準決勝・第2試合
1stクォーター 2分30秒
明利大 10
青学大 2
依然、明利大リード。
宮城のシュートが外れても
ベンチの木暮は、手を叩いて声を出す。
「オッケー、オッケー、撃っていこう!
大丈夫、まだまだウチの流れだぞ!!」
しかし、
藤真の眼差しは変わらない。
しっかりと前を見続ける。
(こっちは、やりたいことはやれてるぜ。
この試合、第1クォーター内に必ず動く)
ダム、ダム……。
ゆっくりと明利大ディフェンスの待つコートへ。
藤真、ニヤリ。
(それに…、さっきひとつ明らかになった)
宮城 「…!?」
佐戸 「さあ、そろそろ新しい動きがあるかな」
仙道 「まだ外に当たりが来てませんね」
佐戸、腕組み。
「一番狙いやすいのは、やはり家村の位置だろう。
マッチアップが本来センターの花形だけに、
ここまで完全なシャットアウトには至っていない」
清田 「あとは、入るかどうか…」
仙道 「………。」
藤真に宮城、
天崎に竹村、
家村に花形、
神に荒石、
森重に赤木、
コート上の選手サイズでは、圧倒的に明利大が上。
一見、明利大に分のあるシチュエーションだが、
しかしアンバランスな対峙も生じている。
ビッ!!
道谷《ボールが家村に入りました!》
塚本《そろそろ決めたいところですよ》
花形がチェックに出る。
(いや、これ以上、絶対に空けはしない。
家村がずっと外し続けてくれるわけがない)
キュッ…。
家村、ボールを構える。
「……!!!!?」
「1on1……!!??」
「家村が…!!?」
彦一 「家村さんの独力勝負…?」
町田 「あまり見ない形だな」
弥生、頷く。
「そうね、フリーで受け取って確実に射貫く、
彼は典型的『ピュアシューター』型の選手。
三井君や伊達健太君とはタイプが違う」
青学大ベンチの陸川、
腕組みのまま頷く。
「なるほど、試す価値はあるな」
彦一 「あるんか…? ここからの勝負が…」
花形 (来るのか…?)
そこに声。
「スクリーン、行った…!!!!!」
花形 「…!!?」
ダム!!!
家村、ドリブルで仕掛ける。
ガシイイイイ!!!!!!!!
花形、阻止に動くがスクリーンに捕まる。
「……!!!」
スクリーナーは、森重だった。
赤木 「スイッチ…!!!」
キュッ!!!!!
赤木が家村のチェックに出る。
ビッ!
瞬間、家村はインサイドにボールを放る。
そこには、体勢を入れ替えた森重。
明利大ディフェンスのスイッチにより、
マッチアップは花形に変わっている。
「……!!!!!」
「ピック&ロール…!!!!」
ボールが森重に渡る。
ダム!!!
森重、花形に対して体をぶつける。
「おおおおーーーーーっと…!!!!!!」
「ここでパワープレイ!!!!!」
森尾 「おおっ!!」
桜木 「なるほど」
藤真 (赤木以外は1対1で森重を止められない)
バス!!!!!!
1stクォーター 2分50秒
明利大 10
青学大 4
「決めたあああああーーーーーーーー!!!」
「ここで森重のインサイド!!!!!」
「4枚シューターの布陣から、インサイド!!!」
赤木 「チッ…、青葉め…」
花形 「そう来たか…」
杉山 「なるほどなあ…、考えたもんだ」
森尾 「2対2からスイッチを誘導して、中か」
桜木、ニヤリ。
「なるほど、ああなるとデカ坊主のモンだな。
ゴリ以外じゃ1対1で止めることはできねえ」
杉山 「そうか」
桜木 「あ、この天才は止めるがな」
杉山 「そうか」
(まあ実際そうだろう、あのパワープレイには、
ウチのチームで考えても俺より断然桜木だ)
道谷《塚本さん、いまのプレイは?》
塚本《はい、いわゆるピック&ロールですね》
道谷《2対2のシチュエーションの王道ですね》
塚本の解説。
《森重君が、花形君にスクリーンをかけました。
花形君の守備の進路に立って、言ってみれば、
邪魔をするわけです。家村君が森重君の立つ側に
ドリブルすれば花形君は森重君にぶつかります》
道谷《はい、実際にそうなりました》
解説が続く。
《それに対し、明利はマッチアップを変更し、
もともと森重君の守備についていた赤木君が、
スクリーンでフリーになりかけていた家村君に
対して、チェックに出ました》
道谷《いわゆる、スイッチですね》
塚本《空けたら撃たれてしまいますから》
コート上では、
明利大のオフェンスが始まる。
宮城がボールを運ぶ。
(なるほど2対2か…、色々考えてくるもんだぜ。
だが1本取り返せば一緒だ。ここは強気で行く)
塚本の解説が続く。
《しかし、赤木君が家村君に対して動いたことで
今度は森重君が一瞬フリーのようになりました。
そこで次は、花形君が森重君の守備に動きます》
道谷《なるほど》
塚本、続ける。
《そして、森重君はゴール側に進路を変更します。
そこに家村君がパスを放り込みました》
道谷《それで花形と森重の1対1になったんですね》
塚本、頷く。
《ええ、そうなると完全に森重君のものですよね。
1対1の肉弾戦で彼とやり合える選手は全チームを
見渡してもごくわずかです。明利にも赤木君しか
いないでしょう》
道谷《結果、森重のゴール下が決まりました》
塚本《さらに、この作戦の怖いところは……》
と、
その時、コート上に動き。
ダム!!!!!!
「宮城、行ったあああーーーーーーー!!!!」
道谷《宮城、仕掛けました!!!》
天崎 「…!!」
宮城 (いまは行くんだ、押していく!)
キュッ!!!!
天崎、必死についていく。
しかし、止めるには至らない。並走。
(速えよ、宮城さん…!!!)
諸星 「お!!」
牧 (さっきはそこからミドルを外した)
キュッ!!!!
天崎が喰い止めれないと見るや、
さらに青学大ディフェンスが宮城に寄る。
ビッ!!
宮城、守備を引き付けて、ボールを差し出す。
河田雅 「上手い」
牧 (今度はパス、冷静だ)
花形へ。
「花形だ!! インサイド好調!!!」
「マッチアップの家村とはミスマッチ!!!」
ビッ!!!
しかし花形、ここからすかさずパス。
「おっと、ボールの回りが早い!!」
ボールは切れ込んだ竹村へ。
藤真とは体格差のミスマッチ。
河田雅 「これも上手い」
河田美 「おお…」
バス!!!
1stクォーター 3分10秒
明利大 12
青学大 4
「決まったああああーーーーーーーー!!!!」
「花形のパスから竹村!!!」
「インサイドの司令塔、本領発揮!!」
宮城 「よーーーっし!!!!!」
天崎 「クソ……」
(俺がまず宮城さんを止めねえと、今のプレイを
続けられちまう…、まずは俺なんだ…)
千種 「お兄ちゃん…、頑張れ」
須形 「宮城さんとの勝負かあ…」
牧 「宮城の調子はよさそうだぞ」
諸星 「天崎、どこまでやれるかな」
天崎 (次は止める、絶対に止めてやる…!!)
道谷《明利、一本返しました!》
塚本《今のは、いいオフェンスでしたね》
そして道谷、解説を促す。
《と、塚本さん先ほどは途中で失礼しました。
2対2の話の続きをお願いできますか》
塚本、頷く。
《ええ、この2対2のコンビプレイの怖いところは、
いまの青葉の布陣なら誰が外でボールを持っても
同じことが出来てしまうことです》
道谷《……!?》
陸川、ニコリ。
「見えてきたな、ここからの策が」
続く、青学大の攻撃。
藤真 「一本!!!!!」
「オウ!!!!!!」
塚本《いまは外の4人がみんなシューターです》
道谷《そういうことになりますか…!》
陸川 「さあ、反撃開始だ」
続く
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スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1120) へのコメント一覧
更新ありがとうございます!待ってました!!
本当に、待ちくたびれましたよ、、、
でも無理なさらずに🙏🏻
Kさんいつもありがとうございます♪
お待ちしておりました。
4シューター+森重の青葉VS赤木、花形、荒石のトリプルタワーの布陣を操る宮城の明利。
スクリーンを使い花形と赤木のマークをチェンジし森重が決めた〜!
4人シューター+森重だと同じことが起こってしまう!止めるすべはあるのか?
宮城が天崎を抜き冷静にパス、そこから花形も上手くパスを回し竹村が決めました!
宮城、花形の活躍が嬉しいです!
塚本さんと道谷さんの解説がわかりやくていいですね!
まだ森重しか点をとっていないがここからが恐ろしいです。
両チーム頑張れ〜
自分ならどんなにやりたいことができていたとしても点差がついていたり劣性に立ってしまうとそれが本当にやりたかったことではないかのように認識してしまう。、
唐突に更新きたからコメがまだ少ねぇwww
それにしても面白い!
これまであまりスポットライトが当たってなかった家村がまずはポイントですね。
4シューターからの連携にも期待です!
めちゃくちゃ楽しみにしてました✨
もちろんKさんのペースで続けてもらえればいいのですが、面白すぎるんでやっぱり早めの更新希望です。笑
待たせやがって……
嘘です笑
新年明けましておめでとうございます。
今年もKさんのペースで私たちを楽しませてください!
本年もよろしくお願い致します!
瞬間、家村はインサイドに向かってボール放る。
↓
瞬間、家村はインサイドに向かってボールを放る。
ですね。ありがとうございます!
神もじみーーに好き(笑)
でもその動きは、荒石の頭脳とスピードならば可能かもしれないけど、たとえ、先回りできたとしても、今度は、森重のパワーで弾き飛ばされてしまうというわけか(しかも、一番厄介な、神のマークを誰が引き受けるか問題も出てくる)
いっそのこと、明利は、青葉のピック&ロールに対してスイッチをせずに、赤木はゴール下で待ち構えて対処した方がいいのかもね(ちなみに、深体大の場合だと、美紀男は赤木よりも動けないので、自然とそういうことになるかも)
赤木の圧力&ディフェンス力があれば、相手はゴール下まで突っ込んで来れないだろうから、必然、ミドルシュートを撃つことになる
森重のゴール下よりも、シュートが外れる可能性は高くなるだろうし、赤木はゴール下から動かない分、リバウンドも取りやすくなるはず
しかも、中で勝負してくれれば、シュートが決まっても、“3点ではなく2点”で済む
…と思うのだが
果して、青葉の逆襲(4シューター+森重)に対して、明利はどんな打開策を見せてくれるのか、楽しみにしていますね
後半、宮城にとっては、苦しい展開が待ち受けていそう(湘北時代にも、終盤にヘバッたり、脚をツッたりというシーンあり)
負けていながらも、先手を取って、やりたいことがやれている上に、真綿で首を締めるように、相手の体力を削っていく、この青葉の強かさよ
怖いねえ
しっかりと前を見続ける。
(こっちは、やりたいことはやれてるぜ。
この試合、第1クォーター内に必ず動く。
お前は後半から出る予定であろうが、そろそろ準備しておけよ・・・・・・・・・・木暮)
仙道 「………まだですか・・・・・・・・木暮さん。」
更新ありがとうございます☺️
今年も楽しみに読ませてもらいます、無理せずに頑張って下さい。
次回も無理なくお願い致します🙇♀️
細かい。
あたまの中で補完して読んでくれ
ここからの天崎くんのプレーも楽しみですね、安西先生
ツインタワーがんばれー
それならば明利に分がある
赤木が出ないと外でオープンになりますから切れ込むこともなくスリー撃つと思いますよ。
家村が森重のスクリーンを使って、花形をドリブルで抜いているということは、一旦、家村はゴール方向に動いていると思うんだけど
その動きから、3Pを狙うのであれば、進路を変更するか、ペイントエリアを横断して、再び外に向かう必要に迫られる
そうなると、シュートを打つまでには、それなりの時間が必要になるので、赤木がチェックに出るのではなく、荒石・宮城・竹村の3人でローテーションをすればいい
で、このローテーションでマークが外れた選手のところに、花形がチェックに向かう
もし、最初の家村の動きが、ゴールではなく外に向かっているのだとしたら(その場合、森重のスクリーンの位置は、どうなっているのか?)、基本、ゴール下にいる赤木がチェックに向かったとしても、結局のところ、全然、間に合わないような気がするんだけど…
ちゃんと読んでる?
特に、問題はないですよ
得点表記やストーリーの説明文は「青学大」
赤木や解説の塚本などの個々人は「青葉」
となっているので、決して、混同しているわけではありませんから
もう少し補足すると、解説席の塚本が、この「2対2(ピック&ロール)」の作戦は、家村と花形というマッチアップだけではなく、青葉のどの4人からでも仕掛けることができると言っていること
花形のような2メートル級のインサイドプレイヤーでさえ、森重のパワーに対しては分が悪いのに、宮城や竹村などのアウトサイドの選手などであれば、全くもって、相手にならない(仮に、ベンチに控えている主要メンバーと交代したとしても、同じこと)
つまり、森重を抑えられるのが赤木しかいない以上、赤木がスイッチした時点で、青葉の術中にハマったことになる
あと、青葉の選手が、中でミドルシュートを撃つ選択をした場合、3Pラインのように距離感を測れる目安がないため、むしろ、3Pシュートよりも外す確率が高くなる可能性がある
実際、天崎は深体大の伊達建に、「スリーは入るのに、ミドルは結構外す」と言われているし
外でパスを待ち受けて狙い撃ちをする、ピュアシューター・タイプの家村は、ドリブルからのストップ・ジャンプ・シュートをする必要に迫られるので、その分、普段撃っているシュートよりも、難易度が上がる
なので、中に切れ込んでくれば、ミドルを撃たす
再び、外から3Pを狙うのであれば、ローテーション
の方がベターだと思うんですけどね…
ボールホルダーに森重を近寄らせない、スクリーンされたら本来のマーカーが追い付くまで2人をいっぺんにマークして森重に戻る… しんどい
数的優位な状況を作ることが重要な競技で数的不利を放置はさすがにベターではないですよ。
このプレイではドライブからのピック&ロールを選択しましたがフリーならなんだってできるわけで。
プレッシャーのかからない状況でのミドルならそう外すこともないでしょう。
外のケアもワイドに広がっているであろう4人を3人で守るのは力量の拮抗した相手ではまず不可能です。
スラムダンクを楽しむだけではなくバスケの知識としても勉強になる素晴らしい回でした。