3rdクォーター 残り3分40秒
深体大 43
明利大 48
道谷、実況。
《赤木のプレイは、オフェンスファウルの判定!
ボールは、深体大に移ります!》
塚本、解説。
《明利はオフェンスリバウンドを2度獲りましたが
決めきれませんでしたね。守る深体大としては、
何とか凌いだ形といえるでしょう》
明利大ベンチの木暮、
先ほどまでの不安がさらに大きくなる。
「……。」
佐戸、腕組み。
「波が終わったかもしれないな」
清田 「…!?」
左京、頷く。
「かもしれないね。次の深体大のオフェンスが
決まったら、また新しい流れの始まりかな」
外川も頷く。
「赤木クン、いまのは決めたかったところだなあ。
逆に河田クンはよく止めた。あの1本目の守備は
いい圧力だったねえ。よく守り切ったよ」
清田 「センさん、どう見ますか」
仙道 「ああ、次の一本がポイントだな」
深体大、諸星のスローインから試合再開。
牧が受け取る。
そして、声を出す。
「一本!!!!!!」
「オウ!!!!!!」
コート上のメンバーが牧の声に呼応。
そしてベンチメンバーからも声が飛ぶ。
「よーーーっし、一本!!!!」
「さあ、これ決めよう!!!!」
「大事な一本だ!! 決まれば変わる!!」
道谷《深体大、声が出ています》
塚本《ひとつスイッチが入った感がありますね》
神 「盛り上がってきましたね、深体大」
藤真 「ああ、そろそろ決めたいところだ」
天崎 「ていうか、決めそうですよね…」
藤真 「そうだな、ちょっと空気が変わったな」
天崎 「はい…」
(深体大から凄い熱気を感じる…)
―― 決まれば変わる
深体大メンバーは分かっている。
どうやらこの一本が、分岐点になるであろう
一本であることを。
ダム、ダム……。
牧、ドリブルでボールを保持しながら
宮城の右側を指差す。
スクリーンを要求するジェスチャー。
瞬間、
明利大・坂口監督は思った。
(しまった…)
キュッ!!
伊達健が動く。
宮城の横に立つ。
「スクリーンだ! 牧とダテケンのツーメンか!」
「ここで2対2で仕掛ける…!?」
木暮 「伊達…!?」
(ビッグマンではなく、ガード同士のツーメン?)
坂口 (交代させるべきだった)
ダム!!
牧、宮城を伊達健にぶつける形で、横に移動。
この動きにより、自分に対するディフェンスが、
宮城から島袋に代わる。
道谷《マッチアップを変更させました》
塚本《牧君に島袋君がつきましたね》
そのチャンスはあった。
さきほどの赤木のオフェンスファウルで
時計は止まっていた。
つまり選手交代ができるタイミングだった。
坂口は、手前から竹村に準備を促していた。
だが、交代を告げなかった。
坂口は場内のモニタを見ていた。
坂口 「……。」
(ファウルの理由を確認している場合じゃなかった。
あそこは何よりもまず、交代だった…)
唐沢 (一歩遅かったな)
コート上では、竹村と代わる予定だった島袋が
牧紳一と対峙している。
道谷《これは勝負でしょうか!?》
塚本《行きそうですね、牧君の1対1でしょう》
ダム!!!!!!!!
牧、一発で島袋を抜く。
「行った!!!!!!!!!」
「牧!!!!!!!!!」
弾丸ペネトレイトが、リングへ向かう。
木暮 「赤木……!!!!!!」
(止めてくれ!!!!!)
キュッ!!!!
赤木が出る。
瞬間、後方から声。
「牧、こっちだ!!!!」
赤木 「……!!!!」
背後から河田雅の声が聴こえた。
牧を止めに出るか、
河田雅へのパスに備えるか、
二択が課される。
赤木は前に出た。
牧は構わず突っ込んだ。
「牧、行くのか…!!!??」
「無茶だ…!!!!!」
ガシイイイ!!!!!!
牧と赤木が交錯する。
『ピピーーーーーッ!!!!!!』
ホイッスルが鳴る。
ガン!!!
もつれ合いながら牧は強引にシュートを放ったが、
これは、わずかに逸れ、リングに弾かれた。
「おおおおおおーーーーーー」
会場、どよめく。
「おいおいおい、あわやバスカンだったぜ」
「あんだけ強く当たって、狙えるのかよ」
「牧紳一、おそるべし…!!!」
「ふぅ〜〜」
ホッと胸をなでおろす桜木軍団。
高宮 「いやあ、いまのは危なかったな」
大楠 「決まったら流れが変わってたぜ」
洋平 「いや……」
「ん…!?」
彩子が気付く。
「あ…!」
電光掲示板に示された赤木のファウル数、
「3」。
「ああああーーーーっと、赤木3つめ!」
「いまので3つめか!!」
町田 「あのオフェンスファウル、デカかったな」
弥生 「攻撃を失敗しただけじゃなかった」
中村 「あっという間に、3つめに…」
弥生 「ついさっきまで1回だったのが…」
彦一 「ああ…」
(やっぱりあのプレイ、重要やったんや…)
道谷《赤木、パーソナルファウル3つめです!》
塚本《残り時間は…!?》
3rdクォーター 残り3分25秒
深体大 43
明利大 48
道谷《これはどう考えますか、塚本さん》
塚本、腕組み。
《うーん、もう第3クォーターの後半ですので、
普通ならそこまで重くは考えないでしょうが、
念のために一度ベンチに下げておくという手も
あります。しかし、判断が難しい…。なにしろ
赤木君ですからねえ…》
道谷《3つというのは、そういう数字ですか?》
塚本、返す。
《いえ、3つという数字自体よりも、立て続けに
ファウルをとられて、一気に3つにまで伸びた、
ということが大きいかと。この雰囲気のなかで
出続けたら、あっという間に4つめもありますよ》
パチン!!!
コート上では、牧と河田雅が手を叩く。
河田雅 「いい判断だったな」
牧 「お前の声に助けられたよ」
赤木 「……!!?」
赤木は気付かされた。
(いまの牧のプレイ……、
シュートを狙ったわけではなかった…?)
『ビビーーーーーーーーーー!!!!!』
ここでブザー。
『タイムアウト、明利大』
タイムアウトを請求したのは、
明利大だった。
道谷《ここで明利大のタイムアウトです》
塚本《一度ゲームを切りましたか》
道谷《さあ、赤木を代えるのでしょうか》
塚本《この1分で判断ですね》
佐戸 「牧、狙っていたな」
仙道 「ええ…」
佐戸、腕組み。
「このタイミングじゃなきゃ、赤木はファウルを
しなかっただろう。牧は、いまなら奪えると、
感じとっていたんだ。つまり、あのドライブ、
本当の狙いはシュートではなく赤木のファウル
だった。だからこそ強引に向かって行った」
仙道、苦笑い。
「まいったな…」
(さっきのオフェンスファウルの時、おそらく
牧さんはファウル数を確認していた。そして、
次のオフェンスの狙いをファウルに絞った。
誰もが映像に目を向けていたなかで、牧さんは
違ったのか…)
清田、茫然。
(これが牧さんの凄さ…)
会場の空気は大きく変化した。
3rdクォーター 残り3分25秒
深体大 43
明利大 48
スコアは変わっていない。
明利大のリードは保たれたまま。
だが、空気は明らかに変わっていた。
続く
-
スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1172) へのコメント一覧
ワンピースと双璧をなして面白い!
明利がんばれ!
踏ん張れ!!!
最後のチャンスだ、牧を変えてくれ〜!!
島袋は活躍してましたし、島袋のDFを狙われるのはいつものことですし、
竹村相手でも牧は抜いた可能性が高いですし
仮に竹村のDFがやっかいだと思うなら宮城とのミスマッチを生かしてゴール下に突進したかもしれないですし、交代してたら他の選択肢とってた気がします。
こういう時こそ魚住のように極限の集中力を発揮する時でしょう。
一番の問題は赤木じゃないですよね。
流れとしては島袋を下げざるを得ないとして………
さあどうなることやろ色々と
全話のコレ意味深でしたがなるほどファウル数を確認していたんですね。
仙道も脱帽する抜け目なさ。さすがの牧さん
またもやゴリの前に立ち塞がるのか…
ゴリに乗り越えてほしい!
そうわかっていても、ハラハラする展開ですね!
しかし、ゴリが10年間、夢見てきた全国制覇は、
簡単じゃないからここまで月日がかかった。
困難だからこそ、達成した時の爽快感がある!
負けるなゴリ。相手は高校時代から一度も勝てなかった牧さんだ。ここで壁を壊すんだ。
カッコいい!!
今から本領発揮かな?!
ゴリ達には勝ってほしい気もありますが,深体大がこのまま終わる訳ないと思いますし牧さんの快進撃を楽しみに待ってます!
希望含み。
そういうプロットだからとメタいこと言ってしまったらそれまでだが、
・直前に島袋は外している
・流れの分岐点となる一本
・交代を入れるタイミングがあった
となると監督としては「やっちまった」感はあるでしょうよ。
あと上手にディフェンスをするってのは単純にマークがうまいとかマンツーが強いだけじゃなく声かけとかで簡単にスクリーンをさせないとか気持ちよくプレイさせない気配りや気付きのセンスってのもあるからね…島袋くんはその辺含めイマイチなんやろ
個人的にこの先の展開はこのファールで逆に赤木の覚悟が決まってここ数年漫画界で流行のゾーンに入ってしまう展開と予想。
赤木のファウルのリプレイの時
牧だけ反応が違う!
Kさんいつもありがとうございます!
まずい、まずい、牧さんが仕掛け伊達健のスクリーンからインサイドに進入!赤木ともつれあい、バスカンは免れましたがファウルをゲット!なんと短時間で2ファウルしてしまいゴリが3ファウルに!
流石ダンプカー牧さん。赤木の気を逸らした河田雅史も恐ろしいです!
タイムアウトをとった明利、ゴリは続行か交代か難しいところ!下げたら河田雅史に一気にいかれそう!花形さん、荒石はどうするのか?交代を催している竹村さんはいかに。流れを変えるためにも花形さんとリョーチンに頑張ってほしい!
唐沢さんと、坂口さんの読み合いも高頭さんと茂一さんを思い出しニヤリとしました!ファウルトラブル‥なんとかしてください魚住さん!
頑張れ頑張れ明利!
今までならば、少なくとも赤木は、キャプテンでもある手前、引き続きコートでプレイすることを強く主張するだろうけれど
もしかしたら、たとえ、深体大に逆転されることになろうとも、この第3Qは、赤木抜きで行くという選択を、坂口監督は取るような気がしてる
折角のリードを捨てる(と言うのは、少々言い過ぎだが)ことにはなるが、ココで、赤木がベンチに下がることによって、青葉戦のように、最後に“ガス欠”という事態を免れることができ
それが結果的には、明利の勝利に繋がるような気がしてならない
それに、相手の深体大も、河田弟が3ファウルでベンチに退いているだけに、思い切って“休ませる”としたら、このタイミングを除いて、無いのではないだろうか
流れをみつつ策を練ってそう
一度ベンチに退くか…ゴリがいないとインサイドのパワーが…
さすがKさん!
赤木と宮城、牧と美紀男が4回からの最終局面おもしろそー!
今大会の覚悟は明利の方が上だ!
絶対退場しない。
まだまだ!時間はある。頑張れ明利💪
牧を倒してこその全国制覇!『俺は間違ってなかった』今度こそ勝利で証明してくれ!
タイムアウトを「請求」に違和感が…
要求が正しいですかね?
(間違っていたらスミマセン…)
タイムアウト 請求
で検索すれば早いと思いますが、それはなされましたか?
結論から言うと請求で合ってます
ルールブックにそう書いてます。検索すれば出てきますよ
ところでK氏お疲れのご様子ですかね
反映しなくていいというコメントを反映してしまってますね笑
ひとつ読者の誤りが正されたので反映の意味はあったでしょうが
全部乗り越えて全国制覇してくれよな!
あくまで私個人の感覚レベルで。
請求→お願い。『タイムアウトお願いします』
要求→より強い感じ。『タイムアウト寄越せや
』
田岡茂一のコメントとか欲しくなる。
捻挫もしてテーピングもして
(いいよ、アイツ。by牧)
それでも明利が、
ゴリならきっと勝つ!!
(アニメなら試合終了間際の3分くらいで
初代opと共に
ミッチーの土足回想とか始まれば
勝ちフラグや。)
牧の逆転シュートで残り10秒。
下を向いた赤木の前には
ボールを拾った安西先生…。
『赤木くん、諦め…』
交代は赤木じゃなくて島袋ね。、
サイコーです。
ちゃんと審判が厳しそうという伏線が…。
まあ引き続き期待、ということで。
そうか、そうでしたね。深体大が仕掛けてきそうですね。
深体大は3Qの頭に前から当たる準備をしていた。3Qカタをつけるつもりで、つまりその自信があった。それだけ自信がある策をまだ残しているから落ち着いていられる余裕がある。
対照的に明利は前話で赤木が(絶対に、決める)(死んでも、決める)のようにギリギリいっぱいで戦っていた。それで3Q残り5分でまだ5点差。
水戸達や木暮が不安を感じたのはそこか。今明利の波が止まりかけたときに深体大の自信あるプレスが来たら…
ダム!!
牧、宮城を伊達健にぶつける形で、横に移動。
この動きにより、自分に対するディフェンスが、
宮城から木暮に代わる。
牧「木暮、お前との勝負をBリーグかと思っていたが、ここで勝つ!」
木暮「牧・・・・・・」
馬鹿じゃねーの
赤木「わかっとるわ」
宮城「面白くなってきたな(ニヤリ)」
赤木「!?」
宮城「今回は河田兄がいるのに牧がつぶしにきたんだぜ、つまり河田にとってダンナは…」
赤木「!!なるほど?(ニヤリ)」
慇懃無礼という言葉はご存じでしょうか
ユーモアが溢れすぎてるww