準々決勝・第3試合
4thクォーター 1分55秒
青学大 61
東京P 77
森重が決め、神が決め、青学大が追い上げるも、
東京Pは、森尾がすかさず獲り返す。
追い上げを許さない。
時にプロをも凌駕するプレイを披露する青学大の
選手たちは、紛れもなく本物だった。
この稀代の大学生チームを率いる名将・陸川は
敵軍最年少プレイヤーが見せる無限の能力の前に
一度観念しかけるも、自軍の選手もまた想像外の
能力を持つことを再認識し、考えを改めた。
そして、東京ペイサーズのベンチは、
「並のクラブなら喰われる」と彼らを称賛した。
だが、
宇野 「ウチは東京ペイサーズだ」
東京ペイサーズは並のクラブではなかった。
彼らはBリーグ屈指の列強だった。
道谷《東京ペイサーズ、力を見せつけます》
塚本《これが彼らのキャリアなんでしょうねえ》
道谷《選手の表情も落ち着いてきましたか?》
塚本、ニコリ。
《ええ、先ほどの森尾君のスリーポイントは
それだけ大きな一発だったといえます》
VIPルームが動く。
「おそらくこのゲーム自体は東京ペイサーズが
制すだろう。だが、我々の視点はそこにはない」
「全力で戦っている選手には申し訳ないが…」
前置きの上で、考え方を述べる。
「我々が見定めねばならないのは、黄金世代から
どの選手をナショナルチームに呼ぶか、だ」
「はい、ゲームの勝敗よりもそれが優先されます」
「青葉学院大学には、代表レベルでプレイできる
選手が複数名いることが、改めて確認された。
いや、彼らの能力は戦前の想定以上だった」
「その通りですね。そして東京ペイサーズ側にも
恐るべき大器を発見できました」
「彼の潜在能力もまた戦前の予想を超えていたな」
ビッ!!
藤真が東京Pディフェンスを切り裂き、
ゴール下の森重にボールを送る。
「またもやインサイド!!!!」
桜木を背負う形の1対1。
牧 「ナイスパス、そしてナイスポジション」
河田雅 「この形に入れば、森重だ」
バス!!!!
青学大 63
東京P 77
「おおおおおーーーーー!!!! 強い!!!」
「第4クォーター、森重の得点が目立ち始めたぞ」
町田 「藤真のパスが絶妙だった」
弥生 「森重君の使い方は天下一品ね」
VIPルームの会話。
「藤真健司、彼も代表合宿に招集できる選手だ」
「はい。思い返すと、ほぼミスをしていません。
専翔大の深津と並ぶ正統派のガードといえます」
ビッ!!!
森尾がワンフェイクでディフェンスを動かし、
中にボールを入れる。
ハイポストに走りこんだ桜木が受け取る。
「さあ、桜木vs森重!!!」
「このふたりの勝負、白熱しているぞ!!!」
キュッ!!!
桜木のシュートフェイク。
森重が一瞬反応。
ダン!!!
桜木、ドリブル一発でゴール下に飛び込む。
赤木 (森重が背後から来ている!)
三井 (微妙なタイミング、追いつくか…?)
桜木、速いモーションからワンハンドシュート。
バス!!!!
青学大 63
東京P 79
「おおお!! 桜木、返した!!!」
「いや、でも今のはダンクだろ!!!」
「桜木!! もっと派手なことやってくれよ!」
森尾 「まあ、それは次ってことでな」
桜木 「フン」
森尾 (コイツ、見事な選択だ)
町田、ニコリ。
「ダンクに行ったら、ブロックされてたぜ」
モニタには、リプレイが流れている。
桜木のシュートの直後に、森重の後方からの
ブロックが空を斬っている。
画面を確認する彦一。
「これは桜木さんが昔から使っていたシュート。
そうや、時間をかけると叩き落とされる恐れが
あるときは、こうやって撃つんや」
弥生、頷く。
「これはそのまま、国際試合でも使える技術だわ。
高校時代に森重君やカマラ君と戦ってきた経験が
桜木君に必要な技術を与えているのね」
(桜木君以外にも、きっとこういう例があるはず。
なるほど、世代全体がパワーアップするわけね)
道谷《両軍、譲りません》
塚本《ハイレベルな攻防が続きますね》
時間は経過していく。
点差は動かない。
そして、
『ビビーーーーーーーーーー!!!!!!!』
4thクォーター残り5分、
オズボーンに代わり、杉山がコートに入る。
4thクォーター残り4分、
与野に代わり、脇田がコートに入る。
佐戸 「選手を入れ替えてはいるが…」
左京 「高さのアドバンテージは削らない」
外川 「そして、ベテランは外さない」
道谷、問う。
《塚本さん、このベンチワーク、さすがですね》
塚本、答える。
《その通りですね。プレイタイムが多くなった
オズボーンに代わって若い杉山君が入ってくる。
そして、厄介な存在だった与野君が外れても、
代表経験のある30歳・脇田君が入ってくる、と。
体力と経験値、双方のコントロールが抜群です》
残り時間2分、
桜木の1対1からのパスに杉山が合わせる。
「また桜木のパス!!!」
「杉山、完璧なタイミングで受け取った!!」
ダン!!!
森重が必死にブロックに跳ぶが、
それを待っていたかのように、
杉山がファウルゲット。
『ピピーーーーーーーッ!!!!!!』
「……!!!!!!!!!」
これが、5つ目のファウルだった。
4thクォーター 残り1分56秒
青学大 68
東京P 83
「うわあああああーーー!!! 5つ目…!!」
「森重……!!!!!」
「というか、杉山が上手い…!!!!!」
道谷《ここで森重退場…!!!!》
塚本《うーん、ここまでか…!!!!》
道谷《25歳ながら老獪な杉山のプレイ!》
河田雅 「さすがは杉山さん」
牧 「これはトドメだな」
杉山 「ふぅ…」
(こういうプレイも磨いていかなきゃな…、
代表での俺の居場所はなくなっちまう)
桜木 「ずる賢さは最強だな、オスギ」
杉山 「褒めてんのか、それ?」
(まあ、その通りずる賢くやっていくさ。
森重やお前みたいなのがいるんだから)
ラスト2分、
青学大は最後まで戦い続けた。
終盤、意地とも執念ともいえる
スリーポイントシュートの連発を見せる。
神、家村、藤真、立て続けにゲット。
「うおおおおーーーーー!!! 3連発!!!」
「ここで、それが出るか…!!!!」
「とんでもねえ奴らだ…!!!!!」
「いや、まさにこれぞ青葉!!!」
4thクォーター 残り18秒
青学大 77
東京P 87
「10点差まで来た…!!!!」
「だが…」
「時間がない!!!!!」
佐戸 「よくやったよ、青葉学院」
外川 「ウチがやったら危なかったかもねえ」
赤木 「俺たちは20点以上離された」
花形 「そうだったな」
三井 「さすがだぜ、チキショウ」
(そういやウチも大阪サンズに20点以上離された)
河田雅 「全く勝ち目がなかったわけじゃないな」
諸星 「ということは、俺たちも…」
牧 「もちろんだ」
ガン!!!!!!
青学大、最後のシュートが外れる。
リバウンドは桜木花道。
『ビビーーーーーーーーーー!!!!!!』
試合終了のブザーが響き渡るなか、
桜木は小さなガッツポーズを見せたあと
ボールをレフェリーに渡した。
道谷《試合終了ーーーーーー!!!》
塚本《いやあ、ナイスゲーム!!!》
道谷《制したのは、王者・東京ペイサーズ!》
塚本《しかし、青葉もよく頑張りました!!》
洋平 「ウイニングボールってやつか、花道」
高宮 「最後のおいしいトコ持って行きやがった」
大楠 「間違いなく一番目立ったよな、花道…」
野間 「凄えよ、アイツ。ホントに…」
高宮 「なんだか超久々に喋ったような気が…」
洋平 「ん?」
高宮 「いや、何でもない」
藤真、天井を見上げ、大きく息を吐く。
森尾は神に、杉山は森重に握手の手を差しだす。
陸川、優しい笑顔で手を叩く。
宇野、苦笑い気味の表情で手を叩く。
試合終了
青学大 77
東京P 87
道谷《昨年度リーグ覇者の東京、準決勝進出です》
塚本《やはり彼らが優勝候補筆頭でしょう!》
道谷《明利大戦に続き、黄金世代を撃破しました》
東京ペイサーズ、天皇杯ベスト4進出決定。
青葉学院大学、準々決勝敗退。
続く
--
|



スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1258) へのコメント一覧
素晴らしい更新ありがとうございます!
Kさんいつもありがとうございます!
神&森重をコントロールする藤真さん、天崎のディフェンスもある中ベテラン勢&花道で青葉以上に点をとる王者東京ペイサーズ!
第4クォーター藤真さんのパスが冴え渡り良位置で花道から決め続ける森重。森重をフェイクでかわし、素早いシュートで決める花道。この2人底がしれん!
花道&モーリーのコンビプレイでここで森重が退場!だが青葉は諦めずにラスト2分神・家村・藤真と連続でスリーを決め続けるが及ばず10点差でペイサーズが準決勝へ駒を進めました!
ペイサーズも青葉も両チームとも迫力のあるプレーを見せてくれてありがとう!藤真さんのコントロール、神のディープスリー、森重のパワープレイ&ブロック、天崎も湘北時代同様諦めずに速攻に絡み、森尾さんをマークしつづけました!
あと残すは4試合目樽瀬兄率いる大阪サンズVS次シーズン深津&三井が加入する横浜ネッツ。王者の挑戦権を得るのはどちらか?ワクワクドキドキです!
両チームともお疲れ様でした!
このあとの深体大との試合もしっかり描くのか、
ハイライト気味に飛ばして次のステージ(ナショナルチーム編)へ向かうのか、
はたまた…。
とにかくこれからも楽しみにしております!
本試合もめちゃくちゃおもしろかったです!
次も楽しみにしてます!
ナショナルには誰を選ぶんだろ?ここまでだと技術では赤木達の大学4年世代でしょうがポテンシャルは桜木達や仙道達の世代のが上に描かれてますね。正直桜木、仙道、流川がいればノイバウアーのドイツにも勝っていたかもしれないですね(アメリカはさすがに無理かな)
誰が代表候補に残り、誰が外れて、そして、引退なんか見えてくるのか。Kさんはどこまでお描きになるつもりなのか、気になります。
モーリーや杉山さん×オリジナル世代のコラボまでか、
フルのオリジナル世代までか、
天崎やいまの高3までが代表に合流するまでか、
はたまた、桜木たちの引退までか、楽しませてください!
今日もありがとうございました!
自軍の選手もまた想像外の
↓
自軍の選手もまた想定外の
とかでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
相手のPGいるにも
関わらずちゃんとパス出してるな
当然って感じで忘れてました
伸び続ける桜木が頂点に立つのは早すぎるでしょう。
とりあえず招集は 藤真、神、森重は確定か
牧、河田兄、仙道?
残念ながら赤木、宮城、三井はダメそう
改行を使ってね。
読み難い。
何故?
大学日本一だから
赤木、宮城は入れて欲しい。
藤真、神は何となくフィジカルが弱い印象
思いだせん…
失礼しました!
一応「天皇杯の試合」と「ナショナルの話題」で分けたつもりだったのですが、あとはどこで使えば良かったでしょうか??
彼らの能力を見てるとなんで明利に負けたんだってなっちゃうわね
手術やハードな仕事など、多大なご苦労がありながらの更新およびその継続に大変感謝しております。
これまでもずっと感じていたことですが、読ませて頂いている作品は「文章」ですが、私の脳内では完全に「マンガ」です。原作のキャラやストーリーに加えて、原作には登場しない人物に関しても、多くは実在の人物も想定されており、また、新登場のキャラに関しても色が鮮明に書かれていますので、自然に「脳内動画化」できます。プレイに関しても同様です。
このような作品はとても貴重です。これからも無理のない範囲で執筆継続して頂けることを願っております。よろしくお願いいたします。
センスや個人の能力的に仙道、沢北、桜木、流川、森重の5名は黄金世代の中でも別格というか突出した存在で描かれていて、
彼らの少し下というか、総合力や支柱感、安定感枠で牧、河田兄、深津、神がいる印象。
桜木流川以外の湘北3人については現時点で、
赤木→河田兄と遜色なし
三井→神と同格
宮城→藤真と同格かそれ以上という感じなので、候補に普通に挙げられるレベルなのかなと。ただ、3名とも牧らに比べムラがあるor少し偏りがあるタイプなのでどう評価されるかですね。
・横ドリ対深体大 →深体大
・名古屋対三河 → 三河
・東京対青葉 → 東京
残りは
・横浜ネッツ対大阪サンズ
樽瀬がいるから大阪が勝ち上がりそう
すげぇ
キャラの特徴がまさにそんな感じの印象を受ける
オレは湘北を全国に導いた男だ。
ナショナルチームでこそ、オレが覚醒する所だぜ
森尾さんとトリプルシューターで来季のBリーグに旋風を撒き散らしてやるぜ
どんな序列になるのか
満員でした‼️
これで8回目の鑑賞なのに、感動で泣きそうになりました‼️😂
Kさんをはじめ、ご覧になった方はいらっしゃいますか❓
何に対する「何故?」ですか?
何故?TOP10に入るのか
→Kの部屋スラムダンクを1話から読み続けてきて感覚的にそう感じたから。
感覚的にTOP10に入る試合
湘北vs海南(桜木1年冬)
青葉vs深体(関東学生トーナメント)
宮城・桜木vs荒石・天崎(恒例行事)
湘北vs翔陽(桜木2年夏)
湘北vs山王(桜木2年インターハイ)
陵南vs名朋(桜木2年インターハイ)
日本vsアメリカ(ユニバ)
明利vs深体(インカレ)
横浜Dvs深体(天皇杯)
何故?やっぱ桜木の活躍が嬉しいのか
→好きなキャラクターだけど高卒後の出番が少なめだから。
巻き起こすのではなく、
撒き散らすのか
森重「次は俺が勝つ」
桜木「次か…俺はアメリカに行くからしばらくないかもな」
森重「!?」
桜木「お前も来いよデカ坊主」
みたいな展開を期待。
森重残ったままなら来年は青葉1強。宮城と同じく森重も世界に出てほしい。
ありがとうございます
3Pがおもいっきり外れたから
ある種強さに波があるのも青葉
あとはまぁシンプル明利のディフェンスが良かった。
今回のようなディプスリーとかは対戦時なかったのもですし、あとは宮城がガードとしてよかったですからね。
どこでそう思ったんです??
ドリームズ負けたしまだ先かと思いますが、むしろ世代別とかをもしするならそこでチームとして仲間の展開の方が早い気が…
リニューアルの方の深体大vs青葉大も大好きな対戦なので、最近は楽しみが倍増されております。
ところで、最初と最後の方の、得点と時間が書かれたところで、時間が1秒増えています。
ご確認をお願い致します。