「いや、この無限スタミナ製造機に、疲れはない」
「なんやそれ…!!」
12月31日、
Bリーグ年内最終戦を終えたあとの
インタビューエリアに、桜木花道と相田彦一。
彦一 「疲れてないって、28分の出場ですよ」
桜木 「フン、この無限スタミ…」
彦一 「それはもういいです」
桜木 「ぬ…」
彦一、ニコリ。
「どうでしたか、記念すべきBリーグ1年目の
約半分が終わったわけですが。桜木さんにとって
今年はどんな年でしたか」
桜木、ニヤリ。
「ああ、悪くはなかったぜ。この天才を見るために
いつも客が来てくれて、面白い試合も多かった」
彦一、続ける。
「東京ペイサーズは、ここまで30戦で23勝7敗です。
リーグ全体2位のペースで走ってます。初代王者も
見えてきたんやないですか」
桜木 「それは最初から見えてる」
彦一 「あ…、そうでしたね」
桜木、腕組み。
「もっとないのか、この名言の宝庫・桜木から
新たな言葉を引き出すような気の利いた質問は」
彦一 「あ、えっと、その…」
弥生 (何をしとんねん、あの子は…)
町田 (桜木、手ごわいな…)
なかなか上手く進まないインタビュー。
他の記者の「早く替われ」という視線を感じつつ、
相田彦一は質問を続けた。
「年明けから、天皇杯、オールスターゲームと、
また楽しみな大会が控えてます。天皇杯では
ペイサーズは青葉学院大学との勝負になりますが
どんなゲームになると思いますか」
弥生 (また、ふっつーの質問を…)
桜木、ニヤリ。
「まあ、ウチの勝ちだな。プロと学生の違いを、
とくと見るがよい」
弥生 (ほら、いつもの答えが返ってきた…)
彦一、返す。
「いや、万全の状態の東京ペイサーズならそうかも
しれませんが、いまは故障者も出とるやないですか。
キャプテンとエースフォワードがおらんとなると、
青葉にもチャンスがあるという意見は多いですよ」
弥生 (お…!)
町田 (攻めた)
桜木 「それでもプロが勝つ」
さらに、
桜木 「というか、エースはオレだ」
彦一、問う。
「桜木さん、プロと学生の違いは何でしょうか、
ワイは正直、能力や技術には差がないと思います。
そのくらいに、いまの大学生のレベルは高いです。
ここから数年は史上最強世代やと言われてます。
なぜプロが勝つと言い切れるのでしょうか」
桜木、ニヤリ。
「ああ、それを試合で見せてやる」
「おお…」
記者陣、少しどよめく。
彦一、ニコリ。
「つまり、優勝するのはもちろん?」
桜木 「東京ペイサーズだ」
彦一 「では、決勝の相手は?」
桜木 「ぬ…?」
彦一、続ける。
「東京と逆のブロックは、横浜ドリームス、深体大、
名古屋スパーズ、三河マーベリックスの4チーム、
この中で決勝に来るのはどこやと予想しますか?」
桜木 「それは分からん、そして、どこでもいい」
彦一、さらに続ける。
「ではもう少し細かく。横浜ドリームスと深体大、
注目のカードですが、桜木さんの予想は?」
「……。」
桜木、少し考える。
彦一、ニコリ。
「牧さんと仙道さん、桜木さんもよく知るふたりが
天皇杯の大舞台で再びぶつかりますよ」
桜木、腕組み。
「まあ、それは楽しみだな」
彦一 「勝った方がBリーグ外からのベスト4です」
桜木、再び少し間を置き、
「有利なのは、センドーのほうかもな」
弥生 (あら…!)
彦一 「そ…、それはなぜ…!?」
桜木、腕組み。
「ベテランがいるからだ」
彦一 「ベテラン…」
(それは、確かにそうや…、横浜ドリームスには、
元イサキのベテラン選手がおる。さらにいえば
日本代表の経験者も…、それは、学生にはない)
桜木 「さすがのジイたちも手こずるぜ」
彦一 「なるほど、ベテランの怖さ…」
桜木 「それもプロの強さだ」
彦一、ここで話題転換。
「ということは、まさに頼れるベテランである
棟川さんが離脱中のペイサーズはピンチですね」
桜木 「…!!?」
ダダッ!!!
記者陣が動く。
「おい、桜木がピンチを認めたぞ!!」
「青葉学院に勝機アリだ!!」
「これは下剋上もありうるぞ!!!」
一斉にプレスルームに移動。
どうやらいますぐ原稿を書く模様。
桜木 「だあああーー!! なぜそうなる…!」
弥生、駆け寄る。
「ナイスや、彦一」
彦一 「姉ちゃん…!?」
(見とったんか…!)
弥生、町田に指示。
「いまの、すぐ記事にして配信や。これで天皇杯の
注目度がまた上がるわ。バスケ人気の向上には
こういうストーリー性が必要なのよ!」
桜木 「いや、プロが勝つと書け…!!」
少し離れた位置にいた森尾。
「なんだか、騒がしいな…」
(また桜木が何か余計なことを言ったか…)
そばにいた記者が伝える。
「どうやら桜木君が、他チームのゲームの
予想などをしていたらしいですよ」
森尾 「ったく、また余計なことを…」
記者、ニコリ。
「これ、絶対書かないんで、聞かせてください。
横浜ドリームスと深体大、どう見ます?」
森尾 「書かない?」
記者 「書きません」
森尾 「絶対?」
記者 「絶対です」
森尾 「深体大かな」
記者 「おっと即答、それはどういう理由で」
森尾 「うーん、ただの勘」
記者 「キャリアではドリームスが上ですよ」
森尾 「ああ、塩田や宮ノ腹がいるからね」
記者 「それでも深体大と?」
森尾、ニコリ。
「キャリアとか超えて、いまの学生は本当に強いよ。
まあ、あくまでもただの勘だから」
天皇杯ファイナルラウンド注目の一戦、
横浜ドリームス×深沢体育大学、
予想は割れた。
19歳の桜木花道は、ベテランの存在を理由に、
横浜ドリームスが有利であると考えた。
30歳の森尾毅彦は、キャリアを凌駕する能力を
ポイントとし、深体大の勝利を予想した。
森尾 「おい、また話題を振りまいたみたいだな」
桜木 「ぬ…」
ふたりが合流。
さらに杉山も入り、いつものトリオの会話に。
森尾 「まあ、楽しみなカードではあるな、実際」
桜木 「ああ、見ものだぜ」
杉山 「俺は母校を応援しちゃうかな、やっぱり」
森尾 「だが、それよりも自分たちのゲームだ」
杉山 「ええ、それはもちろん」
桜木、腕組み。
「ああ、ここしばらくの間、この天才が
脇役のようになってたからな」
森尾 「脇役?」
杉山 「確かに年末は学生の話題が多かったが」
桜木 「まるでリョーチンが主役のようだった」
森尾 (ん…?)
杉山 (何の話だ?)
森尾、ニコリ。
「記念すべきBリーグ元年、今年はいい1年だった。
だが何も終わっちゃいない、年明け早々大勝負だ」
杉山 「ええ、全部勝ちましょう」
桜木 「天皇杯もリーグも全部勝つ!!」
日本でユニバーシアードが行われ、
Bリーグが開幕し、
籠球乱舞と呼ばれる天皇杯が始まり、
バスケ界が大いに盛り上がった激動の1年が
幕を閉じようとしている。
天才はひそかに燃えていた。
桜木 「来年こそは、主役はこの桜木花道」
続く
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スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1205) へのコメント一覧
今年もたくさん更新して下さって、ありがとうございました😊
来年主役の桜木花道を期待しています!
Kさん、良いお年を♬
何の話でしょうか…?笑 最高です!
Kさん、1年間連載ありがとうございました。また来年も無理せずマイペースで楽しい話を届けてください。
良いお年をお迎えください。
とても面白かったです!
映画もそうですし、こちらも主役はリョータっていう感じありましたとんね、花道からすると確かにって発言です(笑)
23年も楽しみにしてます!
来年も楽しみにしております!!
東京の勝率で2位って
むしろ1位どこなんでしょう…?
実際に数年前までは年明けに天皇杯でしたから。一昔前のレギュレーションに戻ってほしいというのもありますが、今は年明けといえばjrウィンターなのかもしれませんね。慣れるまで時間がかかりますが。取り敢えずjrウィンターでどんな将来有望選手が出るのか、そしてどの高校に行くのか楽しみです。
個人的には来年は川島くんの大濠に頑張ってもらいたいです。
桜木の試合が早く見たい!センドーも見たい!リョーちんの留学も見たい!
Kさんいつもありがとうございます!
宮城の進路や、花形さん&諸星の沖縄での新たな舞台が始まる中、12月31日のBリーグ最終戦での花道と彦一の同年代のプロと記者との会話!それだけで涙が出てきます。
来年の天皇杯の予想!エースガードとエーススコアラーが抜けた東京ペイサーズに藤真・神・森重ビック3の青葉が1回戦で激突。
更に彦一から決勝の相手の予想を聞かれた花道。彦一さん攻めますねぇ〜!
横浜ドリームスVS深沢体育大学の予想を聞かれる中、花道はベテランの差でドリームス、森尾さんは学生の強さで深体大と予想。
去年は宮城リョータの年‥確かにリョーチン色々とありました笑
今年も色々な展開楽しませてもらいました!ありがとうございました!来年も天皇杯、横浜ドリームスVS深沢体育大学、東京ペイサーズVS青葉学院大学の対決やプロの行方などワクワクドキドキな展開ばかりです!
2023年は花道の年になるか?
来年も宜しくお願いします!
映画ネタw
リョウちんが主役なのです(笑)
ドリームスと深体大は本当に楽しみですね。
どっちも負けるイメージがない経過を辿ってる。
でもやっぱり、決勝で花道と仙道みたいかな。。。
ありがとうございます!
今年もたくさん楽しく拝見させて頂きました。
来年もよろしくお願い致します!
良いお年をお迎え下さい。
リョーちんの留学編も気になりますしね、
またスピンオフ主人公的に、
流川や沢北との対戦も観たいですね。
まだまだ来年前半は、リョーちんの主人公が続くかも?
良いお年をお迎えください。
また来年もよろしくお願い致します!
年末更新ありがとうございました。
良いお年を!
って大晦日に書いてしまうKさん、ニクいね〜
また来年もよろしくお願い致します!
しかし映画の内容を知ってたかのようなここ最近の展開で本編とKさんの続きがリンクしていて最高です。来年も楽しみにしています!
Kさん!今年1年本当にお疲れ様でした❕❕❕🏀
確かに今年はりょーちんの主役感素晴らしかったです!
ここから天皇杯ファイナル楽しみです!
来年こそは天才が爆発するのを期待してます。
Kさんも読者の皆様も良いお年を!!
実際言いそう(笑)
リョーちんネタも入ったし、小ネタが満載で年末らしく、来年以降が楽しみです。
来年は花道がメインになってくるのかと思うとワクワクが止まりませんな。
本年もお疲れ様でした。来年も無理せず、更新楽しみにしております。
大きく躍動してくれることを期待しています!
来年も新たなストーリーをお待ちしています。
来年期待してます!
今年も一年お疲れ様でした。
また来年も更新を楽しみにしています!
デカいから目立ったろうなぁ。
つーか、後ろの席の人見づらかったろうな〜(笑)
ありがとうございました♪
どこの話を描かれるのか
良い意味で裏切られるのか…
いずれにしても楽しみでしかなく
沢山の期待を寄せてしまいます。
明年もKさん、ご家族、読者の
皆さんのご多幸を祈念します。
善きお年を(^^)
明日は花道と春子の初詣でもアップするんでしょうか?(テキトー)
昔の近鉄選手の「ロッテより弱い」の例のような、こういう風に本人の意図とは違う意味のように記事にのってしまうこと
誤った認識でひろく認知されてること多いんでしょうね
記者も大変だけど、いまは炎上・誹謗中傷もあるからいろいろ大変だなーとか思いました
今年も大いに楽しませて頂きました。
どうもありがとうございます。
来年がKさんやみなさん、そして「続き」の登場人物たちにとって充実した1年になりますように・・・
仙道VS牧、花道VS藤真楽しみだな!
原作の主役であったはずの桜木は、黄金世代の中では、唯一のプロ選手となったため(仙道は、一足早く実業団入りしたものの、廃部になったため、クラブチームに)、かつて、しのぎを削った仲間や好敵手との直接対決の機会が激減
しかし、ここからは、天皇杯の青葉戦(勝ち上がれば、深体大か、横浜ドリームスとの対戦の可能性もあり)
そして、来期のBリーグには、牧や赤木、三井といった面々が入団してくるとあって、一気に、主役の座を奪回するチャンスが巡ってくる
あるいは、かつて行ったように、時計の針を一気に進めて、森重や河田弟、荒石に天崎、更には、須形といったところまで加わってくれば、群雄割拠状態間違いなしで、どの組み合わせ、どの対決も熱いことは請け合い
勿論、その頃には、当然のように、横浜ドリームスもプロ化して、B1のチームとして、東京ペイサーズの前に立ちはだかっているだろう
今年も、「スラムダンクの続きを勝手に考えてみる」から、目が離せないのである
と言いつつ、いきなり仙道がその座を奪う活躍をしそう。
それでも流川よりはマシでしょ
こーゆー描写がとても好きです。
まさしくそうですね。
新しい年は誰が主役になるのでしょう。
楽しみにしてます。
スラムダンク映画公開がいいネタになってますね
何故花道とるかわをいっしょにする?
ハッキリ言ってるかわの事はピンポイントの情報だけでいい。
いや、彩ちゃんとりょーちんの初詣そしてアメリカに行くことを告白してからの待っていてほしい
そして・・・
かっこいいですね〜Kさん。
いろんなところでリョーチンが主役でしたからね、確かに。
また過去の話にも
「誰に言ってる?」
とかあるし。いろんなキャラが読者に向けてチョロっと説明したりするのっていいですよね。
今年も楽しみです!!
スラムダンクの主人公は花道と流川だと思ってるからこの2人が並ぶところを見たいのは当たり前の考えなんだよね
高砂が主役の回も書いて下さい!
桜木とリバウンド勝負で勝ったり
相手選手を技術で翻弄したりと☝️
その後スティールとかされるかもしれないですがw
高校時代は花形や魚住より上なはず☝️
何かのブログで見ましたが
小学生時代の全国優勝チームのセンターが高砂でした〜。
それに敬意を払ってる他の読者たちの対応も好きです。来年もこのまま楽しませてもらいます。
まぁ同人だし
そのお互いの一言が今後どのような流れになっていくか楽しみ。
まぁとりあえず花道の試合見たいんでその辺宜しく!
仙道、清田に隠れているがこの二人をあえて入れた理由とおそらくこの試合からベールを脱ぐであるであろう横浜の真の実力がわかると思う。
クローズアップするとなると福田の身長と体重。河田兄弟と相手するには不十分。ならなぜ桜木等と同じ様に成長させなかったのか?
仙道、清田に隠れているがこの二人をあえて入れた理由とおそらくこの試合からベールを脱ぐであるであろう横浜の真の実力がわかると思う。
クローズアップするとなると福田の身長と体重。河田兄弟と相手するには不十分。ならなぜ桜木等と同じ様に成長させなかったのか?
福田ならではの答えがありそう
高さ、得点力、華、では花形が勝る。
高さ、パワー、威圧感では魚住が勝る。
高砂が二人を上回るのは、巧さ(賢さ)、海南という王者の中で脇役として歯車の一つになれる(チームプレーの適応力)ことや経験値、勝者のメンタリティ。
必ずしも花形や魚住より上とは言い切れない。チームメイトや戦術によって変わる。
大学生の最強世代含め、桜木達から最も言葉を引き出せるのは彦一でしょうね。
りょーちんが主役、そのとおり笑笑
桜木の活躍に期待です!