準決勝・第2試合
1stクォーター 残り3分20秒
明利大 17
青学大 12
明利大、タイムアウト。
道谷の実況。
《ここで明利がこの試合最初のタイムアウト。
どうやらフォワードの島袋が入る模様です。
1年生の点取り屋が新たにコートに加わります》
塚本《また明利のオフェンスが変わりますよ》
道谷《これに対し青葉がどう動くかも注目です》
青学大ベンチ、陸川。
「どうやら、相手は島袋が入るようだな。
これは荒石がベンチに下がるパターンか」
藤真、ニコリ。
「神にとっては厄介な相手が外れる形ですね。
少し攻め方を変えてもいいかもしれない」
神 「分かりました」
家村 「オーケー」
天崎 「………。」
(本当に荒石がここで外れるのか…?)
『ビビーーーーーーーー!!!!』
タイムアウトが明ける。
そして、明利大は島袋がコートに入る。
道谷《明利、選手交代です》
塚本《交代は…?》
「……!!!???」
「おおっと…!!??」
荒石、コートに入る。ベンチには退かない。
藤真 「ん…?」
天崎 「…!」
道谷《おっと、ベンチに戻るのは花形ですね》
塚本《これはちょっと予想外ですね》
道谷《この第1クォーター、絶好調でしたが》
塚本《ええ、興味深いベンチワークです》
陸川、ニコリ。
「坂口さんも面白い仕掛けを撃ってくるもんだ。
いいだろう、島袋には家村がついてみよう」
家村 「はい」
陸川、続ける。
「そして、島袋にマークされる人間は、
ハッキリ言ってチャンスだ。意識して攻めるぞ」
藤真 「はい」
両軍メンバーがコートに入る。
天崎、ニコリ。
(このままベンチに座るわけにはいかねえよな)
荒石 「なんだ、ニヤニヤしやがって」
天崎 「いや、お互いディフェンス頑張ろうぜ」
荒石 「ああ、でもちょっと違うんだな」
天崎 「…?」
ビッ!!
家村のスローインを藤真が受け取る。
青学大ボールから試合再開。
そして、
次の瞬間、観客席騒然。
「おおおおおおーーーーーーー!!!!???」
「なにィィいいいいーーーーー!!!!??」
明利大のディフェンス。
藤真に宮城、
家村に竹村、
森重に赤木、
そして、
天崎に荒石、
神に島袋。
「スコアラーの神に島袋だと…!!!!?」
「奇策…!! いや、無謀…!!!??」
天崎 「え…!!?」
隣に荒石が立つ。
「しょーがねえだろ、監督の指示だからよ」
天崎 「……。」
(俺に荒石が…!?)
須形 「うおおーー!! スゲエ、スゲエ!!」
松坂 「天崎さんに荒石さん…!!!!」
上原 「意味わかんねえけど、面白れえ!!」
安西 「ほう…」
森尾 「どういう意図だ、これは…」
杉山 「分かるか、桜木?」
ギラリ!!!!
桜木 「分からん」
森尾・杉山 「そ、そうか…」
(なぜ分からないのに、そんなに自信満々な…)
森尾、さらに問う。
「しかし、あの荒石、大仕事だったはずの
神のマークから外されて、わめき散らしても
よさそうなもんだが、そんな感じはないな」
杉山 「確かに」
(まあ、桜木なら大暴れだろうからな)
桜木、ニヤリ。
「さあ、どうかな」
藤真、笑顔で声をかける。
「オーケー、一旦落ち着こう。
まだ第1クォーターだ」
天崎 「は、はい…!!」
神 「はい」
そして、注目の島袋は、
「……!!!!!!!」
神に完全に体を向け、密着マーク。
もはやボールを見ていない。
露骨なフェイスガード。
牧 「……!!!!」
(これは…!!)
桜木 「あ…!」
杉山 「ん?」
明利大ベンチ、花形。
「さすがに、ざわついてますね」
坂口、ニコリ。
「まあ、たまにはウチのようなチームが
奇をてらったことをしてみてもいいだろう。
なにしろ相手は青葉だ、無駄にかき回すのも
ひとつの作戦だ。上手く行くかは分からんがな」
道谷《塚本さん、この守備は…》
塚本《いえ…、全然分かりません》
道谷《明利、まさに予想外の作戦です》
だが、
このフェイスガードが、
思いのほか、機能した。
キュキュッ!!!!
神がいくら動いても、島袋は離れない。
ボールがどこにあろうと、
自分以外の場所で何が繰り広げられようと、
島袋は、神しか見ない。
これはさすがに神も振り切れない。
スピード自体は、そもそも島袋の方が上。
単なる追いかけっこならば、負けはしない。
島袋 「ずーーっと、アンタにつくさ」
神 「………。」
町田、苦笑い。
「相手のドライブには致命的な弱さを披露する
島袋だが、神はそういうタイプでもないからな」
中村 「これで、守れちゃう…のか??」
弥生 「この守備、どこかで…」
彦一 「……。」
結果、神はフリーになれず。
「おいおいおい、島袋、効いてるんじゃね??」
「こんな小学生のような作戦が…!!?」
牧 (まあ、高校でもやったチームはあるが…)
桜木 「……。」
荒石、苦笑い。
(あんなデタラメな守備は、俺には無理だな。
他を一切見ないなんて、できっこねえや…)
陸川 「坂口さん…」
(これが狙いなのか…!? 確かにこれなら
神は完全フリーになりづらいかもしれんが)
ビッ!!
藤真は、天崎にボールを回した。
キュッ!!!
ここのマークは荒石。
だが、ある程度の距離をもって守備に。
「……!!!!??」
「シューター相手に離し過ぎだ…!!」
「あれじゃ外から簡単に撃たれるぞ…!!!?」
天崎 「…!?」
荒石 「ふん、これも監督の指示だからよ」
森重 「…!?」
少し躊躇する。
「あれじゃスクリーンかけても意味ないか!?」
「天崎と荒石が離れすぎてる」
佐戸 「意識的に変わったことをやってる?」
仙道 「…?」
佐戸 「そんな気がするな」
そして、天崎も戸惑う。
(こ、これはどうすれば…、
撃っちまえばいいのか?)
藤真 「…!!」
陸川 (天崎……)
ビッ!
天崎、ボールを藤真に戻す。
佐戸 「ほう…」
仙道 「これは…」
佐戸、ニコリ。
「あの青葉学院が、空いても撃たなかったぞ」
続く
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スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1122) へのコメント一覧
明利がどうしても湘北のように見えてしまうから、凄く応援したくなる。
しかし、あの青葉がこのままやられたままでいくはずもないし、どうなるのか…‼︎
また怒涛の更新を期待していいのか…
毎回色んな予想が建てられる中
全てを上回る展開…
今回も楽しく拝読しました
ありがとうございます♪
それはさておき、明利が“いつもとちょっと違う”の積み重ねで青葉のリズムを崩す作戦なら鍵は藤真の支配力になるからいよいよ宮城対藤真の戦いになるんかな?
Kさんいつもありがとうございます!
島袋との交代が花形!更に神のマーク!二重でおどろきました‼️
島袋が神だけをみてマーク、これは思いつきませんでした!
花形を休憩を入れつつ神のマークを外さない坂口監督すごいです!
荒石VS天崎の元チームメイト同士の戦い来たー
良いぞ〜湘北!もっとやれ〜
フェイスガードは原作の海南対湘北を回想しちゃいます。
荒石が天崎につくのは青葉には効くかも。
深津がリョータにしたようにここぞで前に出る。
平面のスピードは互角だろうし森重もハイポからは外使いづらくなるし藤真のドライブのみではリズム作れないんじゃ。
次回が楽しみです☆
おもしろい!
関体大が見せた、「アレックス × 三井」の明利版ということか
しかし、天崎撃たないとはね
「ピック&ロール(ツーメン・ゲーム)」を仕掛けるために、最初はスリーポイント・ラインの外ではなく、内側にポジションを取っているんだろうか
だとしたら、スリーは入っても、ミドルは結構外す天崎としては、『どうぞ、撃ってください』みたいなディフェンスをされたら、かえってプレッシャーになるかもしれないな
普通は、オフェンスで先手を取るもんだが、まさかのディフェンスで青葉は悩ませるとは、“世界の荒鷲”やるじゃねぇか
こういう原作を彷彿させるところが秀逸です!
いつも予想を上回る展開でうれしい。
ところで、
>坂口さんも面白い仕掛けを撃ってくるもんだ。
ですが、…仕掛けを打ってくる… ではないでしょうか?
…
…
なんか…
いいねぇ。
荒石と天崎のマッチアップ熱い!桜木と流川は何度も1on1やってたけど、この2人はポジションも体格も違うし高校時代やってたのかどうか気になるところですね。
更新ありがとうございました、次回も楽しみお待ちしております。
ピュアシューターではないから、荒石の守り方は効きますなあ〜
仕掛けないことが仕掛けになった
みたいな
結構調べましたが分かりませんでした。
小安先生に似ている明治大学の監督、今後の展開に欠かせない人物だと思いまして、もしお解りになられる方お願い致します。
「……。」の3連発に思わず笑ってしまいました。
これで明日も仕事一日、頑張れます。
あれは思い出したくないな。
元柔道日本一の実績を持ち、日本プロレスから、アントニオ猪木が旗揚げした新日本プロレスに移籍した「坂口征二」というプロレスラーです(息子で、兄の征夫もプロレスラーで、弟の憲二は俳優です)
明利大学は「明治大学」を文字ったものなので、プロレスが大好きなK氏が、明治大学出身の有名選手として登場させたものと思われます
「(世界の)荒鷲」というのは、アントニオ猪木の「燃える闘魂」のような、選手を表すキャッチコピーです
原作ファンには懐かしくて高ぶるシーンですね!
まさか・・・・・・・
確かに まだ見ていない
どこで出てくるか・・・・・・
何これ。
ワクワクが止まらない。
原作キャラ+天崎荒石なので、キャラ造形含めての脳内漫画化ができて楽しすぎます!