 L.A.
優勝確信、歓喜のベンチ
※3:05〜
===
意気揚々とベンチに戻るコービー、
チームメイトとハイタッチをかわします。
背番号16、コービーより14歳上という
大ベテラン、ジョン・サリーが
殊勲のコービーを抱きしめます。
そしてコービーはコートに目を向け、
大きく頷き、誰かを指さし、
力強いハイタッチ。
この動画では誰なのかを確認できませんが、
おそらくはシャックでしょう。
これもまたカッコいいですね。
インディアナベンチは、
残り2.5秒で5点差という絶望的状況から
なんとか策を練り
L.A.ベンチは、
勝利のハイタッチと抱擁を繰り返します。
そして、コービーとシャックが
何か言葉を交わします(3:50あたり)。
このあと、両軍ベンチの様子が映され、
タイムアウトが明けます。
やっとコービーが笑います(4:38あたり)。
もうあとは優勝の瞬間を待つだけ。
21歳の若者らしい笑顔を初めて見せました。
対照的に、
ミラーとバードは悲壮感漂う顔です。
では、ここまで見たら(5:00あたり)、
また記事に戻ってきてください。
↓
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5)
残り2.5秒
IND 111 - 116 L.A.
ラストプレー
※5:00〜
===
ラスト2.5秒、
コートに並ぶ10人の戦士。
スローインから試合再開なのですが、
インディアナのベテラン、
サム・パーキンスがレフェリーに何か
注文をつけます。
おそらくは、居ても立っても居られない
L.A.ベンチ陣がいまにもコートに
雪崩れ込みそうなのを注意したのでしょう。
※ちなみにこのパーキンス、
元L.A.の選手だったりします
そして、
ラストプレー、
インディアナのエース、
レジー・ミラーのシュートが外れ、
L.A.の優勝が決定しました。
コービーはシャックと抱き合い
歓びを爆発させます。
のちに歴史に名を残す
スーパーヒーローが
初めて優勝した瞬間です。
ごゆっくりご覧ください。
↓
いやあ、素晴らしい。
残り5秒から、
優勝へ向けての最大のミッションを
若きヒーローが背負い、
そして成し遂げるというドラマ。
このときのコービー、
ホントに凄いオーラなんですよね。
そして、ニューヒーローの誕生を祝う
会場の雰囲気も最高なんですよね。
NBAの名勝負といえば、
やっぱり外せないなあ、この試合。
いま見ると
涙が出そうですが、
コービーが
スーパースター候補から
真のスーパースターになる、第一歩。
是非、ご覧ください。
以上、
スーパースターの名勝負、名場面でした。
嗚呼、名勝負(14) NBAファイナル2000 L.A.×インディアナ第6戦 へのコメント一覧
いっそのことKさんのコービーへの想い全て書き連なってくれよ。我慢するとずーっと泣いちゃうだろ。いっそ号泣させてくれよ。コービーのフリースローみたく俺にトドメ刺してくれよ。
これからもっともっとバスケット界に貢献してほしかった。もっとやれることがいっぱいあるはずだった。他人の死でこんなにショックを受けたことはないです。本当に残念でならないです。
改めて見ると本当に21歳の選手とは思えないファイナルでの立ち振る舞いとプレイですね
スター選手の中でも抜きんでた華と色気がコービーにはありましたね
真のネクストジョーダンとして認められはしましたが、それ以降、神様ジョーダンと比較され続けていく茨の道ですね
1987年生まれの自分にとって、ジョーダンは物心ついたときには既に神でしたが、コービーは、スターダムを駆け上がる様も、シャックやフィル・ジャクソンとの確執も、一時の低迷も、成熟の2連覇も、衰え始めてからも、リアルタイムで並走できた正真正銘唯一のアイドルでした
今はただ、ご冥福をお祈りし、You Tubeなどで在りし日のスーパープレイを見て、当時を懐かしもうかな・・・・・・・・・・悲しすぎるよコービー
81点取った試合が1番印象強いです。