通称「ウィンターカップ」は、
秋田県代表･山王工業の優勝で幕を閉じた。
神奈川県代表･湘北高校はあと一歩のところで
優勝を逃し、同校史上初となる冬の全国制覇は
達成されなかった。
カタカタカタカタ……！！！！！
プレスルームにキーボードの音が鳴り響く。
｢さあ、スピード勝負や！！ どこよりも早く
この激闘のレビューを配信するんや！！！」
猛烈なスピードで相田彦一が原稿を書いている。
横には、まさに「ヘロヘロ」という言葉が
ピッタリの表情のライター･町田。
｢あとは頼んだよ、彦一君…」
どうやら今回のレビューはふたりの連係プレイにて
進めている模様。ボックススコアと時系列プレイを
死に物狂いで整理した町田は既に疲労困憊。
(ああ、ビール飲みたい…）
弥生、ニコリ。
｢ふふふ、バスケも記事もスピードは大事ね」
彦一の目が燃えている。
｢宮城さんバリのスピードで書き上げるで！！」
カタカタカタカタカタカタ…！！！！
その頃、
勝手に比喩に使われた宮城リョータは、
ひとり電車に乗っていた。
椅子に腰かけ、腕を組む。
(ついに全国制覇を達成した…。牧紳一､藤真健司、
大学最強のガード陣と戦って、試合に勝つことが
できた…。じゃあ、次は…？）
目を瞑る。
(来期の大学バスケ界に、あの連中はもういない)
牧紳一、藤真健司、深津一成、
高校時代から宮城の前に立ちはだかった1学年上の
ポイントガードたちは、プロリーグに活躍の場を
移すことになる。
おそらく宮城は、大学バスケ界最強のガードとして
名を馳せることになるだろう。
自身が所属する明利大学も、優勝候補の一角として
君臨することは間違いない。
宮城 （それは果たして最高の環境なのか…）
全国制覇に挑んだ後輩たちの戦いのなか、
得点力を武器にチームを引っ張る須形陵の姿に
改めて大きな刺激を受けた。
同じ応援席にいた、かつての仲間たちの声が蘇る。
―― アイツ、めちゃくちゃ点獲ってるよ！
―― マジで頼りになるぜ！！！
―― ホントに凄い…！
―― まさに最先端のプレイヤーだよな
―― NBAもああいうガードが主流だからな
『次は〜、〇〇〜』
宮城、車内アナウンスの声と共に立ち上がる。
(最先端のポイントガードのプレイ…）
改札を出て、歩く。
(まだまだ挑戦が足りねえのかもな）
年末の夕方、
間もなく星が姿を現すであろうその空は、
いつもよりも澄み渡って見えた。
｢留学ーーーーーー！！？？」
｢うるせー、声がデケエよ」
ハンバーガーチェーン店に男が二人。
荒石淳也と天崎和彦。
天崎 「宮城さんがそんなこと言ってんの？」
荒石 「ああ、なんだかえらく真面目な顔でよ」
天崎 「あの人、そんなこと考えてたのかよ」
荒石 「まあ、分からなくもねえけどよ」
天崎、ハンバーガーをかじる。
｢んだよ、へっはふなら、みやひはんのひる
めいひに、はひたはったのに…」
荒石 「食ってから喋れ」
(言ってることはだいたい分かったけど）
ズズーーーーツ。
天崎、ウーロン茶を勢いよく吸い込み、
口の中のハンバーガーを流し込む。
｢でも、いつから考えてたんだろう…。
やっぱりインカレで優勝したからかな…」
荒石 「食い方が汚ねえ…」
(まあ、そうだろうな…。ついに青葉も深体大も
倒しちまった。そのうえ来年はリョーさんの
巨大な敵となるガード勢は一気に減っちまう…）
天崎、苦笑い。
｢サンシロー、ついに公式の舞台で宮城さんと
勝負できるって、ワクワクしてたのに…」
荒石 「ああ、そうだろうな」
(その須形の活躍が、さらなる引き金になった
可能性もあるんだけどよ…）
天崎 「で、宮城さん、これからどうするの？」
荒石 「ああ、ハナさんに相談してみるってよ」
天崎 「花形さん？」
荒石、ポテトを手に取る。
｢とりあえずオヤジ殿と話してからだろうけど、
本人としては、琉球ウォリアーズと相談して、
なんらかの道を探りたいらしいぜ。ハナさんは
琉球に入団するからな、そのルートから当たる
つもりなんじゃねえの？」
天崎 「琉球？」
荒石 「話すなら沖縄のクラブがいいんだとよ」
その頃、沖縄。
ザシュ！！！
ザシュ！！！
ザシュ！！！
公園のバスケゴールに、
シュートを撃ち続けるふたりの男の姿。
ザシュ！！！
ザシュ！！！
ボールが立て続けにリングを通過していく。
｢上手えええ…！！！」
｢なんなんだ、あの人たち…」
口を開けてそれを見続ける少年たちの姿。
どうやら小学校低学年くらいの背格好。
｢ふぅ…」
少年たちに見つめられながら汗をぬぐうのは、
明利大学･花形透と、
深沢体育大学･諸星大。
先日のインカレで決勝戦を戦ったふたりは、
ともに琉球ウォリアーズに入団が決まっている。
諸星 「すげえな、12月なのに全然寒くねえ」
花形 「それに､この時間にしちゃ随分明るいな」
彼らは、琉球ウォリアーズの練習に招かれ、
沖縄の地を訪れていた。
この日の練習は終了し、解散となったが、
プロへの第一歩を踏み出した興奮からか、
まっすぐホテルには帰らず、この公園で
少し汗を流していた模様。
ダダッ！！！
子供たちが駆け寄る。
｢オジサン、めちゃくちゃ上手！！！」
｢もしかしてプロ…！！！？」
諸星 「オ、オジサン…！！？」
花形 「おっと、そうきたか…」
子供たちは止まらない。
｢オジサン、ウォリアーズに来てよ！！」
｢オジサンたちが来たらもっと強くなるよ！」
花形 「ほぉ…」
諸星、ニヤリ。
｢そうか、じゃあ入ろっかな」
子供たちは、大興奮。
｢ええええーーーー！！！！ ホント！！？」
｢やったああーーーーー！！！！！！」
｢ふたりとも入ってくれるの！！？」
花形 「そうだな、そうなるといいな」
諸星、しゃがむ。
｢おい、年明けに天皇杯っていう大会があるからよ、
それを見てな。すげえコトが起きるから」
｢テンノーハイ…？」
｢いまやってるバスケの大会？？」
諸星 「ああ、それだ」
｢もしかして、オジサン、それに出るの！！？」
｢オジサン、やっぱりプロなんだ！！」
花形 「俺は出ないけど、こっちはね」
諸星 「楽しみにしてな」
子供たち、思い出す。
｢テンノーハイ…」
｢あ、そーだ。ウォリアーズはこのあいだ
負けちゃったんだよ。何てトコだっけ…」
｢たしか、シンタイダイとかいうところ」
諸星 「あ…」
花形 「あらら」
｢そうだ、シンタイダイだ！」
｢オジサン、テンノーハイに出るんなら、
シンタイダイをやっつけてよ！」
｢ウォリアーズのカタキをとって！！」
諸星 「お、おお…」
花形 「これは、なかなかの展開…」
その後、
少し暗くなった道を歩くふたり。
諸星、大きく伸び。
｢ああ…、ややこしいことになっちまったぞ。
せっかく沖縄のファン1号が誕生かと思ったのに」
花形、ニコリ。
｢まあ、それはそれだ。天皇杯、頑張れよ」
諸星 「横浜ドリームスか…」
花形 「また厄介なのが相手だな」
諸星 「お前、高校のときに戦ってんだよな」
花形 「まあ、随分昔のことだけど」
諸星 「強いか？」
花形 「ああ」
諸星 「そっか…」
花形 「仙道は、強いぞ」
年が明ければ、
また新たな戦いが始まる。
続く
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jungle123
スラムダンクの続きを勝手に考えてみる（1204） へのコメント一覧
これ、大学中退でプロ入りパターンとかないかなぁ。河村選手みたいに。
kさんの続編にもにも新たな展開くるか？
Kさんいつもありがとうございます！
熱戦となったウィンターカップは激戦の末山王が優勝し、湘北は準優勝という形に！
編集室で記事を仕上げる週刊バスケットボールさん。疲弊している町田さんの（ビール飲みたい）凄くわかる‥
天崎＆荒石がハンバーガー店で宮城の留学について話してる時、沖縄ではプロでチームメートになる花形さんと諸星が公園でシューティング。
荒石と天崎の仲の良さにこっちもにんまりします。
年があけたら天皇杯！牧さん・諸星さん・河田兄弟の深体大VS天才仙道・清田・福田・一ノ瀬の横浜ドリームス！注目の一戦に目が離せません！
牧・藤真・深津がプロに行く中、宮城リョータの決断は！
沖縄の子供たちに天皇杯でシンタイダイを倒せ、ウォリアーズのカタキをとれと言われる諸星に笑いました笑
いつも面白い展開ありがとう！
結構、オシャレでイケメンのはずの諸星ですら、“オジサン”の洗礼
コレ、もし、諸星じゃなくて牧だったら、一体、どんな反応を示しただろうか(苦笑)
宮城の沖縄ルートからの留学の話
カマラ兄弟がセネガルから日本にやってきたことから思いついたのだろうか？
意外と留学先は、アメリカだけとは限らないのかも
なる程！って思いました。
赤木、花形が抜けたチームを優勝に導くっていうのもハードルが高くて面白いと思うけどな
次深体大vsドリームスか…仙道無双になりそうだけど、そろそろ深体大の無双のほうが見たいな
青葉に負け、明利に負け、ドリームスに負けたら肝心な時に勝てないんだなってなってしまう
ハナさんや諸星意外にも沖縄に知り合いがいるのかなぁ…(^^)
年明けから始まるかな?
今後の展開もめちゃくちゃ楽しみにしてまっす！！
Ｋさん、良い年末年始を！！
沖縄の12月はそれなりに寒いんですよね。
気温は二桁でも風がある分
体感温度はだいぶ低いんで。
沖縄県民としてKさんのストーリーに
沖縄が出てくるなんて…感激！
プロ編でまた同じワクワクを味わえるのは楽しみですね
まあ仕方ないかなあとは思うけど
沖縄の12月は東京都民的には暖かいんですよね。
今回、沖縄の方にとって寒いかどうかはどうでもよくて
普段東京（あるいは東京近郊）にいる諸星さんがどう感じるかなんで。
私はつい先日沖縄に行きましたが衝撃的な気温でしたよ笑
Kさんからのクリスマスプレゼントですね。
メリークリスマス。
むしろ宮城はツインタワーがいない中で結果出さないといけない気もする
畑山は宮城の一学年下のはずだけど。
畑山は２年生なので、来年も居ますよ
抜けるのは、竹村です(前に、監督への報告も載ってたような)
学生とは言え、本気で戦ってるからコーラ等の炭酸は体に悪いから避けたんでしょ。甘いジュースも悪。
消去法でお茶のなんじゃない？
｢ふふふ、バスケも記事もスピードは大事ね」
仕事せえや弥生。。。
リョータは琉球ウォリアーズ入団を目指すだろうな…
ん？琉球ウォリアーズ編開幕？？？🤔
そりゃー地元ですからね！
多分仙道の強さを一番思い知ってるのは翔陽ですね。
子供と交流するエピソードって珍しいですね。キャラの子供時代や北野さんの教え子たちが出てくる原作のIH編を思い出しました。
プロ編になるとファンとの交流などで増えるのかな。他のキャラが子供たちにどう接するのか気になります。
俺もそう思う。
圧倒かどうかではなく、来期、強敵がいるかどうかじゃないですか？
あなたの指摘が正しいです。
確かに私の発言はどうでもよくて
キャラクターの立場に立てておらず
無駄なことを言っているなと
自分のコメントとあなたのコメントを読んで
気付かされました。
私が生まれ育った沖縄の気候が
他県の人からすれば衝撃を受けるほどの
気候だということを踏まえられず
私の常識でコメントしてしまいました。
無駄なやり取りをさせてしまいました。
この場をお借りして謝罪します。
Kさんにもお手数をおかけしました。
初コメントできると舞い上がってしまいました。すみませんでした。
喧嘩すんなよ
ウーロン茶は何にでも合いますよ！！
逆に合わない物を教えてほしい。
沖縄出身だからかな
私も学生時代「炭酸飲料は飲むな」と指導されてきました
しかし、どうやら今は、炭酸飲料に多量に含まれる糖類が問題であって、炭酸そのものはむしろ、肉体的・精神的疲労の回復に効果があると言われているみたいです
なんて、ご存知かもしれませんが、私はこれを知った時、衝撃を受けたので共有してみる
ってこだわりを感じますね。
同じく
安心しな、誰も悪くないから
やっぱり沖縄っていうのも今話題の「アレ」ネタですよね、観た人にしかわからんネタ入れてきてるからコメント欄で「え？」ってなってるまだ観てないであろう人のコメント読んで笑ってます。
宮城君まずは
大学no1 ポイントガードになりなさい
留学はそれからでも遅くはない
ご指導ご鞭撻
あれ？
どこかで聞いたような🥹
｢んだよ、へっはふなら、みやひはんのひる
めいひに、はひたはったのに…」
↓
『んだよ、せっかくなら、みやぎさんのいる
めいりに、かちたかったのに…』
かと思います。
映画で沖縄出身であることが分かりましたからね
展開楽しみ。
なんか横浜が勝ちそうな気がする
負け続けたから、深体大が最後優勝して全て良しって感じで終わりじゃないですか？
遅ればせながら今更見た人です。
「この展開はそーゆーことか！」
的な気持ちになって、ゾクッと来ました！留学の話も沖縄の話も！