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  • 2023年03月23日20:00

2000年10月の編集者・K 〜編集部のスーパーサブに〜

どーも!!!

人生イチ花粉がつらい男、
編集者・Kでっす!(今年ヤバすぎないか?)


さてさて、
先日、『「あのときの編集者・K」を更新して』
なんていう、まさかのコメントをもらったので、
ものすっごい久々に更新させてもらいまっす。

いやあ、これが好きな読者がいらっしゃったとは。


ここ最近は連載的なコラムになってましたか。

この「編集者になった」っていう思い出から、
しばらくのあいだ、社会人一年生時のわしを
振りかえっていたんでしたね。




※自分で言うのもアレだけど、確かにちょっと
面白いかもしれん、この時代を感じるブラックな
ストーリー(今は違うぞ、断じて!)


で、
前回は「ついに自分のページが出来た」という
ステップアップ的なハナシを書いたのですが、
今日はその続きを思い出してみようかなと。


■2000年10月の編集者・K


自分のページが誕生したというのは、やっぱり
戦力として認められたような気がしまして、
この頃からさらに仕事が楽しくなりました。

周囲からの視線も変わったんですよね。

以前は、何か手伝うことはないかと尋ねても
「お前ごときに頼むことなど何もない」と、
一刀両断されてたのが、先輩方にいろいろと
依頼されるようになってきましたので。


「アイツ、アカ入れは出来るらしいぞ」
「アイツ、原稿はケッコー書けるらしいぞ」
「アイツ、何を頼んでも断らないらしいぞ」

どうやら、サブに付けておくと役に立つらしいと
認識されるようになったんですよね。

※3行目、ブラックだな(笑)


思い出します、
あの頃のルーティンを。


当時、我が編集部の始業時刻は11時でした。

これ、一般的にはかなり遅いですよね。

いわゆる「9時-5時」という言葉と比較すると、
出勤時間は2時間も遅かったということです。

が、
当時の編集部、11時というユルユルな時間でも、
出勤していたのは3〜4名しかいませんでした。

当時の主力の先輩方は、午前2時・3時くらいまで
毎日仕事してたので、出勤は午後になることが
ほとんどだったんですよね。


※繰り返しますが、当時のハナシですよ!!!
いまはこんなことないですからね!(マジで!)


そんななか、
わしはいつも8時〜9時くらいに出勤してました。

だーれもいません。

あ、前日から徹夜でオフィスにいる人と
顔を合わせるのはケッコーあったかな(笑)。



人のいないオフィス。

でも、仕事はドッサリあるんです。


眠い目をこすりながら机につくと、ドッサリと
ゲラ(見本刷り)とポジ(現像前のフィルム)が
置いてあるのですよ。

そして、大量のメモ。

「K、このゲラを回しといてくれ」
「K君、この写真、ピックよろしく」
「Kちゃん、ゲラにアカ転記しとていてね」


ゲラってのは、見本刷りのことでして、
ページのレイアウトのなかにテキストや画像が
入れ込まれたものです。

すげえ簡単にいうと、完成前のページですね。

これにアカ(校正の指示)を入れて直してって
校了と呼ばれるフィニッシュに向かうのですが、

毎朝このゲラが机に30枚くらい乗ってるんです。


やることは多岐に渡ります。

アカを入れるのは、編集部だけじゃなくて、
デザイナー、ライター、校閲スタッフと、
たくさんいますので、印刷所からゲラが来たら、
まずはその仲間たちに送らねばなりません。

「ゲラを回して」ってのは、このことです。

わしが周辺スタッフの各オフィスに発送の手配を
全部やっておきます。まだデータをオンラインで
やりとりするような環境はない時代です。

紙のゲラを送ってました。FAXと郵送の2段階で。



続いて、大量のフィルムたち。

写真は1点につき、だいたい5〜10枚撮ります。
カメラマンは角度を変えたり明るさを変えたり、
さまざまなバリエーションで撮ってくるので。

見たことある方もたくさんいると思いますが、
フィルムって、写真がずらーっとたくさん
並んでるんですよね。

そこから、使うやつだけ切って1枚ずつ袋に
入れていくっていう作業があるんです。

1ページに写真が10枚載るなら、納品される写真は
60〜70枚くらいあり、そこから実際に使う10枚を
切り出すという、なかなかの作業ですよ、これ。
もちろん10ページ分なら上記を10回やるという。

どういう写真が掲載に相応しいのかは、
ひととおり教えられていて、あとはもうわしに
任されちまってます。緊張しながらやってました。



そしてアカ入れ。

上記の「ゲラを回す」のターンがあれば、
その数日後に「ゲラが戻ってくる」のターンが
あるわけですよね。

デザイナーはレイアウトやカラーの修正指示を
ゲラに書いて戻してきます。

ライターはテキストの修正を。

校閲スタッフは、誤字・誤記・事実誤認の修正を。


この3か所からのアカを1枚にまとめるんです。
これが、いわゆる「転記」。

そのまま書けばいいわけじゃないですよ。

たとえば、
ライターから「ここの施設名を〇〇〇に修正」と
指示が来ていたとして、同時に校閲スタッフから
「この施設は先月の号では××という名だったが、
最新の地図には△△と書いてある」と指摘が
入ってたりするんですよ。

※プロの校閲スタッフ、マジで凄いですからね。
あらゆるデータを確認して、間違いがないかを
チェックしてくれるので。


これはもうどれが正解か分らんのですよ。

ライターさんは取材先(その施設の担当本人)に
確認しているわけですから、それが一番正しそうな
気がしますが、意外と施設担当者が正式名称を
間違えているなんてことはザラにもあるのでね。


となると、付箋の登場です。

「ここからはこう言われてて、ここからはこういう
指摘が入っています。要確認です」

みたいに書いて貼っておくのです。


さらに、わしは「きれいな正しい日本語」には
ちょっと自信があったので、先輩の書いた日本語が
汚い場合は、勝手に直したりもしてました(笑)。


こうやって、ページを回し、フィルムを切り出し、
アカ入れをするという、朝のルーティン。


ああ、
こうやって説明するだけでも疲れる(笑)


これ、なんだかんだで3〜4時間かかります。
そりゃ先輩方も自分ではやり切れんわな。

わしに押し付ける気持ちもよく分かるわ。


先輩方はおそらく13時くらいに現れるはず。
それまでに全部終わらせておかねばならない。


という状況で、机の上のゲラとフィルムの
山を見て、思わずひとりごとですよ。

「んだよ、これ…、終わらねえよ」みたいな。


でも、駆け出しの頃はちょっと嬉しいんです。
先輩たちから頼りにされている気がして。


そこからはマシーンと化して仕事開始です。

「〇〇先輩、今日は遅く出社してきてくれ」とか
祈りながらね(笑)。


8時・9時ごろからこの業務がスタート。

11時になると、テキパキ型の先輩女性たちが
ゾロゾロとオフィスに入ってきます。

※馬鹿みたいに徹夜してたのは基本、男性の先輩


「おはよー、K君今日もやってるのね」
「いつも雑用大変だねえ」


うっす、頑張ります! 余裕っす!!
とか、言いながら頑張るわし。


すると、こんな声が飛んでくるんですよ。

「Kくーん、私のゲラもお願いしていい?」
「あ、K君、私の写真も〜」


いや、できるかーい、と思いつつ

ウッス!! 余裕っす!!



あれは「スーパーサブ」だったなあ。

絶対、先輩たちの役に立ってたわ。


そう、1〜2年後、自分が主力側にまわったとき、
「あのときのKがいま自分のチームに居れば…」
と何度思ったことか。


いろいろデジタル化された今、当時のわしが
やっていた仕事って、かなり消えていますが、
でもあの頃の、いわゆる「下積み時代」は
なんだか色濃く記憶に残ってますね。

多分、いまやってもケッコー早いと思いますよ
(絶対にやらないけどさ)。


勤務時間が8時〜22時みたいな、メチャクチャな
働き方してたよなあ、当時は。

※何度も言いますが、当時ですよ、当時!!!



そんなわけで、
1年目のスーパーサブ時代の話でした。


また気が向いたら書きます。

※仕事じゃない思い出のハナシもね。



ではでは。


---

※編集者になった、のストーリーは
ここから読むとよろしいかと。



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ほか、わしの昔話、
バックナンバーはコチラです。



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2000年10月の編集者・K 〜編集部のスーパーサブに〜 へのコメント一覧

  1. 1.
    • サラダ
    • 2023年03月27日 00:07
    人に歴史あり。
    みんな下積みを経て成長するんですね。
  2. 2.
    • 編集者・K
    • 2023年04月02日 14:18
    >>1
    そういうことです!




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