準々決勝・第1試合
4thクォーター 1分40秒
横浜D 79
深体大 78
清田信長、一時退場。
魚住 「これは少し心配だな」
植草 「頭を打ったようですからね」
越野、腕組み。
「アイツ、あんな一面もあったのかよ…。
王者・海南のエリート小僧だったのによ」
池上 「……。」
(そういえば、あの執念は高校時代の越野に
通ずるものがあるな。何か感じたか…)
越野 「チッ、戻って来いよ、清田」
「………。」
同様に、ざわつく場内。
「おいおい、大丈夫かよ、清田」
「ここで離脱は相当に痛いぜ」
「ドリームスはこれからどう戦うんだ?」
そして、
横浜D応援席は、しきりに声を掛ける。
ベンチ横でしばし横になっている背番号10に。
「ノブナガ!!! 帰ってこい!!!」
「お前がいなきゃ始まんねえよ!!!」
「ノブナガーーー!!!!!!」
試合は間もなく再開されようとしているが、
清田信長のダイブの余韻は全く消えていない。
会場は依然として異様な空気に包まれている。
『ビッビーーーーーーー!!!!!!!』
ブザーが鳴る。
宮ノ腹と塩田がコートに入る。
道谷が状況説明。
《横浜ドリームス、ポイントガードの清田が
ベンチに下がりました。ここで交代なのですが、
どうやら、清田と共に一ノ瀬もベンチに下がり、
宮ノ腹と塩田がコートに入るようです》
塚本、腕組み。
《ドリームスには、バックアップのガードとして
根賀君がいますが、そうではなくシューターと
センターを投入しましたか》
コート上、
横浜Dの新たな5人、
仙道、宮ノ腹、福田、ロビン、塩田が円になる。
「……。」
深体大メンバー、黙ってその円を見つめる。
ここで、深体大ベンチの唐沢から
すかさず声が飛ぶ。
「もう一度、集中! 確認しろ!」
「……!!!」
牧 「よし」
深体大の5人も円になる。
森尾、腕組み。
「ゲームは深体大のオフェンスから再開だが、
何やら微妙な空気になっていたようだな。
そこはすかさず唐沢監督が声を掛けたようだが」
杉山、頷く。
「ええ、ちょっとここからゲームがどう動くか
読めませんね。清田が離脱したということは、
ドリームスのピンチなのは間違いないですが、
なにか深体大も得体のしれない空気に呑まれて
いるようにも見えますよ」
弥生、腕組み。
「さっきの一連のプレイ、
複数の要素が重なっていたわ」
町田 「その通りですね」
彦一 「頭を整理せんと…」
仙道のドリブルからの仕掛けに対し、
諸星がボールを叩いた。
この試合で圧倒的な存在感と支配力を見せていた
仙道に対するこのディフェンスは、新しい流れが
到来しそうな、まさに値千金のプレイだった。
だが、その後に訪れるルーズボール争いで見せた
清田のダイブは、それを帳消しにするほどの
インパクトだった。
この一戦に賭けるドリームスの気合いと執念を
具体化したかのような、勇敢な飛び込みだった。
町田、腕組み。
「しかし、その清田が一時離脱するという、
大きな危機にも見舞われたドリームス…」
弥生、頷く。
「とはいえ、深体大にも難しい時間帯なのかも。
どこかマインドの置き場所を失っているような」
彦一 「マインドの置き場所…」
(その通りや、なんやこのよく分からん空気は)
そんななか、
横浜Dベンチ・大浜が動いた。
宮ノ腹と塩田を投入。
大浜、いたって冷静な表情。
「予期せぬことが起きた。選手は戸惑うだろう。
ここで力を発揮するのがアイツらだ」
パンパンパン!!
宮ノ腹、手を叩く。
「オーケー、次の一本は取られても構わない。
その次のオフェンスがポイントだ。相手チームの
アタマのなかを整理させるな。すぐに攻めるぞ」
仙道 「はい」
ロビン 「 I got it」(了解した)
塩田が続く。
「タイムアウトを先に取らせるぞ、
そうすれば主導権はウチに転がり込む」
深体大の攻撃。
道谷《さあ、試合再開です》
塚本《1点差、深体大は逆転のチャンスですよ》
テレビの前の荒石、改めて気づく。
「そうか、1点差だったか」
花形 「ああ、アタマから抜けていたな…」
赤木 「さっきの時間で吹っ飛んだ感じだ」
「………。」
荒石 「深体大は、平常心でいられるのか…」
牧 「一本!!!!」
「オウ!!!」
キュッ!!
キュキュッ!!!!
両軍のシューズの音が館内に響く。
佐戸 「横浜D応援団の声が止まった」
外川 「10番クンに意識が行っちゃったかな」
左京 「会場の雰囲気が変わったな」
ビッ! ビッ!!
深体大、ボールを回す。
後半から始まったパスゲーム。
いつもの表情でいつもの通り。
赤木 「さすがだ」
荒石 「これが深体大か…」
塩田 (さすがによく訓練されている)
宮ノ腹 (ダテに修羅場はくぐってきていない)
塩田 (だが…)
ビッ!!
ボールがハイポストの河田雅へ。
塩田 「まだ甘い」
バシイイイ!!!!!!
突然、後方から手を差し出した。
これがボールを叩いた。
河田雅 「…!?」
道谷《おおーーーっと、手が出ました!》
塚本《塩田君、一瞬の隙も逃しません!》
荒石 「な…!!」
赤木 「河田が…!!?」
(いま、どこに隙があったというんだ…!!)
「なぜ」の答えを探す時間はない。
ゲームは動いている。
「オウ!!!!」
こぼれ球を宮ノ腹が拾った。
そして、次の瞬間、前線に大きなパス。
ブン!!!!!!
「……!!!!!!!」
町田 「速攻…!!!?」
弥生 「突然のギヤチェンジ…!!!!」
ロビン・フレッチャーが走っていた。
唐沢 「戻れ!!!!!」
だが、間に合わない。
ダン!!!
ロビンが跳ぶ。
「おおおおおーーーーーーーー!!!!!!」
「これは…!!!!!」
ドガアアアアーーーーーーー!!!!!!
ノーマークから、ボースハンドダンク。
4thクォーター 1分55秒
横浜D 81
深体大 78
「うわあああーーーー!!! ダンク来た!!!」
「ここでまさかの速攻…!!!!!!」
「深体大、ターンオーバー!!!!!」
そして
『ビビーーーーーー!!!!!!!!!!』
ブザーが鳴った。
道谷《深体大、タイムアウトです!!》
塚本《いやあ、これはまさかの展開…!!!》
茫然とする深体大三銃士。
牧 「……。」
諸星 「チッ…」
塩田 「くぐった修羅場はお前らの比じゃない」
河田雅 「……。」
佐戸 「塩田…」
左京 「魅せたな、オジサンの力を」
塩田 「タイムだ、戻るぞ」
宮ノ腹 「オッケー、狙い通り!!」
福田 「おお…」
仙道 「凄いな…」
大浜 「よし」
(ウチにあって深体大にないものがこれだ。
奴らの経験がこういう場面でモノを言う)
一ノ瀬、ベンチサイドへ。
横たわる清田に声を掛ける。
「点獲りましたよ、また3点差です」
清田 「オウ」
親指を立てる。
氷嚢が乗せられ、鼻から上の表情は不明だが、
口元はニヤリと笑っていた。
「俺が戻るまでリードしててくれよ」
沖縄の少年たちは、また不安げにつぶやいた。
「また追いつけなかった…」
「オジサンたち、負けちゃうよ…」
続く
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スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1223) へのコメント一覧
更新されていたのでビックリしました‼️
ありがとうございます♪
どうか無理なさらずにお身体の方、ご自愛くださいませ。
次回の更新も楽しみにしております⭐️
その時は仙道に対して牧がつくのかそのまま諸星がつくのか
タイムアウトで確認するだろうけど、それを見越してタイムアウトで選手交代して惑わしてくるかも?
天才の予想…「ベテランがいるからだ」
Kさんいつもありがとうございます!
ルーズボール争いから清田が負傷しゲームメーカー&ムードメーカーを失ったドリームス。
これはまずい、陵南越野や観客が心配する中、ドリームスは海南コンビ清田&一ノ瀬が下がりベテラン宮ノ原&塩田がコートに戻ります!
根賀が入ると予想しましたが読めん、全く読めん!
両チーム異様な空気の中、雅史のボールを塩田がカットし宮ノ原がタッチダウンパスでロビンがダンクを決め3点差に広げ深体大がタイムアウトをとりました!
経験豊富な監督もそうですが、ミヤさん、シオさん、ロビンも本当凄いです。
タイムアウトをとった深体大!この流れをどう食い止めるか、ドリームスはメンバー的に久しぶりにまたあのプレーが見れるか!
海南の2人が戻り若手の清田 根賀 仙道 福田 一ノ瀬というラインナップも見てみたい!
両チームとも頑張れ〜!
コレはコレでどんな修羅場くぐってきたのか気になる。
まぁ本大会も予選から勝ち上がってきてて修羅場と読み取れるけど。
僕も、がんばれます!!!!!
せめて、決勝戦だったら良かったのになぁ
まさかの更新(^^)
ベテランかぁいぶし銀?
30歳でしたかね?
私、長男32歳(笑)
仙道が凄いのは知ってる
けど、牧頑張れ〜
ありがとうございました(^^)
とはいえ本来の深体大たる河田(弟)の出番はまだあるはず。
むしろどちらもまだ、ジョーカーを残した状態に見える分僕なんかじゃ予想できない結末になりそう
沖縄の少年と沖縄出身の根賀は関係あるのかな。
続きが楽しみです。
横浜ドリームスのスポンサー会社の令嬢との結婚で婿入りしたのだ。
旧姓を知っている清田は今だに宮さんと呼ぶことがあるが、チーム内のルールでは禁句である。
牧「早く出てこい!高校時代からの因縁の対決だ!」
神「待ちくたびれましたよ」
ドリームスにも勝って欲しいけど、深体大にも勝って欲しい(>人<;)
ヤスとか
池上は入学時点で関東3部とはいえ続けましたが、植草と越野が続けている様子がないのが寂しくもあります
スラムダンクの続きとは関連ありませんが、Kさんおよびバスケ好きの皆さまに、本日公開の映画をご紹介します。
『AIR』という作品で、マット・デイモン演じるナイキの元重役であるソニー・ヴァッカロが、NBAデビュー前のマイケル・ジョーダンとの契約を勝ち取り、エア・ジョーダンを誕生させた秘話を描いています。
中でも、競合で当時のバスケシューズシェア1位と2位だったコンバースとアディダスではなく、ナイキが契約を勝ち取った、プレゼンでのソニーの熱烈ラブコールのシーンは必見で、心が揺さぶられて熱くなること間違いなしです。
興味のある方は、ぜひご覧になることをおすすめします。
記事とは関係ないコメントを、失礼しました。
お笑いセンス「ゼロ」でしょ(笑)
桜木が赤木にリバウンドの大事さを教えてもらったように、清田も牧からルーズボールの大事さを学んだのかもしれませんね。
このセリフ……。頼もしすぎる…!!
鳥肌モノです。