昨今の八村塁にドキがムネムネしっぱなしの
編集者・Kでっす!!
そういや先日の、わしのこのツイート、
わりと多くの方にリアクションもらいましたね。
↓
たとえば、10年前にタイムスリップし、
— 編集者・K (@henshusya_k) February 23, 2021
「え? いま? 日本人がNBAチームの主力になってて、このあいだその彼はレブロンとマッチアップしてて、因みにその試合は勝ったよ」
って言って、誰が信じるだろうか。 https://t.co/MzLUkyV840
さてさて、
改めて思うんですよね。
八村塁が、日本人の抱くデカすぎる幻想を
ドンドンとっぱらってくれてるよなあ、と。
多くの競技において、トップの日本人選手が
話題になると、なにかの決まり文句かのように
こういう意見が出るじゃないですか。
「海外にはもっと凄いのがゴロゴロいる」
よく覚えているのが、
以前、我がブログのコメント欄が熱い議論の場と
化した際、こんな意見があったこと。
「海外には室伏みたいなのがたくさんいる」
確か「日本人にだって可能性は十分ある」という
意見のなかで、室伏さんの例が出たときでしたね。
反論派は「室伏は確かに凄いが、同等の選手が
世界にはたくさんいる。だから日本は勝てない」
という論調でした。
まあ、冷静に考えればわかりますが、
そんなわけないんですよね。
世界選手権や五輪で何度も優勝し、
世界ランク1位にも名を連ねる人間が、
「たくさんいる」わけがないんです。
もちろん、あらゆる大会でぶっちぎりの優勝を
果たしているわけではないので、同クラスの選手が
ほかにもいるのは事実ですが、「ゴロゴロいる」
なんてのは、ただの幻想です。
そして、バスケットボールです。
どうもSNSなどを眺めていると
「八村塁は凄い」という意見と共に
「八村より凄いのがゴロゴロいるNBAはヤバイ」
という意見も目につきます。
結果「やっぱり日本人は世界では勝てない」という
論調になることもしばしば。
はたしてそうなのでしょうか。
八村は確かに、投擲の世界の室伏ほどの位置には
まだ辿り着いてはいません。
ただ、彼はNBAで標準以下なのか、
つまり「もっと凄いのがゴロゴロいる」のか、
というと、ちょっと冷静に考えたいところです。
分かりやすいのはやっぱり数字ですので、
まずはそこから見てみましょう。
彼はNBAドラフトにて1巡目9位で指名されました。
これは当時大きく報道されましたので、
皆さんもよくご存知のことと思います。
わしも当然、記事で書いております。
↓
ドラフト「1巡目・9位」というのは、
「もっと凄いのがゴロゴロいる」ような選手が
指名される順位なのでしょうか。
確かに、ジョーダンやダンカン、レブロンらは
もっと上の順位で指名されましたし、大学時代の
彼らが八村以上だったのも事実でしょう。
じゃあ、ジョーダンやレブロンのような選手は
NBAの歴史でたくさんいたのかというと、
そんなわけはないですよね。そうじゃないから
彼らはスーパースターなわけでして。
では、次に1年目の成績です。
八村は1年目のシーズン、48試合に出場し、
1試合平均で、「プレイ時間30分」「13.5得点」
「6.1リバウンド」を記録し、オールルーキーの
2ndチームに選ばれています。
簡単にいえば、新人選手の「上から10人」
のなかに入った、ということです。
これは「もっと凄いのがゴロゴロいる」選手の
実績なのでしょうか。
1年目で「1試合平均13.5得点」ですよ。
八村と同じフォワードを主戦場とする
レジェンド達の数字を振り返ってみましょう。
NBA歴代通算得点2位の記録を持つ
カール・マローンの1年目は「14.9得点」で、
NBAの歴史に残るスペシャルなオールラウンダー、
スコッティ・ピッペンの1年目は「7.9得点」、
ドイツ史上最高の選手としてNBAにやってきた
ダーク・ノヴィツキーの1年目は「8.2得点」、
あのヤニス・アデトクンボの1年目は「6.8得点」、
ただ彼はデビューが若いので、八村にあわせて
3年目の成績をとってみても「16.9得点」、
です。
もちろん、シャックやレブロンのように
ルーキー時から20点以上獲る選手もいますが、
それはまあ、ほんのひと握りのレベルですので。
八村はNBA内でも優れたルーキーであったことが
ある程度分かっていただけるのではないかと。
あ、他の選手が点が獲れないから八村がたまたま
スコアリングできているとかじゃないですよ。
特に今期は、同チームのブラッドリー・ビールが
得点ランキング1位にいて、さらには
あのウエストブルックもいるわけでして。
※あ、因みにそのビールの1年目は「13.9得点」で、
ウエストブルックの1年目は「15.3得点」です。
八村の1年目とそこまで大きく変わりません。
そんな今期、2021.2.28現在、八村のスタッツは
1試合平均13.6点、5.7リバウンドです。
ふたりのスコアリングマシーンが同チームにいて。
プロ2年目の選手としては、これは大変優秀です。
「え? そんなに凄かったの」となったところで、
次に、彼の高校時代を振り返りましょう。
勝手にこんな風に思う人がいます。
「未来のNBAプレイヤーになる選手なんだから、
日本では敵ナシで、ひとりで無双したのだろう」
そう、漫画「スラムダンク」のインターハイ、
デビュー戦で50得点22リバウンド10ブロックを
記録した森重のような姿を想像する方。
いやいやいや、確かに抜きんでていましたが、
全国大会でいつもひとりで50点獲っていた、
というわけではないですし、彼はすべての試合を
勝ったわけでもありません。
※むしろ、そういう面では田臥のほうが異常です
つまり、日本の高校で、八村のいるチームを
倒したチームもあったんです(少しの例だけど)。
当時、八村を見てみんながその実力に驚きましたが、
たとえばわしがそのとき、
「八村塁は凄い。これは将来NBAドラフトで
1巡目のひと桁順位で指名されて、1年目から
スタメンに名を連ねてオールルーキーチームに
選ばれ、2年目にはレブロンとマッチアップする
ようなレベルにまで到達すると思う」
なんて書いたら、コメント欄大荒れになったと
思うのですよ(笑)。
「NBAを甘く見過ぎ」
「しょせんは国内の高校のハナシ」
「あのくらいはアメリカにはゴロゴロいる」
「日本の部活ではそのレベルにはいけない」
みたいにいっぱい書かれて。
それがどうでしょう。
前述の記事でも書きましたが、八村は日本の
部活動で練習して、上記の選手になっています。
漫画でよくある「ひとり海外で武者修行をし
日本では得られないレベルを体感し…」
みたいなことでもないんですよね。
そろそろ冷静に捉えてもいいんじゃないかなと。
NBAは確かに凄いが、何をどうやっても届かない
信じられない世界ということではない、と。
多くのファンが、心のどこかで
「とんでもない世界であってほしい」
「一生手の届かない雲の上であってほしい」と
祈っているように感じることもあります。
実は日本人が活躍できる場所だったということを
認めたくない、と思っているようにさえ。
日本人は潜在的に「自分は幸せではない」と
思いたがるという話を聞いたことがあります。
どこかそれに通ずるものも感じます。
世界の中では劣っていたほうが都合がいいという
妙なマインドがどこかにあるのかもしれません。
でもそんな風に思う必要はなさそうです。
たとえば米国メジャーリーグ、
「イチローのレベルはゴロゴロいる」わけでは
ありませんでした。史上屈指の選手でした。
松井はあのヤンキースでワールドシリーズMVPに
選ばれるほどの男でした。
野球とバスケはもちろん違いますが、
でも、こういう事例って今後もドンドン
増えていくと思っています。
「誰かが扉を開き、一度やれると分かったら、
他の選手も活躍し始める」という現象は
これまで何度も目にしてきましたので。
凄い世界であるという憧れを壊したくないならば、
こう考えましょう。
NBAがそれほどの世界ではない、ではなく、
思っていたより日本人は凄かった、と。
NBAは凄い場所です。
NBAに八村より凄い選手はいます。
でも、ゴロゴロいるわけじゃありません。
八村はNBA内でも優秀なルーキーでした。
2年目もいい活躍ができています。
そして今後、MLBにおけるイチローや松井の
ような存在にまで到達する日本人が現れる
可能性だってあるのです。
※もちろん、八村がそうなる可能性だって。
こういう記事、何度も書いているのですが、
八村とレブロンが対峙していた事実を見て、
またふと思ったので、筆をとった次第です。
てなわけで、今日はこのへんで。
ではでは。

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八村の活躍に思う。「もっと凄いのがゴロゴロいる」は幻想だった、と。 へのコメント一覧
こういう考え方が大事ですよね!!
サッカーでのWカップ優勝も大勢の人が本気で信じて応援できれば更に盛りあがると思います。
結果論じゃない。
八村の言うとおり自分を信じることが大事なんでしょうね。
もっと(今でも充分?)Bリーグが盛り上がって行けば、BリーグからNBAにって選手が増えてくるのかなぁ…
ポジションは違いますがあのコービーですら13位ですからね。
渡邊もアメリカに渡ってからも努力を続けたからこそ今があると思います。
25〜6年前、野茂がメジャーに挑戦した時の事を思い出しました!
で見ちゃう人が多いのかもしれませんね。
そういう人は八村がクリス・ウェバーやアントワン・ジェイミソンぐらいになってはじめて認めるんでしょうかね。
もしくはドアマットチームの1stオプションか。
日本人がNBAの舞台で躍動するのが、夢じゃなくなったのが本当に嬉しいです!
激しく同意です。
例えばノヴィツキーのように。
現役ならヤニスやルカ、ヨキッチと肩を並べられるほどに。
ただ、その一方で彼等がどれだけ凄い選手か見てきているので、八村はその領域まで行けるとか楽観的に言われると、反論しなくてもいいはずなのに反論したくなってしまうんですよね。
「そんな簡単な話じゃねえんだ」と。
言葉が難しいですが、NBAで上位に入るほど活躍することがとんでもなく高いハードルだと理解した上で、八村には期待しているということなら良いのですが、そうでなく夢のような話ばかりされると眉を潜めてしまいますね。
野茂の時も中田英寿の時もみんなそう言ったんですよ。
10年後にはさすが日本!
って言われるように仕事頑張らないと。
八村選手が僕より強いひとはゴロゴロいる、と思うのは大事だと思うけど応援してる側は頑張ってー、くらいの気持ちでいいんじゃないかな?そんなことを思いました
今季からF1で角田選手がデビューします。
同じように今までの日本人の常識を打破してもらいたいです。
俺も周りからスポーツの話しする時日本人高く評価しすぎと言われたりします
でも実際日本人世界でも実績出してるしやれてる選手も多いのでそうは思いません
バスケも世界選手権やオリンピックで金メダル獲得出来るといいです
私からすれば、NBAで1年通して試合に出ている時点で「通用している」と思ってしまいます。
野球にせよサッカーにせよ、
パイオニアたる存在がいて道を切り開いてきた過去があるわけですから、ネガティブに捉えず、ポジティブに応援していきたいですよね!
ゴロゴロすごいのがいる、とか、やる前から負けているのは最悪ですが、人の活躍が全体がすごいように捉える風潮はよろしくないと思います。
松井のレイズでの晩年の姿は涙なしでは見れませんでしたが、彼がいかに覚悟を決めてメジャーに立ち向かったかを示しているようでした。
八村もことある事に『日本人初』のとインタビューでも口にしていますが、そんなことは気にせず、八村塁というバスケットマンとして成長していってもらいたいですね。
嬉しいなあ。こういう熱がKの部屋の自慢です。
ならば、レブロンやカリーが凄いのであって「NBAが凄い」と言うのもNGということですね。
なるほど!スッキリします!
ちょうどこの流れが今、一番来てるのが「総合格闘技」ですね。
「RIZINなんてレベルが低い。(実は観てないけど)UFCランカーを呼んできたら誰も勝てないし、UFC行ったらランカーにもなれない」
「未だにロープとか時代錯誤で終わってる」
という声はどこでも耳にします。
日本で生まれた総合格闘技が死にかけてアメリカでMMAとなり、再びまた日本で熱を帯びはじめた。
しかし残念ながらこっちのファンはKさんが挙げるような「誰かの足を引っ張ったり石を投げるためにスポーツエンターテイメントを使う層」がかなり比率が高い。
競技の特性もあるでしょうが、もっともっと「にわかファン」が増えない事にはこの比率を逆転できないし、昔はアングラだった匿名掲示板が勢力拡大されて認知されるようになってインターネットのあらゆる場所に蔓延ってる現状は、新規ファンの足を遠ざける事になる。
そういう存在になってくれると信じているのが、現在UFCライトヘビー級で参戦後二連勝、上位ランカーにもなってる元RIZIN王者イリー・プロハースカ選手。
【最もメジャーな場所には才能のある選手が集まってて平均レベルは桁外れだけど、どこの国だって、どんな団体やリーグにだって、ずば抜けた強い選手は生まれてくる】っていう当たり前の事を先入観で見えなくならないよう自分も気を付けたい。