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  • 2021年10月30日16:00

スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1110)

全日本大学選手権
準決勝・第1試合


1stクォーター 40秒

深体大 2
大和大 2


両軍最初のオフェンスを成功させるも、
Bリーガーたちの予想は「ロースコア展開」。


森尾 「守備は相当に堅いぞ」

佐戸 「簡単には点を獲れそうにないな」

須藤 「どうやら拮抗しそうだ」


その兆候は、1stクォーターのうちから現れる。

そこには2つのポイントがあった。



ひとつめ、
フリーのシュートチャンスがなかなか生まれない。


キュキュッ!!!

「おおーーーっと、またディフェンスふたり!!」

「これは攻め込めない!!!」


洗練された大和大のゾーンは、ボールマンを
しっかりと捉えつつもフロア上のバランスを崩さず
絶妙の距離感で動き続けた。

結果、ダブルチームのアクションも早く、
個の能力は最高レベルの深体大をもってしても
簡単にはシュートに持ち込めない状態が続いた。



キュッ!!!

「カバーが来た!!!!」

「あのセットプレイに反応するとは…!!!」


一方、深体大のディフェンスは、ヘルプが早い。

なかなか読み切れないセットオフェンスの動きに
対してフリーの得点機を許しそうな場面でも
必ず誰かが危機を察知し現れる。

結果、難攻不落と思われた大和大のセットも
全弾命中とはならなかった。




そして、ふたつめ、
こちらのほうが、より大きなポイントだろうか、


シュート自体がなかなか入らない。




ガン!!!!


道谷《おっと、これも入らない…!!!》

塚本《ちょっとリングに嫌われていますねえ》

道谷《点取り屋の諸星に勢いが生まれません》



ガン!!!!


道谷《永山のスリーも外れた!!!》

塚本《いつもなら入るパターンですがねえ》

道谷《少し力が入りすぎたでしょうか》



1stクォーター 残り1分

深体大 14
大和大 13


「おいおいおい、えらいロースコアだぞ…!!?」

「この展開は予想外だ…!!!」



弥生 「重たいゲームになってきたわね…」

彦一 「なかなか点が入らん…」

町田、頷く。

「ともに守備がいいのは確かだが、それよりも
やっぱりシュートがちょっと外れちゃってるよな」


彦一 「こんな試合になるなんて…」



が、


実は、
早い段階でこの予感を持っていた男がいた。



桜木 「愛知の星が最初に外したんだよな」



杉山 「ん?」

(愛知の星…、確か諸星のことだったな)


桜木、続ける。

「最初に奴が撃ったスリーは普通なら入るやつだ。
アレは、なんとなく入りそうな気がした」


森尾、思い出す。

「あのスクリーンからフリーになって作ったやつか。
確かにワンドリブルからシュートモーションに入る
リズムも悪くなかったし、肩の力も抜けていた。
雰囲気的にはキレイに入る感じはあったな」

杉山 「確かに…」



桜木 「あれが外れたのは大きいぜ」



森尾 「あ……」

(そういえば、桜木はあのシュートが外れたとき
ちょっと反応してたな…。まさか、あの1本で、
試合全体の予感を嗅ぎとったというのか…?)



御子柴 「これが準決勝の重圧ってやつか」

深津 「空気が重いピョン」



伊達翔 「やっぱり接戦は必至ですね」

渡邊 「準決勝なんだな」


三井、苦笑い。

「ああ、見る側は面白いだろうが、やるほうは
たまったもんじゃないな…」



鉛のような重たい空気が会場を包み込む。


見えない何かがシュートが入らないように
悪さでもしているかのよう。


ガン!!!!


道谷《あっと、牧、フリースロー2本目失敗》

塚本《これも入りませんか…》


仙道 「おっと珍しい」

清田 「牧さんが……」


道谷、塚本に問う。

《両軍ともになかなか乗ってきませんね。
あの牧が大事なフリースローを外しましたよ》


塚本、解説。

《ええ、こうなってくるとファウルは戦略的に
使えるでしょうね。ゴール下やペネトレイトは
敢えてファウルで止めることで、フリースローに
させる方が有効かもしれません》




『ビビーーーーーーーーー!!!!!!!!』



1stクォーター 終了

深体大 15
大和大 13


「うーーーん、ロースコア…!!!」

「これは、50〜60点台の決着になるか!?」

「どっちも精神的に苦しいゲームになるぞ…!!」



佐戸 「ベンチが動くかな」

外川 「あるんじゃない?」




『ビビーーーーー!!!!!!!』



やはり両軍のベンチが動いた。

道谷がその内容を伝える。

《深体大、諸星と河田雅史がベンチに下がり、
伊達健太と樋口がコートに入るようです。
一方、大和大は永山に代わって喜戸が入ります》

塚本、解説。

《なんらかリズムを変えたいところですからね。
しかし深体大は思い切りましたね。ここでまさか
諸星と河田兄を同時に引っ込めるとは》


三井 「それでも伊達弟と樋口だからな」

北田 「まあ、反則的なベンチだよな」



深体大ベンチ、


ギィ…。

椅子に深く腰掛ける諸星。

「あああ〜、なんか全然入んねえぞ、クソ…。
タッチは悪くない気がすんだけどなあ…」

河田雅、声をかける。

「まあ、ときにはこういう日だってあるだろう。
守備は悪くないんだ。ここは根気強く戦って、
どこかで勝負を賭けるという展開だろうな」


唐沢監督、ニコリ。

「勝負の時間帯はちょっと未来だろうからな。
気持ちを切らさず、上手く休憩するようにな」


諸星 「っす」

河田雅 「分かりました」




はたして、

数名の選手交代では、
試合の空気は簡単には変わらなかった。



ガン!!!!

道谷《伊達健太、来ません…!!》

塚本《新しい選手にも当たりが来ませんか!!》



バシイイ!!!

道谷《河田弟のブローーーーーック!!!!》

塚本《セットプレイの精度が少し落ちたか!》




2ndクォーター 残り5分

深体大 22
大和大 21


「ホントにスコアが伸びない…!!!!」

「選手交代じゃ流れは変わらないのか…!!?」


道谷《依然、重たい雰囲気が続きます!》

塚本《前半はこのまま行くかもしれませんね》



牧、ベンチに顔を向ける。


唐沢監督、腕を組み頷く。

これに対し、牧も頷く。


牧、コート上のメンバーに対して、
両手の手の平で空気を下に押すようなしぐさ。

「いまは無理しないでいい」「一旦このまま」
そんなイメージを選手間で共有する。


河田雅 「とりあえず、現状維持かな」

諸星 「前半は五分五分で問題ないってか」



それは大和大も同様。


パンパンパン!!

土屋が手を叩き、声をかける。

「苦しい時間やが、ここは辛抱や。
ギャンブルに行く必要はないで」


松本 「っし、粘り強くやっていこう」

野辺 「リバウンド、ルーズボール、大事だぞ」



大きな変化は生まれない。


お互い攻めあぐね、どちらも主導権を奪えず、
ゲームは前半の20分を終えることとなった



『ビビーーーーーーーーーー!!!!!!!』




2ndクォーター 終了

深体大 28
大和大 28




続く



-


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スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1110) へのコメント一覧

  1. 1.
    • コレコレ
    • 2021年10月30日 16:03
    深体大のベンチやっぱりエグイっすね
  2. 2.
    • あい
    • 2021年10月30日 16:07
    • 5
    桜木二年生時の選抜予選決勝を思い出すな。
    あのときは彦一が何とかしたけど、伊達くんは何とかならなかったようだ。
  3. 3.
    • エンジニア・H
    • 2021年10月30日 16:09
    スラムダンクでは有名な
    まだ慌てるような時間じゃない
    ってやつだ
  4. 4.
    • 桜木?
    • 2021年10月30日 16:16
    ホントにこの人、桜木花道??
  5. 5.
    • いつぞやの
    • 2021年10月30日 16:23
    • 5
    陵南vs湘北を思い出しますね。
  6. 6.
    • のま
    • 2021年10月30日 16:33
    >>4
    この花道はがくせーとは違うプロだからな。

    天才だし
  7. 7.
    • 後半のカギ
    • 2021年10月30日 16:41
    丸ゴリvsトーテムポール
  8. 8.
    • ミッチー
    • 2021年10月30日 16:48

    Kさん更新ありがとうございます。

    中々得点が入らない両チーム、諸星が外した時に花道は重いゲームを予想していたとは!

    これはまるで花道2年次選抜県大会決勝湘北VS陵南の感じ!

    花道が諸星を認めているの良いですね!
    深体大は諸星&河田兄が下がり伊達健&樋口を投入、大和は永山の代わりに木戸が入るが流れは変わらない。

    牧さんがフリースローを外すとは、これは不味いです。
    前半終了で28対28の同点のロースコア!

    準決勝の重圧、この思い空気をぶち破るのは果たして誰なのか!要チェックや
  9. 9.
    • めそ
    • 2021年10月30日 16:59
    桜木凄い!!
  10. 10.
    • スパイク
    • 2021年10月30日 17:27
    • 5
    こういう展開はバスケではよくあるものなんですかね
    点の取り合いの競技でこれはきついですね💦
  11. 11.
    • よく通る通りすがり
    • 2021年10月30日 17:37
    • 5
    桜木の嗅覚!!!
  12. 12.
    • ヤン
    • 2021年10月30日 17:48
    ロースコアは大和ペースみたいなものですから、そこから王者がどう寄り切るかでしょうかね。
  13. 13.
    • RVP
    • 2021年10月30日 19:22
    重たいゲームですねえ。
    どのタイミングでダムが決壊するのか…。
    何気ないプレーなんだろうなあ
  14. 14.
    • 旅人
    • 2021年10月30日 19:37
    この試合牧の弱点であるスロースターターなのが響いてますね
    日本人ガードとしてはパワーは圧倒的なんだから一人で打開できる選手なのに
    大和が後半エンジンのかかってきた牧をどう止めるのかが気になりますね
  15. 15.
    • スーパー
    • 2021年10月30日 20:12
    前回、ふわっと描かれた桜木の「あ…」に、
    こんな凄い事が潜んでいたとは。
    ますます勢いだけの男じゃなくなってるんですねえ。
  16. 16.
    • 花道
    • 2021年10月30日 20:16
    鍵は諸星と土屋の予感
  17. 17.
    • リリス
    • 2021年10月30日 20:16
    あっさり前半終わりましたね。
    深体大は、シュートが入らないなら、相手がゾーンだろうがドライブとインサイドプレイで強襲するラインナップ(牧・諸星・河田兄・樋口・河田弟)にしても面白いかもしれませんね。牧も調子を上げてくるでしょう。中で点取れるようになったら諸星や河田兄の外が空きやすくなるでしょうから。
  18. 18.
    • 沖田掃除
    • 2021年10月30日 21:00
    大和に湘北勢がひとりいたらわからんけどこの面子だとどう転んでも深体大よなあ
    大和が勝った場合は青葉を激戦の末破った明利が
    原作みたいにあっけなく大和に負けたとナレーションで終わる展開でも激熱w
  19. 19.
    • 通りがかりさん
    • 2021年10月30日 22:55
  20. 20.
    • d
    • 2021年10月30日 23:00
    試合が動き出すスイッチはなんなんだろうか
    最初の河田のブロックがかわされてるから、河田のブロックとかなのかなぁ
  21. 21.
    • ツーメンゲーム
    • 2021年10月31日 01:44
    >>14
    どうなんですかね

    大和は、ゾーンで中を固めている上に、相手によっては、1人に対して2人掛りでチェックをしていますし(しかも、それによって、フリーになる選手ができるはずなのに、カバーリングも早い)

    その上、この日の審判は「接触プレイ」に寛容なのか、牧の「最強のペネトレイト(体をぶつけながらシュートを放ち、バスカンを狙うプレイ)」に対する大和のディフェンスに、“ファウルを取らなかった”

    あまりにも強引に仕掛ければ、逆に、土屋や松本に狙われて、「オフェンス・チャージ」を取られる可能性も

    打開策としては、専翔大戦で見せた、味方の選手やベンチでさえ、いつしたのか、よく分からない、“見えないパス”の方を期待したいと思いますが

    ある意味、アレは、深津が引き出したと思われる面もあるので、果して、その領域に達することが自在にできるのか、どうか、やや不確定なところが(いつでもできるのならば、既に、やっているはず)

    やはり、今回、鍵を握るのは、ベンチに下がった諸星と河田兄になるんじゃないですかね
  22. 22.
    • 魔物?
    • 2021年10月31日 02:11
    この展開(シュートが入らない)って、本当に、「準決勝の重圧」から来るものなんでしょうかね?

    挑戦者的な立場である大和大の方は、相手が大学バスケ界の雄である深体大ともなれば、コレまでとは違った緊張や、並々ならぬ思いから、普段通りとはいかないというのも分かりますが

    深体大の方は、春のトーナメント、秋のリーグ戦ともに、決勝戦進出を果している上に、主力選手のほとんどが、おそらく1年生の頃から、何度もこの手のプレッシャーの中で戦ってきたはず

    強いて言えば、4年生の選手は、負けた瞬間、大学バスケ終了(深体大には、まだ天皇杯は残っているが)というのもあるけれど、それは、「準決勝」に限った話でもないわけで

    となると、やはり、「こういう日」という、“理由なき理由”に着地するんですかね

    できれば、こういう試合にこそ、「ゴッドハンド」という異名を持ち、他の選手とは違って、どこか飄々としている神が居たら、どうなっていたのか、観て見たかったですね
  23. 23.
    • イルガスカス大好き
    • 2021年10月31日 02:49
    さすが筋金入りのリバウンドスタッツ厨ww
    こういう試合は桜木が輝くよなww
  24. 24.
    • ふう
    • 2021年10月31日 03:24
    花道君の前話の「あ..」が、今回でハッキリしたわけですね😳バスケットマンになったんだねぇ〜本当に。
    両チーム、早くノレるきっかけが、一発が欲しいところですよね。更新ありがとうございました🙇‍♀️
  25. 25.
    • とうちゃん
    • 2021年10月31日 09:07
    ここまで重いと見てるほうも重くなっちゃいますね、安西先生
    監督の役割が大きくなりそうですね
  26. 26.
    • ハル
    • 2021年10月31日 09:22
    • 5
     更新お疲れ様です!試合前半は全く勝負動かず・・・!しかし桜木、諸星の最初に外した1発で、試合全体の流れを予想するとは・・・!?もはや完全にプロの世界に生きる天才ですね❕❕👍(笑)
  27. 27.
    • はるゆき
    • 2021年10月31日 13:31
    ああ、ロースコアを予見してたって事か。

    問題はシュート外しまくってるのにスコアはさほど離れていないほど深体大はリバウンドを取りまくってる事と、じわじわスコアが縮まりついに並んだ事だな。
    さあどっちに転ぶかな?
  28. 28.
    • はるゆき
    • 2021年10月31日 13:34
    >>10
    普通出だしからこうやって外しまくるとスコアがどんどん離れてビハインドになるんですけどね。
    横並びって事はそれだけリバウンドやスティールで奪い返してるって事だと思います。
  29. 29.
    • バスケをするお坊さん
    • 2021年10月31日 18:14
    ゴリ全国制覇させてやって下さい。
    お願いします。
  30. 30.
    • リビング
    • 2021年10月31日 22:14
    明利と青葉はハイスコアゲーム期待。




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