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  • 2023年03月03日19:00

嗚呼、名勝負(35) PRIDEグランプリ2000 桜庭和志×ホイス・グレイシー

どーも!!!

「ブレイキングダウンが大好き!」と言いつつ、
そもそもはゴリッゴリ本格派の格闘技ファン、
編集者・Kでっす!!


※これまで色々記事を書かせてもらってますが、
かつてのPRIDEから、K-1、プロレス、大相撲まで
わりと満遍なく大好きであります。




そんなわけで、この「名勝負コラム」でも
格闘技の試合はちょいちょい取り上げさせて
もらっているのですが、今日は久々にPRIDEから
名勝負を一丁振り返らせてもらおうかと。

いや、これはもう、名勝負っていうか、
「過去最高の一戦」になるかもしれんね。


桜庭和志 × ホイス・グレイシー
の一戦です。


いやあ、これはホントに伝説ですし、
感動ですし、サイコーでしょう。

※ダメだ、凄すぎたせいで、気の利いた表現が
出てこない、語彙がなくなっとる(笑)。


日本のプロレスラーが完璧にグレイシーに勝った、
という、本当に格闘技界の分岐点になったような
勝負だったと思います。


ときは西暦2000年、舞台はPRIDEグランプリ、

これは、手前のストーリーから全部含めて
もの凄い日になったんですよね。


20年以上前です。

「総合格闘技」の世界は、いまとは取り巻く環境が
まったく違いました。黎明期も黎明期ですよ。

当時、「総合格闘技」の技術は、まだいまのように
確立されていません。ルールはほとんど同じですが、
「総合格闘技の戦い方」というのは、なかったと
言ってしまってもよいと思います。


じゃあみんな、どうやって戦っていたか。

柔道や空手、レスリング、キックボクシングなど、
各々が「元々やっていた競技」の技術のうえに、
総合格闘技(対策)のエッセンスを加えることで、
この舞台に立っていたのです。


そう、そこでやっていたのは「異種格闘技戦」、

柔道×レスリング、キックボクシング×柔術、
ストリートファイト×空手、のように色んな競技が
まさにその「プライド」を賭けてぶつかり合う、
PRIDEって、そんな舞台だったんですよ。

だからみんな戦い方が違いましたよ。

いまのようなMMAファイターの像はまだなく、
なんなら「スト2」や「KOF」のような世界。

様々な格闘家が個性をもって戦っていましたね。

そんなわけで、たとえば「小川×佐竹」なんかは、
このふたりはどっちが強い? という視点と共に、
「柔道と空手、どっちが強い?」みたいに言われた
ものでした。

もうバックボーンの競技そのものを背負わされる
という、とんでもない重圧。


そして、プロレスです。


やっぱり知名度は抜群に高いのですよ。

空手やレスリングの選手をテレビや一般雑誌で
見ることはあまりありませんが、プロレスラーは
有名じゃないですか。

そのぶん昔からのファンも突出して多いですし、
「プロレスラーは強いのだ」という幻想だって
みんなが持っています。

「どうせ八百長、ヤラセ」みたいに言われてきた
プロレスラーが「こういうルールで戦ったって
本当に強い」というのを披露してほしいんです。

長い方は20年・30年もファンですから。

世間から馬鹿にされていたプロレスラーが
正当に評価される日を待っていたのですよ。



が、

プロレスラー、全然勝てません。


負け続ける中、世間から声が飛び始めます。

「ほら見ろ、プロレスは弱いんだよ」
「所詮はショーだったんだよ」

これがもうファン的には悔しくて仕方がない。


反比例的に「強い」と評価を得たのが、
柔術を武器とするグレイシー一族でした。

当時、日本のファンから「アルティメット大会」と
呼ばれていたUFCで、大男たちを極めて締めて
葬り続けた一族は一躍名を馳せることに。

その後「自分たちこそ最強」とプロレスラーが、
グレイシー一族に何度も挑んでいくのですが、
これがまた、ことごとく敗れ去ってしまいます。


そりゃまあ、ジャーマンスープレックスとか
卍固めとかムーンサルトプレスが、あのなかで
決まるこたぁないとは思っていましたが、

とはいえ、みんなあのルールでもちゃんと強いと
思っていたのに、こんなに勝てないとは…。


「プロレスは終わった」
そんな空気に包まれようとしていたなか、

ひとりの救世主が現れます。


UWFの血を引き継ぐ男、桜庭和志。

彼はプロレスラーです。

「プロレスのリングにも立つ格闘家」じゃなく
プロレス団体に所属してきたプロレスラーです。

武藤×高田でお馴染み、新日本×Uインターの
興業にも出ていますからね。


当時、Uインターの後継団体所属の桜庭和志は、
日本で行われたヴァーリ・トゥードの大会で
優勝を果たして脚光を浴びると、PRIDEでも
並みいる強豪を倒し続け、日本のエースのような
存在にまで駆け上がります。


なかでも彼がUFC-JAPANを制したときの
「プロレスラーは本当は強いんです」は、
もう名言中の名言でしょう。

全てのファンが、マジのガチで涙しました。
これを言ってほしかったんです。


完全にプロレス界の救世主となった彼は、
ついにグレイシー一族との勝負の舞台にまで
たどり着くことになります。


まずはホイラー・グレイシーでした。

この試合は桜庭が圧倒的に勝ったのですが、
決着が「レフェリーストップ」だったため、
一族はまったく敗北を認めようとしません。


「いやいやいや、桜庭の完勝だろうが!」
日本中のファンが怒り沸騰です。

何が無敗の一族だよ、認めねえだけなのかよ。


そして迎えた、PRIDEグランプリ。

1回戦を勝利した桜庭は、2回戦へ。

そこで待っていたのは、1回戦で高田延彦を破った
ホイス・グレイシーでした。

一族はホイラーがレフェリーストップで敗れたのが
よほど納得いかなかったのでしょう。

この桜庭との一戦について、超イレギュラーな
「15分無制限ラウンド」というルールを要求します。


自分たちの有利な土俵に桜庭を誘い込む作戦です。
「そうじゃなきゃ出場を辞退する」とまで。


再び日本中のファンが怒り沸騰ですよ。

憎きグレイシー、プロレスの敵・グレイシー、
ここでそんな我儘まで言い始めるのか、と。


はたして、
舞台は完全に整いました。


入場は、まさかのストロングマシン。
しかもマスク3人で登場しつまり、マシン軍団。

これまた「自分はプロレスラーだ」という
メッセージ性を感じるじゃないですか。


東京ドームの満員の観客が、全員桜庭を押します。

あの「うねり」は本当に凄かった。
映像でも伝わってくる「死んでも勝て」の熱気。


一方で、怖いのも事実。

ホイス・グレイシーが負けるところなんて、
見たことがないのですから。


当時のグレイシーの印象といえば、

「捕まったら負ける」
「上に乗っても、下から極められる」
「寝ころんだら逃げられない」


格闘技ファンは、欧米の大男がグレイシーに
締め落とされるのを何度も見てきました。

高田延彦もヒクソンに2度やられました。


死んでも勝ってほしい、
でも、怖すぎるホイス・グレイシー。


そんなうねりの中で行われた試合は

「桜庭劇場」でした。


なんなんでしょう。

あの「捕まったら負ける」と思われていた
グレイシー一族を相手に、もはやお祭りですよ。


のちに「サクラバ・ロック」として世界的に
有名になる腕関節技を披露する桜庭。

そこから、試合中にニヤリと笑う桜庭。

真剣勝負でモンゴリアンチョップを放つ桜庭。

コーナーでホイスの道着を脱がし始める桜庭。

通称「恥ずかし固め」で相手を転がし、
誰も考えたことのない形からパンチを落とす桜庭。


そして、

ホイスの作戦を完封し、あのグレイシー一族を、
「もう出来ることがない」状態に追い込んだ桜庭。


終わりなき戦いの様相を呈していた
15分無制限ラウンドの、「ラウンド6」。


エプロンサイドのホリオンが白いタオルを
持っている画が場内のモニタに映った瞬間は、
世界の格闘技史上に残るハイライトでしょう。

※わしの先輩はあの日ドームにいたのですが、
「あの瞬間の歓声はマジでヤバかった」とのこと。


90分近く戦った末のあのシーン。

ついに、
ついに、あのホイス・グレイシーが墜ちる。

しかも、日本人プロレスラ―・桜庭和志によって。


その後、ラウンド6後のインターバルで、
グレイシーサイドがタオルを投入し、
この90分の激闘に終止符が打たれます。


※「レフェリーストップ無し」を要求したのは
グレイシー側なので、自ら負けを認める以外に
試合を終わらせる方法がなかった、という。


伝説の夜でした。


総合格闘技は日々進化していますので、
技術的な面であの試合を上回る勝負はいくつも
あると思うのですが、

ことストーリー性においては、やはりいまでも
ナンバーワンに挙げられるのではないでしょうか。


桜庭×ホイス、
名勝負中の名勝負です。


--



 


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嗚呼、名勝負(35) PRIDEグランプリ2000 桜庭和志×ホイス・グレイシー へのコメント一覧

  1. 1.
    • めそ
    • 2023年03月03日 19:07
    いまだにYouTubeなんかで見返してしまいますね〜、本当に面白い時代でした。洗練されてないけどまたそこが面白かった。Kさんのチョイス好きです!
  2. 2.
    • ち〜ちゃんパパ
    • 2023年03月03日 21:14
    • 5
    プロレスラーは本当に強いを示してくれた桜庭!
    今見てもスカッとしますね。
    考えて見れば、いい時代に生きていました。
  3. 3.
    • TAM
    • 2023年03月04日 08:44
    Kさん、桜庭さんの台詞が
    「プロスラー」になっちゃってます。

    後から観ても会場の熱気がとんでもないですね!
  4. 5.
    • イッコウ
    • 2023年03月04日 08:50
    いま見るとコントですが、最高でした。
  5. 6.
    • 待ってました!笑
    • 2023年03月04日 22:52
    • 5
    今では考えられない無茶苦茶なルール笑
    遠い日本の裏側で日本人が柔道を教え、そこから柔術を作りUFCを席巻し最強一族として日本にも降り立ち、一族長男にして最強の男に高田・船木も敗れてしまう。そこに高田の弟子桜庭が挑む!!、、、漫画ですよね笑
    その後グレイシーハンターとして勝ち続け一族最強の男を追い詰めていく姿はワクワクしました!一族最強の男との一戦見たかったです泣
  6. 7.
    • 編集者・K
    • 2023年03月05日 15:48
    >>1
    あの黎明期の異種格闘技的な戦いはサイコーですね!
  7. 8.
    • 編集者・K
    • 2023年03月05日 15:48
    >>2
    あのシーンを通ってきた格闘技ファンって、
    たぶんちょっと違うんですよね。
  8. 9.
    • 編集者・K
    • 2023年03月05日 15:49
    >>3
    失礼、修正しました!
    あの熱気、また戻ってきてほしい!
    とりあえず会場で声を出させてくれ!(笑)
  9. 10.
    • 編集者・K
    • 2023年03月05日 15:49
    >>5
    いやあ、当時はあれがよかったんですよ。
    でも真剣勝負であんな技を出す桜庭って…!!
  10. 11.
    • 編集者・K
    • 2023年03月05日 15:50
    >>6
    ヒクソン戦が実現しなかったのは
    唯一の心残りかもしれませんね。
  11. 12.
    • ガチャ
    • 2023年03月05日 20:59
    ヒクソンにした「お兄さん、次は僕としましょう」はこの大会での発言でしたっけ?
    桜庭は、ロマンとカッコ良さを教えてくれたファイターでした。ただ強いとかではなく、プラスアルファがあった応援したくなる選手でした。
  12. 13.
    • 編集者・K
    • 2023年03月11日 23:00
    >>12
    この試合後だったか、ホイラー戦の後だったか。
    桜庭は、あの時代の圧倒的カリスマでしたね。




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