準々決勝・第1試合
4thクォーター 30秒
横浜D 77
深体大 75
ラスト10分、最後のピリオド。
先制したのは、横浜ドリームス。
仙道の圧倒的存在感を生かしたパスワークから
ゴール下の福田が決めて見せた。
しかし、深体大はすぐさま返して見せた。
しかも3点を。
牧のステップバック・スリーポイントで。
道谷、実況。
《深体大、第4クォーター最初の一本は、
なんと牧のスリーポイント!!》
塚本、興奮。
《これはまた、凄いスタートを切りましたよ!
パスゲームの流れの中から、ステップバックの
スリーポイント、インパクト大ですね!!》
道谷《凄い幕開けです、第4クォーター》
塚本《この勝負、楽しみで仕方がないですね》
パチン!!!
諸星、牧の手を叩く。
「オウ!!! ナイスだ、牧!!!!」
牧 「ああ、まだまだ」
諸星 「オーケー!」
河田雅、ニヤリ。
「ここからもう一段階ギアチェンジだ」
ギラリ!
牧の目が光る。
「行くぞ」
町田 「牧も決めてきた…」
弥生 「仙道君にやられっ放しではいられない」
彦一 「アンビリーバブル…」
(いまのみんなのゲームは、ワイの高校時代の
記憶とは全く違うステージになってきとる。
進化し続けとるんや、ものすごいスピードで…)
左京 「いまのプレイ…」
佐戸 「半分予想通り、半分予想外、かなあ」
外川、ニコリ。
「牧クンが行くのはケンちゃんと同じ選択だけど
あんなシュートを決めちゃうってのはねえ。
とんでもない大学生だよ、あの子たち」
佐戸、苦笑い。
「いや、そもそも俺たちが学生だったときは、
あんなシュートの技術は存在しなかったですよ」
左京 「黄金世代ってやつか…」
佐戸 「代表で一緒にやってみたいな、いつか」
続く、横浜Dの攻撃。
清田 「よし、一本返すぞ!!」
「オウ!!!!!!」
メガホンと大声援の中、
清田がボールを運ぶ。
ガンガン・ガガガン!!!!!
「「「 レッツゴー・ドリームス!!!!! 」」」
ガンガン・ガガガン!!!!!
「「「 レッツゴー・ドリームス!!!!! 」」」
ガンガン・ガガガン!!!!!
「「「 レッツゴー・ドリームス!!!!! 」」」
越野 「頼むぜ、仙道」
魚住 「ここは一本、決めておきたいところだ」
池上 「牧たちが不気味な気配を見せてるしな」
魚住 「ああ、こうでなくちゃいかん」
越野 「…?」
植草 (どっちの応援なのか、やっぱり分からない)
ビッ! ビッ!!
横浜D、ボールを回す。
清田 (さあ、センさんをどう使っていくか…)
牧 「来てみろ、清田」
清田 「…?」
牧 「俺を倒したいんじゃないのか」
清田 (牧さん…!)
不意に牧が、声で仕掛けた。
横浜Dベンチはそれに気づいた。
大浜 「ん?」
宮ノ腹 「牧…?」
(何か話しかけている?)
塩田 「司令塔のリズムを壊しに来たか?」
(牧がスーパープレイを見せた直後の、
このタイミング、また絶妙なところで)
ビッ!!
ボールは仙道に。
清田 「倒しますよ」
キュッ!!!
動いた。
牧 「よし、来てみろ!」
キュキュッ!!!
ガタッ!!
宮ノ腹、立ちあがる。
「清田…!!!!」
清田 (勝つために、成長するために、ここに来た)
2年前の夏、
湘北高校が全国を制した。
清田は1年生の夏から全国的強豪・海南大附属高で
スタメンを務めた、いわばエリートだった。
初めての全国大会で準優勝まで駆け上がった。
その年の冬もやはり全国の決勝戦にまで進んだ。
そして、帝王と呼ばれた偉大なキャプテンから、
ポイントガードの座を引き継いだ。
同時に、前任が成し遂げられなかった全国制覇の
夢も引き継いだつもりだった。
だが、
その後、全国の頂点に立つことはなかった。
全国大会を逃したことすらあった。
(俺は勝てなかった。牧さんにはなれなかった)
自身が最高学年になった年、その座に立ったのは、
1年生時からしのぎを削ってきた桜木と流川だった。
スタート地点は自分の方が前だったはずなのに、
ゴール地点に立っていたのは自分ではなかった。
牧紳一から引き継いだ夢は、達成されなかった。
牧紳一を超えることはできなかった。
その後、全国制覇を成し遂げたふたりの男は、
バスケ人生の王道ルートを外れた。
桜木は、大学を経由せずトップリーグへ。
流川は、本場アメリカの大学へ。
当然ながら、この学年のトッププレイヤーである
清田のもとには、複数の有力大学からオファーが
届いていた。黄金世代の活躍に沸く大学リーグで
活躍するチャンスは幾らでもあった。
(それじゃあ勝てない。牧さんを超えられない。
流川と赤毛猿を倒せない)
同じく、王道ルートとは違う道を歩む男がいた。
天才と呼ばれたその男は、自チームの解散という
避けようのない理由で、華やかなトップリーグの
舞台から姿を消していた。
トップクラブはおろか、強豪大学の部活にも劣る
過酷な環境のなかで、仙道彰は戦っていた。
清田はそこに活路を見出した。
(そういう厳しさが必要だった。エリート街道は
もういらない。ここならば成長できる。ここならば
強くなれる。だから俺はここに来た)
同時に、エリート街道から外れたことで、
バスケができる幸せ、バスケの楽しさ、
失いつつあったことを思い出すことができた。
ダダッ!!!!!
清田、リングに向かって切れ込む。
牧が並走して動く。
ビッ!!!
仙道から絶妙なパスが、清田に入る。
ダム!!!!!
清田、勝負。
「ノブナガ!!!!!!!!!!」
「行けえええええーーーーーー!!!!!!!」
宮ノ腹 「待て…!!!!!」
ダン!!!!!
清田が跳んだ。
ダン!!!!
牧も跳んだ。
塩田 (ダメだ…!!!!)
宮ノ腹 (落とされる…!!!!)
空中で対峙する、清田と牧。
宮城 「……!!!」
桜木 (野猿……!!!!)
清田、ボールを持った右手を掲げる。
(牧さん、あなたは俺の目標だ)
スッ
その右手からボールが放たれる。
そのボールが、
牧のブロックの横を通過する。
牧 「……!!!!」
塩田 「おお…!!!!」
宮ノ腹 「お前…!!!!」
(牧さん、あの日のことを覚えてるか。
あなたが教えてくれた。ポイントガードの
プレイを教えてくれたんだ)
ふわりと浮かされたボールが、
リング横に向かって飛ぶ。
そこに福田の右手があった。
越野 「な……!!!!!!!!」
植草 (清田からのラインもあるのか…!!!)
仙道から清田へのパス、
清田から福田へのパス。
ドガアアアアアーーーーーーー!!!!!!!
今日何本目か、
福田、またもやアリ・ウープ。
4thクォーター 50秒
横浜D 79
深体大 75
「うわあああああーーーーーーー!!!!!」
「また出たあああああーーーーーー!!!!」
「清田から福田!!!!!!!!」
道谷《再び来ました、スーパープレイ!!》
塚本《これは凄い!!!!!!》
牧 「なるほどな…」
宮ノ腹 「清田…」
大浜 「いいパスじゃねえか」
清田 「俺は、ポイントガードだ」
続く
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スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1221) へのコメント一覧
流石!Kさん
泣きそうになった😢
成長したやんけ…
かっこいいやんけ!!!
ずっと噛ませ犬的な存在だったけど、やっと一皮剥けたんじゃないですかね。
Kさんの構想と文章力に脱帽です。
牧は偉大だが、清田は自分を見失ってはいない!
清田でウルッときたの初めて…
牧から点数を取ることで勝つのではなくチームを勝たせるPGとして牧を上回る
成長したな
Kさんいつもありがとうございます!
最終クォーターに入り仙道を中心に攻めるドリームス、外からの攻撃でじわじわと差を縮める深体大。
ここで、牧さんが清田にトラッシュトークを仕掛ける!仙道からパスが入り清田信長VS牧紳一!牧さんのブロックを交わしアリウープパスで福田が決めた〜!
良いぞ〜清田。PGとして才能が開花する中、高校時代からの活躍、挫折、清田には頑張ってほしいし、牧さんとバチバチやって欲しい。
アリウープに連続で合わせる福田も流石っす。
両チームとも頑張れ〜!
野猿かっこいい!
ウィドゥム‼︎
ここで牧を倒して欲しい!
泣かすなよ…問題児のくせに…
あの経験を財産に変えたんだろうなぁ。
清田と仙道が同じチームになってよかった。
カッコいいぞこのやろー
清田の選手としてだけでなく人としての成長も垣間見れるとは!?
仕事の休憩中にうるっときた…
その座に立ったのは
→私は今まで「座につく」か「座にすわる」という使い方に触れる機会の方が多かったのですが(王座に―の使い方がほとんどかもしれません)
「座に立つ」も同じような意味になるのでしょうか?
清田も福田も爆発し始めたし、深体大は、どー攻めたら、勝てるんやろ?
大満足です!
タイムリー!!!
Kさん、あんたやっぱ最高!!
センドーにも物語があるけど、2人にも花道たちと並走してきた続きの物語がある…‼︎
センドーだけに相手をも覚醒させる。
牧や丸ゴリに比べるとどうしても若干の幼さを感じさせられる愛知の星。
ここで大人になるか。
ある意味陵南で、福田を活かせたのは仙道だけで越野&植草ではそこまでのセンスはなかった。
もしかしたら牧、藤真、宮城、深津でも正統派故に難しいかもしれない。ドリームズという特殊な環境だからこそ福田は試合に出れて清田は福田を活かせるだけのパスセンスとある意味、遊び心も身に着け試合に通用するまでに昇華したのかなぁとも思う
さぁ行こう(か)!!
高2最後の試合、牧のようになりたかったけど桜木流川に勝てなかった清田
今まで描かれてきた分この清田のアシストがドラマチックに映ります…
そしてノブナガがドリームスへの進路を選んだ理由。
バスケが好きなんだって気持ちと、あの応援の中でプレーできる現在。
野猿、ちとカッコよすぎじゃね?笑
それ!
ぼそっと言って欲しかった〜w
まぁ清田の感動を濁しちゃうけど。
Kの部屋の大ファンです!!
一点だけ僕の意見を。
仙道が無敵すぎると。
原作でもここまで無敵ではなかった。
だから仙道が好きでした。
だからこそ、どうしてもスラダンの続きの仙道の試合だけは個人的につまらなく思い冷めてしまう。あまり読み返さない。
生意気言ってすいません!
この試合は仙道と牧が目立ちつつも、清田や福田にも光が当たり、諸星にもサイドストーリーがあり、最高です。
ゲーム最初の一本で河田が仙道から一対一で決めたのが大きかったですね。あれで仙道最強の印象がなくなりました。
原作では最初の練習試合以外負けてばっかりなのにね、試合に負けて勝負には負けてないって感じですね
なぜだろう、これが本丸の設定のように感じるのは。
天才に嫉妬するのカッコ悪いっすよ〜
生意気言ってすみません!
どあほう
過去TO5に入る名作
1回目は山王VS海南の最後のプレー
2回目は愛知VS神奈川で桜木のパスからシュートを決めてハイタッチしたとき
そして今回
クソワロタwww
ちゃんと沢北より下のスペックに描かれている感じがします
高2から磨いてきた仲間を活かすプレイを含めた総合力で迫れればというところと
もうひとつ、続きの作中では高3時に得た「味方の潜在能力を引き出す」動きやパスがあるので、ポイントフォワードとして流川沢北を超えうるものを持っているのでしょうか
パスが究極的にうますぎるからこそ、安易にヘルプに行って出し先を作るわけにもいかず、結果として他の個人技に秀でる選手ほどダブられることがないのも
仙道の利点になるかと思います
これ鳥肌もんでした!冬の選抜決勝で海南が山王に敗れた時の牧のラストプレー。あれがこういう形で活きるとは!
まさか清田の話で、目から汗が出るとは。
横浜Dをなめんなぁ
と言ってほしい!
どあほう
その通りだと思います。
流川沢北もバスケIQや嗅覚が高くアシストや周りを活かすことができる選手ですが、どちらかというと自分のオフェンス力を活かす一つの手段としてやっている感じ
仙道の場合はチーム全体を活かす手段として1on1とアシストを使い分けている気がしますね
仙道は彦一から流川は晴子さんから
かっこいいな!!感動しました!!
それが原作なのかKの部屋なのかもはや思い出せないですが、そんなシーンありましたよね?
高校生時代出されると弱いわ。
熱い。
ほんとうに長年Kの部屋を読んでて良かった。