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  • 2021年04月29日12:00

2000年5月の編集者・K(その3) 〜編集者になった・3〜

どーも!!!

実は「編集」の現場から離れて久しいのですが、
変わらず「編集者」を名乗る男、編集者・Kです!


最近はツアーやイベント系の「コトビジネス」に
携わっておりまして、メディア系の仕事は
メインタスクではなくなっております。

が、その分野の方と交わることは多々ありまして、
元々流れる血がたぎることもまた多々あります。

ていうか、本を作る時もイベントを企画する時も
「お客様を楽しませる」っていう根本は結局同じで
全然違うことやってる気もしないんですよね。


そんなわけで、編集者の魂がいまも生きている
わしが、今日も昔を振り返ってみます。

あのときの編集者・K」企画、前回の続きです。


ときは2000年5月、アルバイトとして
名古屋の雑誌編集部に所属することになった、
22歳の編集者・Kは、

「毎日3本、ニュース記事のネタを拾ってくれ」と
副編集長に告げられました。

※こちらの記事ご参照

 


やることがない毎日を過ごしていたK君は、
これに大喜びとなります。

やった、ついに仕事がもらえたぞ、と。

しかも「ニュース記事のネタを出せ」なんて、
いかにもメディア企業っぽくて、ドキがムネムネ
するじゃないですか。


まずは、改めて自分たちの雑誌を確認。

ニュースのコーナーを見直します。

これ、ほとんどの雑誌に共通するのですが、
だいたい巻頭のコーナーって、タイムリーな
ミニ記事の集合体なんですよね。

スポーツ雑誌だったら、旬の選手をピックアップ
していたり、1ページの小さなインタビューが
幾つか載っていたりしますよね。

ファッション雑誌やモノ雑誌だと、おおよそ
話題の新商品の紹介が並んでいるものです。

つまり、雑誌のアタマのコンテンツって、
だいたいニュース系の記事なんです。


ふむふむ、こういうネタを拾うってことだな。


で、
まあ一発目なんで、ホイホイ思いつくんですよ。
だって、何にも考えてないから(笑)。

ちょうど6月に出る号の企画が進んでいる
最中だったので、「初夏」っぽい企画を
つらつらと並べてみました。

季節的にTシャツの企画とかいいんじゃないか、
あるいは梅雨対策のグッズ紹介も面白そうだ、
かき氷も最近やけに人気があるよな。

カッカッカ、いくらでも湧いてくるぞ。

天才か、わしは天才か。


自分なりにページ構成なども考えてみる。

こんな写真をこんな風に並べるといい感じだぞ、
ここにドガっと大きな文字を入れて、と。

午後、それなりに考えたものを、
副編集長のもとに持っていきます。


パラパラパラと眺める副編集長。


「ふーん、で、お前は何を調べたの?」


え?


「梅雨対策グッズって、たとえばロフトとかで
なんか面白いものが出てたりするんの?」


いや、分からんです。
今日はずっと会社におりましたので。

※この頃、まだ個人のインターネット環境は
あまり普及しておらず、PCを持っていないわしは
ネットで調べることもできなかった


「なんで調べてないの?」


いえ、あの、その…。


「どうせ暇なんだから、外行って来いよ。
1日会社にいてネタが見つかるわけねえだろ」

「全部ボツ。お前の思い付き企画なんかイラン」

「こんあので企画が生まれるわけねえだろうが。
仕事ナメんじゃねえぞ」


は、はい…!!
すみません!! 行ってきます!!!


おいおいおい、
昨日と全然違うじゃねえかよ。

メチャクチャ怖いじゃねえか、副編集長。


てことで、とりあえず、
ネタを探しにハンズやロフトに行ったのですが、

まだ5月上旬で、梅雨対策系のコーナーは
誕生しておりませんでした。

これといって目ぼしいものが見つかりません。


うーん、まだ早かったか。


オフィスに戻りご報告。



「で、帰ってきたの?」

はい。

「いや、店に聞けばいいじゃん、
新商品の情報を聞いて来いよ」

へ…?

「ていうか、まだ売ってねえものを
調べるんだよ。店頭に既に並んでるものを
紹介しても意味ねえだろ」


そう、わしは「リサーチ」というものを
何もわかっていなかったのです。

そして、ニュースというもの自体も全然。


いまとはちょっと違うんかもしれませんね。

いまはSNSをはじめとしたネットの発達で、
既に世に出たものの中で、火が付いたもの、
話題になっているものを拾うことができ、
そのネタがニュースとして機能することも
多いのですが、当時は全然違いました。

「まだ誰も知らないもの」「発売されていないもの」
などをいかに拾い、発信できるか。

「これがいま流行っています、話題です」じゃなく
「これがこれから流行ります、要注目」ってのを
探さなきゃいけなかったのです。

※まあ、それは今もある文化だけど、当時は特に



でも、聞いたら教えてくれるものなんでしょうか。


「お前、名刺持ってんだろ」


は、はい、持っております。


「それ見せてみろよ、ハナシ聞いてくれるからよ」


へ? そうなんですか?
こんな22歳のペーペーでも?


「いいから、行ってこい!!!」


は、はい…!!!


再び街へ。


そして、言われた通りにやってみることに。

が、田舎者のチキン野郎なので、
なかなか声をかけられない。

※当時は、そういうのが大の苦手だった


が、これで帰ったら死刑になってしまう。
勇気を振り絞り、店の方に声をかけてみる。


あのー、すみません。

「はい、いらっしゃいませ」


ええっと、私、〇〇の編集部の者でして、
新商品を色々調べているのですが。


「ああ、どうも。お世話になっております」


…!!?


お世話になっております、って言われた…!!
こんな大学生みたいな年のわしに…!!!

本当に、名刺を出したら、対応してくれたのです。


「新商品ですか? どんな特集です?
載せてもらえるなら、情報出しますよ」


え? いや、あの…。


アタマ空っぽのわし。

そういや、まだまともに企画は考えていない。
そして、「載せます」なんて勝手に言えない。


あの、その…。


やや呆れ顔の店員さん。


「分かりました。とりあえず新商品の予定は
こちらなので、お渡ししておきますね」

資料をいただく。

「何か掲載いただけそうなものがあれば、
連絡ください」


は、はい。ありがとうございますっ…!!



再びオフィスへ。

副編集長にいただいた資料を見せる。


「ふーん、で、どれがイチオシなの?」
「お前は、どれをどう紹介するの?」


え? いや、それは聞いてないです。
どうしようかと。


「は? 話を聞けって言ったじゃん。
お前、何しに行ってきたの?」


すみません…。


「もういいよ、今日は。俺も忙しいから、
お前のダメなネタ探しに付き合う時間はない。
これ、コピーして来い」


ずーーーーん……。


ニュースの宿題を頂いた初日、

成果ゼロ。



青ざめた顔で帰宅した、
22歳の編集者・Kでしたとさ。


ああ、なんか色々思い出してきた。
あの地獄の日々を…(苦笑)。

そして、
いかに自分がクソだったかを(笑)。


てなわけで、また続きを書きますね。

ではでは。


※次の話はコチラ


-


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2000年5月の編集者・K(その3) 〜編集者になった・3〜 へのコメント一覧

  1. 1.
    • アモス
    • 2021年04月29日 14:34
    • 5
    新人のころを思い出す話ですねぇー。
    胸が苦しい、続き気になる。
  2. 2.
    • kkk
    • 2021年04月29日 18:28
    • 5
    おお、じゃあ今は“元“編集者Kさんなんですね笑
    月日の流れを感じます…
  3. 3.
    • ぶてふ
    • 2021年04月29日 21:28
    • 5
    仕事の仕方を知らない若い時に
    良い上司に出会えましたね。
  4. 4.
    • キニーネ
    • 2021年04月30日 07:52
    なんか、ぜんぜん違う職種ですけど・・・

    わかるわぁ〜。

    仕事始めたころは、すんごいハードな仕事な感じだったのに、慣れてしまうとそうでもないことって多々ありますよね。

    そして1年目にいい先輩上司に出会うのは大事ですね!
  5. 5.
    • スーパー
    • 2021年04月30日 15:54
    • 5
    自分の新入社員時代を思い出してしまうような記事でした…‼︎
    あの頃の何にもわかってないのに、出来てない事がわからない感じが特に。。
    読んでて、なんだかこちらまで落ち込みそうですが笑、続きを楽しみにしています!!!!
  6. 6.
    • 編集者・K
    • 2021年04月30日 21:28
    >>1
    ボチボチ更新していきまっす
  7. 7.
    • 編集者・K
    • 2021年04月30日 21:29
    >>2
    そういわれるとそうですな。確かに。
  8. 8.
    • 編集者・K
    • 2021年04月30日 21:29
    >>3
    はい、あの人がいなかったら、クソみたいな編集者になってたと思います(笑)
  9. 9.
    • 編集者・K
    • 2021年04月30日 21:30
    >>4
    いま思うと、「なぜあんなことに苦戦したんだ」っていうね(笑)
  10. 10.
    • 編集者・K
    • 2021年04月30日 21:30
    >>5
    みんなが通った道なんですねえ
  11. 11.
    • S57生まれ
    • 2021年06月06日 16:26
    • 5
    続き…お願いします‼️




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