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  • 2021年01月11日09:00

小説/僕のラノベは世界を救う 第30話/自分の両親に告げた


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第30話/自分の両親に告げた
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 プルルルルル……。



 九門、実家へ1年ぶり(くらいだと思う)のTEL。

 どっちかといえば母親に出てほしい。いや、親父のことはちゃんと尊敬しているのだが、いざこういうことを喋るのはなんとなく照れくさい。あ、だったらケータイにかければよかった、と思いながら、呼び出し音を聴く。



「はい、九門です〜」

 母親の声だった。


 セーフ。

 九門、ホッとしつつ
「あー、俺だけど」。

「あら? 大地?」

 子供の頃は「大ちゃん」と呼ばれていたが、高校くらいから「大地」になった。というか、九門が「大ちゃんと呼ぶのをやめろ」と指示したのだが。

「どうしたの?」

「あー、ちょっと話があって」
「うん」

「母さん、あのさ」
「うん」



「オレ……、結婚するよ」

「あら……」

「明日相手を連れて行くよ。家行っていい?」


 そして、明らかに笑顔だと分かる声で母から返答。
「はい、どうぞ〜。じゃあお寿司でも買っておこうかしらねえ。泊まっていくわよね? 大地の部屋に布団2枚敷けるかしら」


 なんとも予想通りの反応だ。
 ていうか、また寿司かよ。
 いや、いいんだけど、寿司好きだし。

 実家に行く時間を告げ、電話を切った。

「あああああぁぁ〜〜」
 九門は、しっかり声を出して伸びをした。なんともいえない「ひと仕事終えた」感。


 今晩新幹線で名古屋に戻って、明日は実家。
 ちょっと忙しい。
 でも年末年始ってそんなもの。


 その後、九門は焼きそばを頬張りつつ、自宅から持ってきたノートPCを開いた。

 2日ぶりのことだったが、なんとも久々にブログ管理画面を開く気がする。昨日の1日、そして先ほどの電話、なにかと色々濃すぎた。

 「異世界バスケ」に届いたコメントを眺め、ニヤニヤしたり、少々イラッとしたりしていたそのとき、


「あ!」
 ひとつ思いだし、Gmailを立ち上げる。

 そうだった、あのプロ契約の話をちょっと聞いてみよう。


 カタカタカタカタ……。
 九門は管理会社にメールを送った。

 連絡ありがとうございます。
 プロ契約の件、大変興味があります。
 ぜひ一度話を聞かせていただきたいです。
 よろしくお願いします。


 もうちょっと丁寧に書こうとも思ったが、お金の話にガッついていると思われると恥ずかしい、という謎のプライドが働き、少々ぶっきらぼうな返事にしておいた。

 でも、今日は12月30日。
 返事は年明けちょっと経ってからだろうな。


 九門はノートPCを閉じた。

「あああああああぁぁぁ〜〜〜」
 再びの、伸び。

 これにて、九門を憂鬱にしていた「やること」が一通り片付いたことになる。明日、サクラを実家に連れて行くというイベントが残っているが、とはいえ行く場所は自分の実家だ。今回ほどエキサイティングな行事ではない。


 この日の、ちょっと早めの晩御飯は、すき焼きだった。ジャガイモが入っているのを見て「こういうのは家の個性が出るもんだな」と思いながら、九門は箸を進めた。ジャガイモは美味かった。「今度からウチでやる時は是非入れよう」と思った。

 その後、お土産の「吉備団子」を片手に、九門とサクラは名古屋行きの新幹線に乗るべく、岡山駅へ。そういえば、桃太郎像の前で写真を撮るのを忘れたが、それはまた今度でいい。



「大地くん、遠くまでありがとうな。良いお年を」
「またおいでぇよ〜」

「はい、良いお年を」
 改札まで見送りに来てくれたサクラの両親に挨拶し、ホームへ。


 ふたりになると、九門はすぐにサクラに告げた。
「明日、ウチの実家に行くよ」

「え?」

「こういうのは年内に全部やっちゃおう」
「そうじゃな、うん!」

 岡山にいたのはわずか1日半、だが、名古屋駅に着いた瞬間、ドッとこみ上げる「久々に帰ってきた感」。得体のしれぬノスタルジー。

「これって何なんだろうな」
「毎回なるんよね、これ」


 明日は九門の実家。

 九門の「やることリスト」が、一旦の終わりを迎える。



続く



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