「だといいがな」
「少し急ぐか」
ザッ、ザッ、ザッ…。
2人の男が小走りに。
すれ違う人間がボソリとつぶやく。
「デカッ…」
体育館に向かう2人の男。
うち1人は、200cmを越す大男。
池上 「今日は休みだって言ってたのに」
魚住 「緊急で仕込みが入ったんだ」
池上 「配信で見るっていう手もあるんだぜ」
魚住 「ダメだ、会場で見るんだ」
魚住純と池上亮二。
横浜D×深体大の一戦が行われている
会場に、到着。
アリーナに入り、スコアを確認する。
魚住 「どうだ」
池上 「お、まだ第1クォーター」
天皇杯ファイナルラウンド
準々決勝・第1試合
1stクォーター 残り4分30秒
横浜D 14
深体大 8
池上 「勝ってる…!!」
魚住 「おお…!」
魚住&池上、
周囲から「デカい」「コートが見えない」という
声を浴びながら、自分の席を求めて歩く。
そこに、声。
「魚住さん!! こっち、こっち!!」
魚住 「…!」
越野、植草、菅平、高松、
かつての仲間たちが、ズラリ。
ズイッ、
越野の隣に座る魚住。
「よく見つけられたな」
越野、苦笑い。
「いや、そりゃ思いっきり目立ちますよ。
頭ひとつどころじゃなく飛び出てますから」
植草、ニコリ。
「緊急のお仕事、早く終わってよかったですね、
まだ第1クォーターですよ」
池上 「仙道も福田も出てるな」
菅平 「ええ、大活躍ですよ、仙道さん」
池上、ニコリ。
「そうか、やっぱり違うな、アイツは」
越野 「お! また仙道だ!」
ダム!!!
清田のパスを受け取った仙道が、
ドリブルで仕掛ける。
ビッ!!
仙道、深体大ディフェンスに囲まれながら、
外にボールを捌く。
ボールは、シューター・宮ノ腹へ。
高松 「またこの形だ!!!」
植草 「仙道のパス!」
ザシュ!!!!
1stクォーター 残り4分10秒
横浜D 16
深体大 8
「来たあああああーーーーーー!!!!!!!」
「宮ノ腹、外さない!!!!!」
ガンガンガンガン!!!!!!!!
「よーーーーーーっし!!!!!!!!!」
「宮ノ腹、ナイッシュ!!!!!」
「仙道、ナイスパス!!!!」
魚住 「凄い応援だな、相変わらず」
池上 「旧・イサキ自動車の応援団か」
越野、腕組み。
「このパターンが続いているな。清田から仙道、
そこからさらにパスを回してのフィニッシュ」
植草、頷く。
「仙道は最初に決めてるからね。シュートにも
対応しなきゃいけないから、相手は守りにくい。
そこであのパスだ」
越野 「そう、パスも天才的なんだよな」
高松 「清田さんとの連携も抜群ですよ」
魚住 「うむ」
(仙道のパスか、あれは撃ちやすかったな…)
道谷《宮ノ腹のシュートは絶好調です!》
塚本《よほどパスがいいんでしょうね》
道谷《なるほど、パスですか》
塚本、ニコリ。
《本当にドリームスのメンバーは、ノビノビと
撃っていますよ。これは入りますね》
バチン!!!!
宮ノ腹、仙道、ハイタッチ。
「ナイスパス!」
「オッケー」
クイッ、クイ…。
宮ノ腹、手を振りながら、ニコリ。
(本当に上手いパスだ、メチャクチャ撃ちやすいぜ。
もはや、このセンスは佐戸さんにも匹敵する)
絶妙のパスを配給し続ける仙道。
キャプテン・宮ノ腹は、そのパスセンスを、
日本代表の司令塔にも匹敵すると評価した。
その佐戸健一は、関係者席にいた。
左京、外川ら三河マーベリックスのメンバーと
並んで座っている。
この後に試合を控える三河マーベリックスは、
今日の準々決勝を勝ち抜いた場合、
次の対戦相手は、横浜Dと深体大の勝者となる。
左京 「ドリームスが勝ったら当たっちゃうぜ」
佐戸 「ああ…」
外川、ニコリ。
「旧イサキ自動車と、ケンちゃんが戦うのかあ、
楽しみなような、見たくないような」
佐戸健一は、元イサキ自動車所属。
横浜ドリームスの前身となるチームである。
当時は、司令塔として君臨し、何度もチームを
日本一に導いてきた。
その時のチームメイトの何人かが、
いま、横浜ドリームスとして、目の前のコートで
最強世代と呼ばれる大学生チームと戦っている。
佐戸 「………。」
(そうなんだ、俺たちもドリームスも勝ったら、
アイツらと戦うことに…)
佐戸の横顔を少し眺めつつ、
左京、ニコリ。
(ケンにとっては、複雑な状況だよな…。
こういうこともあるんだな、バスケ人生って)
バス!!!!
1stクォーター 残り3分
横浜D 20
深体大 10
仙道、決める。
10点差。
「仙道、来たあああーーーーーーーー!!!!」
「パスと見せかけて、自ら決めた!!!!!」
諸星 「チッ…」
(飄々として、読めねえ野郎だぜ…)
牧 「ドンマイ、オフェンスだ」
河田雅 「ああ、獲り返さないとな」
道谷《横浜ドリームス、乗っています!》
塚本《いいですねえ、仙道君! 自由自在!》
道谷、問う。
《ドリームスは100点が見えるペースで得点を
積み重ねています。好調の理由はどこでしょうか。
やはり仙道のパスということになりますか》
塚本、返す。
《うーん、どちらかというと深体大がまだ10点しか
獲っていないことのほうが気になりますね。これは
ドリームスが好調というよりも、むしろ深体大が
イマイチ波に乗れていないのではないでしょうか》
赤木、腕組み。
「まったくその通りだ、深体大の動きがよくない」
花形、頷く。
「ああ、ウチはインカレのときに第1クォーターで
20点以上獲られたからな」
荒石、ニヤリ。
「天才・仙道彰に加えて、厄介なベテランもいる。
なにか、相手を乗せない戦い方をやってるのかも
しれねえな。興味あるぜ、このゲームプラン」
「「「 ディーーーー、フェンス!!!! 」」」
ガンガン!!!!!!
「「「 ディーーーー、フェンス!!!! 」」」
ガンガン!!!!!!
横浜D応援団の大音量応援は絶え間なく続く。
会場を呑み込みにかかる。
町田 「これもドリームスリードの要因かも」
弥生 「間違いなく、少なからずあるわ」
町田、腕組み。
「このままドリームスが寄り切るなんてことは
ないとは思うけど、深体大はどこかで流れを
変えないと、この雰囲気はイヤだろうな」
ボールは深体大。
牧 「さあ、一本!!!」
「オウ!!!!」
「ドリームス、行ける、行ける!!!!」
「完全に深体大を圧倒してるぜ!!!」
「これはインカレ決勝から2連敗か!!?」
魚住 「牧…」
池上 「……。」
越野、コブシを握る。
「仙道、凄いですよ。牧たちを完全に押してる」
魚住 「ああ、そのようだな…」
池上 「……。」
(どうやら、同じような心境のようだな、魚住。
そう、仙道たちにはもちろん勝ってもらいたいが、
牧はいつも強くあってほしいとも思うんだ)
魚住 (牧、このまま終わるんじゃないぞ)
続く
-

![]() |
スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1209) へのコメント一覧
帝王牧は帝王のままであってほしいっていう
魚住の気持ち分かるぜ
陵南×海南も最初は陵南が大量リードしてたんだ
それをひっくり返した
牧はこのまま易々と倒せる相手ではないはず
てか、マジで井上先生が書いたみたいに、Kさん書くから、勘違いしそーになる。
キャラ的に結局負ける側にいつもいる。
活躍するし周りからも脅威に思われるけど
最終的には引き立て役になるイメージ。
そろそろしっかり頂点に立ってほしい。
そういえば…
仙道って一度も優勝経験なかったっけ?
魚住「神奈川NO,1の看板は今日限りでおろしてもらう」
牧 「お前にゃ無理だ魚住」
魚住「オレじゃない ウチの仙道がやる」
という名言を残している魚住にとっても、同じ学年であり、苦汁を飲まされ続けてきた「牧」という存在は、やはり、特別というわけか
ということは、次回は、牧(深体大)の逆襲が始まるとともに、清田にとっては、試練到来となるのかな(清田も、負けんじゃねえぞ)
Kさんいつもありがとうございます!
横浜ドリームスVS深沢体育大学の熱戦の中、会場に足を運ぶ陵南キャプテン副キャプテンの魚住&池上!会場の越野や植草を見つけ観戦。陵南メンバーがこの試合を見ているの最高です!
試合は仙道が撃って、捌いて好調のリズムのまま横浜ドリームスが10点リード!
リズムが良いドリームス、仙道ののびのびとしたパスもそうですが、牧さんを好き勝手にさせない清田もすごい!
陵南メンバーがいる横浜ドリームスだけでなく、ライバルである牧を応援する魚住さん、応援してしまう気持ちわかる!
この試合を勝ったチームが三河or名古屋と激突!2試合目も見逃せないが、この横浜ドリームスのリードの中、牧さんの反撃は?諸星さんは如何に?
両チームとも頑張れ〜!
魚住は、急な仕込みの仕事で遅刻
池上は?
もし、魚住から遅れるという連絡を受けて、それに付き合ったというのなら、何ていい奴なんだ
でもドリームスに勝ってもらいたい!
カッコいい仙道が見たいので
個人的には魚住はゴリほど牧に強い感情はないイメージなんだけどな
んだけどどのポジションでもNo.1には成れてないと思うからあんまり個人的には好きじゃないんだよなぁ。
この様な選手は絶対に必要なんだけどスラムダンクの中でベスト5作るんなら自分だったら入れないし読んでてあんまりおもしろくないんだよなぁ。
または、この試合で触発されて、ドリームスは合流とか。
帝王とも呼ばれる素晴らしいプレイヤーですが、沢北や流川、そして宮城がアメリカでプレイするという選択肢を選ぶ中で、少しぬるま湯に浸っているかも、、、
勝手ながらそう思ってしまいました。😅
牧はアメリカのバスケに興味ないんですかね、、ちなみに仙道も、、
え?そっち推し!!!?
牧『お前には無理だ。魚住』
魚住『俺じゃない。ウチの仙道がやる』
仙道『まいったなぁ』
原作での海南陵南戦の試合前のやりとりを思い出しましたね。
仙道は1~3番だけじゃなく、1~5番全部出来るよ。
no1にはなれているかどうかはわからないけど、
逆に劣るとも思えない。
牧や深津に対しても
神や三井に対しても
流川や沢北に対しても
特に高校生プレイヤーとしての引退試合となってしまった最後の湘北戦のプレーは、原作の時の牧や沢北を超えたのではと思うくらい質が高かった気がする。
『今日のお前は今までで最低だ赤木』
『こんな出来のお前を倒してもなんの自慢にもならん』
と高校時代に直接相手に言う程度には、力を発揮した相手を倒してこそと考えているんでしょうね。
4、5番は出来ないですよ
あなたが書いてるベスト5の趣旨には反すると思うけどスターを揃えたから勝てるわけでもないのがチームスポーツだから仙道みたいな選手は必要よ
侍ジャパンとか見るからにミーハーな揃え方してるし絶対こける
チーム力もあるが、怪我で状況が一転するのはよくあること。
チームの優劣を付けず(付けられず)、この先の他の試合も含めて、何かしらありそうな予感
魚住には赤木と牧は目標ではあったけど同時に強くあって欲しかったんだと思いますよ、なので赤木と牧が無様に負けるなんて許せないのだと=自分の存在が
してないですね!
頂点に言って欲しい!
>>28
仙道の高3の夏は夏はベスト4です。
準決で名朋に負けてます。
徐々にエンジンがかかってくる。
と思うのは、私だけではないはず・・・
牧の悩み葛藤挫折からの成長も見てみたいもんだ。
茅ヶ崎にある「県立北陵高校」です。
藤沢には「県立湘南高校」があります。両校とも県内有名公立校です。バスケは強くありませんが。
コレ、文字ると「湘北」「陵南」になるんです。井上先生は校名に関しては我が母校をモデルにしてくれたんでしょうかね?
ちなみに当時の「北陵高校」のバスケ部顧問は安東先生でした。これって偶然?
そのままじゃ終われない、卒業できないって思いは強そう。
エンジン掛かってペネトレイトしてくる牧と、それに対するノブナガのやり取りとか楽しみです!
ノブナガのスピードはりょーたと比べたらどーなんだろ?
牧とは?
やっぱ牧はその体格いかして攻めてくんのかな?
でもやっぱセンドーにはここで負けて欲しくない!!
花道の名言(迷言?w)「センドーは俺が倒す」の重み的にも(笑)
でも実は、田岡茂一が一番気になってるかも
センドーにイサキ勧めてたし、新人王取るまでは良かったけど、この状態を彼はどう思ってるんだろ?
イサキチームの解散決まった時、彼はセンドーに対しどうんな風に接し声掛けたんだろ?
この横浜ドリームに対しどんな思いを抱え、どんな思いで過ごしてるんだろ?
原作時点で確か41,2歳、て事は今40半ばで今のKさんと同年代(笑)
このブログで登場するか分かりませんが、彼の心中慮ると堪らなくなる…
そんなアラフィフです(笑)
あ、もう一人気になってる人が・・・
魚住に前に座られちゃった人、かわいそう(笑)
(無駄に長くなってすみません)
この天皇杯で桜木と仙道のマッチアップ見たいです
なんでだろ…老け顔だから?
YouTubeでおすすめのブログとして紹介してもよろしいでしょうか。ずっと見てきましたが、共感できる人がいません。こんなに面白いブログはありません。
何度も申し訳ございません。コメントを載せて頂いたので一応は許可を得たと捉えさせていただきます。迷惑になるようでしたら削除致します。
コメントありがとうございます。
また、返信遅くなり申し訳ございません。
紹介自体は大変ありがたいです。
過去にも芸人さんがラジオで紹介してくれたような例もございます。
尚、発信の際は、当ブログ内の文面をそのまま載せたり、スラムダンクの画像と一緒に紹介したりする形はご遠慮ください。
何卒よろしくお願いいたします。
早々に返信いただきありがとうございます。
また許可の件、大変ありがたいです。
発信の際は上記内容を気をつけます。
引き続きブログを楽しみにしております。
宜しくお願い致します。