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  • 2022年03月22日12:05

嗚呼、名チーム/NBA98-99シーズンのニューヨーク・ニックス

どーも!!!

バスケ馬鹿、編集者・Kでっす!!!

今日は名チームコラムの更新でございますが、
久々にNBAから一発いってみようかな、と。


みなさん、
「ミラクル」なチームって言うと、
どんなチームを思い浮かべるでしょうか?

見る者すべての予想を覆すチーム、
信じられないことを成し遂げるチーム、
ドラマチックな勝負、物語を披露するチーム、


たとえば、漫画「スラムダンク」の
湘北高校なんて、まさにそれですよね。

プロ野球だと2003年の阪神タイガースとかも
わりとそんな雰囲気あるんじゃないでしょうか。

あ、忘れちゃいけない、サッカー日本代表だって
奇跡的なストーリーを何度も見せてくれました。


そんなとき、こういう言い方をするんですよね。
「まるで漫画や映画の主人公のようなチームだ」。


わしにとって、それはまさしく98-99シーズンの
ニューヨーク・ニックスです。

人呼んで「ミラクル・ニックス」。

ウソでしょ!? ということを連発してくれた
NBAの歴史に残る奇跡のチームです。



この98-99シーズンは、ロックアウトの影響で
レギュラーシーズンが50試合しかないという
非常に変則的な1年となりました。

※そのへんの経緯は、ここで確認どうぞ



そして、もうひとつ、ジョーダンの引退に伴い
王朝・ブルズが解体され、絶対王者がリーグから
消えたのもこの年でした。


まさに群雄割拠。

王が消えたリーグで、そもそも予想が難しいうえに
レギュラーシーズンのゲーム数まで変則的。

もう誰が勝つのか全然分かりません。


とはいえ数字は嘘をつかないもの。

レギュラーシーズンで優秀な成績を残した、
ジャズ、スパーズ、ヒート、ペイサーズあたりが
戦前の下馬評ではプレイオフ&ファイナルの
進出候補と見られていました。

彼らはジョーダンの王朝時代においても、
ブルズに肉薄できていた数少ないチーム、
王朝解体後はやはり優勝候補になってくるのです。



が、
プレイオフで事件が起きます。


東の第1シードだったヒートが敗れるのです。

第8シードだったチームに、
つまり、東のプレイオフ進出チームで最も低い
勝率のチームに、

1位のヒートが敗れるのです。


その第8シードのチームこそ、
今回の主役、ニューヨーク・ニックス。


象徴的存在のパトリック・ユーイングを軸とした
高さとパワーのバスケットから、アウトサイドの
選手が躍動する戦い方にシフトチェンジしようと
している真っ只中でした。


この年のプレイオフ1回戦の相手は、前述のとおり
東地区1位のヒート。アロンゾ・モーニングと
ティム・ハーダウェイというスター選手を擁し
イースタン最強クラスの戦力を誇っていました。

特にセンターのモーニングは、この時20代後半と
アスリート能力的には全盛期にあり、30代後半の
ベテランだったユーイングとのマッチアップは、
まさにニックスにとってアキレス腱。


それでも、ニックスが勝つのです。


トドメを刺したのは、アラン・ヒューストン。

ユーイングからエースの座を渡されようとしている
新世代のアウトサイドプレイヤーでした。

最終戦のゲーム5(当時の1回戦は3戦先勝方式)、
残り0.8秒で決めたワンハンドジャンパーは
いまでも語り草の彼のハイライトシーンです。


第8シードが第1シードを破るという、
過去にほとんど例のないアップセットでした。

新たなエースのヒューストンが躍動したことで
いよいよ世代交代の機運が高まります。


そして続く2回戦、アトランタ・ホークスを
勢いのまま4勝0敗で撃破。なんと第8シードから
東地区の決勝にまで進んでしまうのです。

ヒューストンと並ぶ、アウトサイドのスター、
ラトレル・スプリーウェルも、その存在感を
増してきていました。

ヒューストンとスプリーウェル、このふたりの
SGはニックスの新たなエンジンとなったのです。


そんななか、ここで大きな動き。

これまで故障を抱えながらのプレイだった
パトリック・ユーイングが、ついに戦線離脱を
余儀なくされてしまいます。

幸か不幸か、世代交代はさらに加速することに。

ここでニックスは、当時のNBAの常識では
ギャンブルともいえる布陣を選択しました。

ヒューストンとスプリーウェルの同時期用です。


これ、ものすごいサイズダウンだったんです。

本来2番のふたりが、2番・3番に入り、
本来3番のラリー・ジョンソンが4番に。

SG ヒューストン 198cm
SF スプリーウェル 196cm
PF L. ジョンソン 201cm

いま見ても小さなラインナップですよね。


はたして新たなオフェンスの中軸となった
アラン・ヒューストンとラトレル・スプリーウェル、

当時、日本の専門誌「ダンクシュート」は
このコンビのことをこう称していました。
「ハイパー・シューティングガード・デュオ」と。

この2人は、プレイオフに旋風を巻き起こします。


東地区決勝の相手は、
インディアナ・ペイサーズ。

アウトサイドにリーグ最高のシューターである
レジー・ミラーを置き、中のポジションには
224cmのセンター、リック・スミッツを配置する
中外盤石の好チームであり、王朝時代のブルズを
最も追い詰めたともいわれる東のトップチーム。

下馬評は、当然ながらペイサーズ断然有利。

が、
ニックスはこのペイサーズも破ってしまいます。


ヤマ場は第3戦でした。

1回戦のヒューストンに続き、今度はL.ジョンソンが
これまた歴史に残る4点プレイを成功させ、
マジソン・スクエア・ガーデンを大爆発させます。

あれは、NBA史上に残る名シーンでしょうね。

※わしはペイサーズのファンだったから、
思い出したくもないシーンですけど(苦笑)。


ミラクル・ニックス、ついにファイナルへ。


高さを捨てて、若きアウトサイドプレイヤーの
チームに変貌したニューヨーク・ニックスの
最後の相手は、西のプレイオフを制した
サンアントニオ・スパーズでした。


これまたドラマチックなストーリー。

ユーイングを失い、スモールな布陣に切り替えた
ニックスの最後の相手が、

ダンカン&ロビンソンンのツインタワーを擁する
サンアントニオ・スパーズとなるのですから。


ファイナルの合言葉は「i still believe」。

どんな困難が待ち構えようとも、信じている。
勝利を、奇跡を最後まで信じている。


レギュラーシーズンで苦戦した、
でも信じている。

大黒柱のユーイングが離脱した、
でも信じている。

最後の相手がリーグ最強のツインタワー、
でも信じている。


そんなファンのメッセージでした。


このファイナル、やはり第1戦・第2戦ともに
スパーズが獲ります。ツインタワー、大暴れ。

でも、信じてる。
ニューヨークに帰ってくればきっと勝つ。


あの0勝2敗からのニューヨーク3連戦、
あのうねり、熱狂は忘れられなません。

ニックスがシュート決めるたびに会場が揺れる、
そう、まるでいつぞやの阪神甲子園かのように。


そして、
この記事の冒頭で「まるで漫画や映画のような」
という表現をしましたが、その散り様もまさに
そんな感じだったかもしれません。

若き勇者、ヒューストンとスプリーウェルが
ツインタワーに果敢に挑み続け、最後に負ける、
それもまたドラマチック。


勝負が決まった第5戦、
逆転をかけたスプリーウェルのシュートは、
やはりツインタワーにブロックされたのでした。

ミラクル・ニックスは、最後の最後で
奇跡を起こすことはできなかったのです。


全てがエキサイティングで全てがドラマでした。

ラインギリギリの8位でプレイオフに進出し、
1回戦で東地区の勝率1位チームを破り、
地区決勝で東地区の最強軍団を破り、
そして、ファイナルで敗れる。


いや、やっぱり表現間違えたかな。

漫画や映画のような、じゃなくて、
漫画や映画でも描けない、シーズンでした。


ミラクル・ニックス、

20世紀の最後にNBAを熱狂させた、
最高のチームの紹介でした。



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2つ似たような動画ですが、貼っときます。
99年NBAプレイオフにおけるニックスの
ミラクルっぷりの総集編。






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嗚呼、名チーム/NBA98-99シーズンのニューヨーク・ニックス へのコメント一覧

  1. 1.
    • ニッキチ
    • 2022年03月22日 12:14
    • 5
    ミラクルニックス最高です!!
    一番燃えたプレイオフがあれだったかもしれません!!
  2. 2.
    • ちば
    • 2022年03月22日 12:29
    • 5
    つまりそうなるってことなのでしょうか
  3. 3.
    • スーパー
    • 2022年03月22日 12:41
    このニックスとミラクル明利を、なんとなくイメージ重ねているんですが、
    ゴリが怪我して敗退なんてなりませんように。。。

    このまま青葉に勝てても、ゴリ不在では、丸ゴリを止められない…!
  4. 4.
    • ランディ・モス
    • 2022年03月22日 12:41
    あのプレーオフのMSGの選手紹介よかったよね⤴
    マッケンローバージョンやビースティ・ボーイズバージョンとかあって演出が半端なかった…。
  5. 5.
    • 2022年03月22日 13:47
    ニックスのジョン・スタークスが大好きでした。
    常にチームにdedicateしてる守備も得意なシューター…
    身長もほぼ同じのミッチーが被ります。
    素敵な記事ありがとうございました。
  6. 6.
    • B
    • 2022年03月22日 21:05
    この年のニックスは本当熱かった…。

    スタークスとオークリーを放出して、スプリューウェルとキャンビー獲得から始まり、ギリプレーオフ進出からの下克上。

    ユーイング離脱からのキャンビーハッスルは最高ですわ…。

    あ、8番w
  7. 7.
    • アゴ神
    • 2022年03月22日 21:57
    • 5
    ペイサーズが好きだった自分もかなりショックでしたね。
    ただ翌年カンファレンスファイナルで勝ってファイナル行ったときは嬉しかったですね!
    ちなみにスミッツの名前の区切りがおかしくなってますよ(笑)
  8. 8.
    • 編集者・K
    • 2022年03月22日 22:04
    >>1
    そう評されても全くおかしくない熱狂!
  9. 9.
    • 編集者・K
    • 2022年03月22日 22:05
    >>2
    いろいろお楽しみに!
  10. 10.
    • 編集者・K
    • 2022年03月22日 22:05
    >>3
    スプリーウェルとヒューストンがいればねえ
  11. 11.
    • 編集者・K
    • 2022年03月22日 22:06
    >>4
    お!通ですねえ!
    take me to the garden!!
    i still believe!
  12. 12.
    • 編集者・K
    • 2022年03月22日 22:07
    >>5
    スタークスは応援したくなる奴ですよね。
    ちなみに196cmなので、ミッチーよりだいぶデカイです。
  13. 13.
    • 編集者・K
    • 2022年03月22日 22:09
    >>6
    勉族キャンビー、なかなか頑張りましたよね。
    アツい男大好きです!
    吠える奴ばっかりだっなあ、ミラクル・ニックス
  14. 14.
    • 編集者・K
    • 2022年03月22日 22:10
    >>7
    あのときは実力以上の「勢い」にやられた感じですね。
    そして、あの年ならファイナル行けば優勝できてたかも…。
    ※スミッツ修正しました。
  15. 15.
    • 2022年03月23日 14:54
    • 5
    はじめてのコメントです。
    私もミラクルニックスに魅了された人間の1人で、私の人生史上一番好きなチームです!
    選手はもちろん、ジェフ・ヴァン・ガンディHCも素晴らしかった!
  16. 16.
    • 18きぷ
    • 2022年03月23日 18:36
    私は、サンアントニオスパーズを応援していたので、
    「こしゃくな!」って感じで見ていました。

    提督がダンカンという相棒を得て、
    短いシーズンでもあり、
    他チームが、ツインタワーに対応しきれないままに、
    一気に初優勝の夢をかなえるところまで来た
    ファイナルでした。

    でも、ニックスのスプリーのスピードとダンクや、
    ヒューストンのオールマイティーなプレイは、
    スパーズに全くないもので、
    うらやましくて仕方なかったです。
    そのせいか、いまだにカワイレナードのショックから
    立ち直れません。

    話がそれてしまいましたが、
    「タクシー、タクシー」「GO!New!York!」
    等の試合前の会場の頭上のモニタでの盛り上げ方が
    サンアントニオのホームゲームよりも段違いに格好良く、
    やはり人気チームはすごいなと。
    野球で言えば読売、巨人、日本テレビ。
    その割には、スプリー、キャンビーみたいな不良っぽく、
    巨人だったら、あり得ない選手ばかりで、
    ニューヨークは東京とは違うのか?
    なんて、色々思っていました。

    懐かしいです。
  17. 17.
    • 編集者・K
    • 2022年03月23日 20:31
    >>15
    土壇場で「漢」を見せる監督、ヴァンガンディ
  18. 18.
    • 編集者・K
    • 2022年03月23日 20:32
    >>16
    はい、わしもニックスのイントロは一番カッコいいと思います!(ジョーダン時代のブルズよりも)
    ※音楽も古い時代の質のほうが、ちょっと野蛮でいいですね。
  19. 19.
    • ニッキチ
    • 2022年03月23日 21:57
    このファイナル以降、暗黒時代を迎えるんですよね。元凶はアホザイアとドラン。
    ヒートと乱闘したりジョーダンを苦しめたディフェンスが懐かしいです
  20. 20.
    • 編集者・K
    • 2022年03月23日 23:08
    >>19
    翌年はわりと強かったかな。
    東決勝でペイサーズにリベンジされるけど。
  21. 21.
    • 2022年03月23日 23:32
    >>12
    あ、ホントだ。大学でサイズアップしたミッチーよりも大分大きい!
    スタークス近くで見たことありまして、思い出補正&周りがもっとデカくて
    小さく記憶しちゃってました、失礼いたしました。




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