「オウ!!!」
「ヘイヘイヘイ! 声出していこう!!」
「ディフェンスしっかり! 足動かして!!」
2月中旬、青葉学院大学。
真冬ながら、熱気溢れ湯気も立ち上る体育館に、
男たちの声が響き渡る。
天崎 「さあ来い、サンシロー!!」
須形 「っす!!!」
藤真ら4年生が抜け、チームの中軸となる天崎、
そして、4月からこのチームの一員となる須形、
ガードのポジションで対峙する。
目下の照準は、4月に行われる関東大学選手権、
昨年王者の彼らが目指は、当然ながら「優勝」。
つまり「二連覇」である。
彦一 「みんな、ええ声が出とるなあ」
弥生 「今年も強いわよ、青葉は」
コートサイドには、取材に来た週刊バスケ編集部。
相田彦一にとっては、高校時代からよく知る選手が
ここにふたり揃っている。
彦一、しみじみと独り言つ。
「桜木さん・流川君と全国制覇を成し遂げたふたり、
今年の大学リーグでも、きっと大活躍やろうなあ。
かつての敵ながらワイも嬉しいで…」
弥生 「かつての敵…?」
(間違っちゃいないけど、アンタはコートでは
ほとんど戦ってなかったでしょ…)
が、
目の前のコートに、神と森重はいない。
彼らがいま身を置くのはBリーグの舞台であり、
間もなく始まる日本代表の強化合宿だからだ。
練習後、
天崎 「うーす、彦一さん、お疲れさまでっす!」
彦一 「今日も元気一杯やな、天崎君」
天崎、ニコリ。
「そりゃあもちろん、やる気満々っすから。
日本代表候補がふたりもいるチームですよ。
優勝しなきゃ噓でしょ」
そして、須形。
「自分は最後の大会で山王に負けちゃったんで、
春のトーナメントは優勝したいです、やっぱり」
弥生、レコーダーのスイッチを入れる。
「4月には、神君と森重君も戻ってくるわね。
プロリーグのキャリアを踏んだ彼らとのプレイ、
楽しみなんじゃない?」
天崎、真顔に。
「自分たちも練習積んでますから。神さんたちが
驚くくらいに成長して待ってますよ」
彦一 「お!」
弥生 (森重君は驚く感じないけど)
天崎 「な、サンシロー」
須形 「はい、今年も空いたら撃ちます」
弥生、ニコリ。
「いいわねえ、期待してるわ」
その後、
「優勝候補は、やっぱり青葉かなあ」
「あとは、深体大、明利、それから拓翼?」
取材を終え、編集部に戻るふたり。
電車の中で会話を交わす。
日本代表候補の神&森重に、元湘北高の
強力なバックコート陣を擁する青学大。
大学界で最長身のセンター・河田美紀男に、
樋口、伊達健ら有力選手が揃う深体大。
渡邊拓と伊達翔、Bリーグ特別指定選手の
ふたりを軸に王座を狙う拓翼大。
島袋&荒石の矛盾コンビが注目を集める、
昨期インカレ王者の明利大。
このあたりが間もなく新シーズンを迎える
大学バスケ界の優勝候補とされている。
が、
彦一 「ここに宮城さんもおったらなあ…」
明利大の最大の武器、宮城リョータがいない。
おそらくはこれからの大学バスケ界において
最強のポイントガードとなっていたであろう
この小さな司令塔は、チームを離れていた。
「ホッホッホ、宮城君、
思い切った決断をしましたね」
かつての恩師の、懐かしい独特の笑い声。
電話を片手に宮城リョータは少し照れ笑いし、
思わず人差し指で鼻をさすった。
「やるだけやってみますよ。って、最大の難関は
バスケよりも英語だと思いますけど」
安西光義は、告げた。
「宮城君、絶対に諦めないことですよ」
宮城 「はい」
明利大学で司令塔を務め、インカレを制覇した。
ユニバーシアードでは、あのアラン・アーバインと
マッチアップした経験も持つ。
キャリアは申し分ない。
国内ではこの上はもう無いといってよいレベル。
だが、編入のタイミングとしては遅すぎる。
もはや障害だらけ、試合に全く出られずに終わる
可能性も十分にある。
だが、安西は否定しなかった。
「いまの君なら、きっとアメリカでも活躍できる。
何があっても、自分を信じてください」
宮城 「先生…」
宮城は、かつての安西の教え子、谷沢龍二の
存在を耳にしたことがあった。
だが、米国留学に苦い思い出があるはずの安西が
いま自分の背中を押してくれている。
「それじゃ先生、ちょっといまから
走ってきますので、このへんで」
「ふむ、そっちは朝かな?」
「はい、寒いっす」
「ホッホッホ、くれぐれも健康には気をつけて。
宮城君の成長、楽しみにしていますよ」
「先生こそ、お体には気を付けて」
電話での会話、繋がっているのは音声のみだが、
宮城は何度も頭を下げ、通話終了ボタンを押した。
宮城 「ふぅ…」
グッ、グッ。
軽く屈伸をする。
(ホントに体には気を付けてもらいたいもんだぜ。
こないだ会った時も相変わらず太ってたし)
ザッ!
日本からアメリカへ、
新たな挑戦を始めた男は、元気よく駆けだした。
(流川、沢北、俺もやるぜ!)
「クション…!!」
沢北栄治、漫画のようなタイミングでクシャミ。
「ZZZZ…」
流川楓、もちろん睡眠中。
ズズ…。
静かにお茶をすする安西。
居間に置かれたテレビでは、
スポーツニュースが流れている。
《さて、続いてはBリーグです!》
《今日も話題の黄金世代は素晴らしい活躍でした。
まずは、横浜ネッツと川崎ニックスのゲームから
ご覧いただきましょう!》
画面には、軽快な音楽と共に、赤木のリバウンド、
三井のスリーポイントシュートが映されている。
スタジオ解説の元日本代表の男もふたりを絶賛。
どうやら共に大活躍だったようだ。
そして、試合後にはインタビュー映像も。
《やっぱり同級生の赤木には負けたくないんで、
自分の武器のシュート力を磨いて頑張ります》
《自分には三井のような技術はないですが、
やれることをしっかりやってチームに貢献します》
安西 「ふむ…」
《せっかくなので、握手で終わりましょうか》
《え…!?》
赤木と三井は、インタビュアーのリクエストに
一瞬驚きつつ、互いにコブシを差し出す。
ゴツン。
そして、余所余所しくその手をぶつけた。
画面がスタジオに切り替わる。
《最後は何かちょっとぎこちなかったですが、
いまのインタビュー映像でもありました通り、
赤木選手と三井選手は、高校の同級生なんですね》
《その2人がプロで戦うとは素晴らしいことです。
高校時代の先生も喜んでるんじゃないでしょうか》
安西 「……。」
ズズ…。
再びお茶をすする。
《そして、リーグ1位の東京ペイサーズです》
《ご存知、真っ赤な頭の名物男、桜木花道は
今日も魅せてくれました》
画面には、桜木のブロックショットの映像。
外国人選手のシュートを豪快に叩き落とす。
瞬間、観客席は総立ちに。
《日本代表強化合宿でも最も注目される桜木。
今後もそのプレイからは目が離せません》
画面には、右腕を突き上げ吠える桜木の姿。
続いて、スタジオの会話。
《この桜木選手、先程の赤木選手・三井選手と
同じ高校の後輩なんですよね。面白い物語です》
《3人とも今度の代表合宿に招集されています。
もしかしたら、日の丸のユニフォームを着て
揃い踏みなんてこともあるかもしれませんよ》
《それは楽しみですねえ》
「楽しみですねえ〜、先生」
安西 「…?」
振り返ると、そこには妻の姿。
「Bリーグに3人、アメリカに2人、
本当に凄い子たちね」
安西 「指導者がよかったかな」
「まあ…」
かつて「全日本」と呼ばれた、日本代表。
その全日本のキャリアを持つ男に指導を受けた
若きプレイヤーたちは、いま別々の道を歩み、
国内外で新たな戦いを続けていた。
そして、国内でしのぎを削る三人は、
間もなく、日の丸の元に集結する。
続く
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スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1283) へのコメント一覧
リョーちんはもぉ向こうに渡ったか。
湘北組の活躍は嬉しいよね
同じくです!!!!
「続く」に安心!
そして、次への期待!!
横浜の河村やポジションは違えどネブラスカの富永が挑戦する時代ですもんね。。その前に富樫が挑戦したのもあるし個人的に全然あり
しかし安西先生が目を細めているのが伝わるいいお話でした。
映画公開後に即座に宮城の留学のことがでたのは鳥肌立った!K氏的には明利を優勝させてて良かったよね。辻褄が合う。
日本代表で、5人がコートに立つ姿が。
ありがとうございます!!!!!!!!!
まさにこの上ない道楽だ
このくだり、素敵でした!
りょーちん、頑張って👊
宮城頑張ってくれよ。
世界が広がってるんだから。
5人がよかったですー(´・ω・`)
さすがにないだろうけど、
あったらアツいよね。
詳しくないからわからんけど奨学金とか貰える成績はないだろうし、スポーツ枠とかあるんですか?交換留学?学校の制度とか利用しない自費だったらめちゃくちゃ金かかるし
なんにしてもそんな短期間に決めて行けるもの?
Kさんいつもありがとうございます!
強化合宿のメンバーが発表されて、ワクワクドキドキの展開です♪舞台は青葉学院大学の練習中を相田兄弟が取材中。神や森重がプロに行く中、湘北戦士の天崎&須形のガードの1on1良いですね〜!
春のトーナメントを戦う4強が出揃う!神•森重•天崎を操る須形の超攻撃形の青葉。美紀男、樋口のゴール下で伊達健が外から攻める天皇杯ベスト4の深体大。拓也、金山、三苫を翔太が操る拓翼。インカレを制した島袋&荒石の矛盾コンビの明利!春のトーナメントが楽しみです!
そして明利大学で司令塔としてインカレを優勝に導きアメリカに行く宮城リョータと恩師安西先生の会話、Bリーグで活躍中の三井と赤木の対戦、リーグで大活躍中の花道の活躍きた〜!
先生から宮城への言葉、諦めないこと!先生の言葉にこちらも涙を流しました。
日の丸の元に集結する3人!日本代表に赤木•三井•花道!これは期待して良いですか安西先生!
宮城が日本からアメリカへ決意をした時、くしゃみをした沢北と相変わらず寝ていた流川に笑いました。
この先の展開、プロ編か大学編か、アメリカかわからないですがワクワクドキドキで待ってます!
約1ヶ月半位すな!
稀に決行するけど面白い😁
そして展開も凄げぇー事に成ってましたねwww
凄げぇー面白いですわ😄
渡航はしててもまだ編入はしてないかもですね。
あとは琉球ウォリアーズのサポートも気になります。
あの5人が日本代表として同時にコートに立ち、あのアメリカ代表と戦うところ絶対見たい!!!
きっとそれが安西先生の夢でもあるはず。
誰か1人くらいは違う道を進んだってことにしといたほうが色んな選手にスポットが当たるからフィクションとしては全然有りやろ。
藤間を倒した時はまだ映画公開されてなかったよな?
仮に映画後だったとしてもキレイにマージさせるスキルに脱帽した。
実は映画で湘北が山王倒した時の優勝校が名朋じゃなかったとかの話しならどないするんだ?とか危惧してたのが違ってよかった。
一部では井上先生が優勝校は福岡代表とかって言ってたとかの情報あった気がするが。
表に出てないから矛盾してないでしょ!
素晴らしい流れ!!
だけど、視聴者とすると、彼らの試合での活躍がなかなか見られなくなり、桜木らとの試合は皆無となるので、残念ではあります。
留学もリアルなんだけど、ケガ、引退、移籍、バスケ以外の道に進む、というパターンがもっとあっても、とは思います。
田臥勇太は沢北ってのが井上先生の構想な気がする。ポジション全然違うけど。
宮城がマッチアップしたアラン・アーバインは、ユニバ米国代表の“ビッグ3”と呼ばれ、ドラフトでも、1位指名は確実
更に、このビッグ3は、今すぐにでも、NBAのトップとして通用し、『“ビッグ3”を獲得したチームが優勝するのでは』とまで言われる、“別格中の別格”(NBAのドラフト候補に名を連ねるだけの実績を残しているとの自負を持つ沢北ですら、別次元の扱いをしている)
現時点で、そんな“凄玉”を相手に敵わなかったからといって、悲観する必要は全く無いしと思うし
むしろ、米国で普通に通用するようであれば、わざわざ、時期的にも遅過ぎると言われる留学など、する意味が無くなるので、卒業を待たずして、Bリーグ入りすればよいだけ
そもそも、“挑戦”しようとしているのだから、宮城自身、キツいのは当然という覚悟を持っているのは勿論のこと、それを、自ら求めて行くわけだから
応援する以外ないでしょ
鋭いコメントをしたつもりのところ申し訳ございません。田臥が能代工業に入る前に沢北は作中に登場しています。
本家運営陣方と
Kさんの思想が概ねシンクロしていた奇跡
宮城ってまだ掘り下げられるよねーと
逆にこのくだりが楽しみになってきたよ
今後のことを考えると手元の技術やスピードも大事だけど。やっぱり3Pも習得しないと厳しいのかな
頑張って欲しい!
大きい選手が躍動してるのも見応えあるけど、日本人としては、小さい選手がビッグマンをきりきり舞いにしてるところも見たい!
沢北栄治、漫画のようなタイミングでクシャミ。
なんですかこれは!
日の丸のユニホームの
赤木、三井、宮城、流川、桜木の5人の
出場をコート上で短時間でもいいから
見てみたい
湘北高校、幻のシックスメンを忘れていないか?
彼の3Pが全国行きを決め、湘北が全国に知られた事を
今の湘北があるのは、彼のおかげと言っても過言ではない。
あの5人という光を支える影
まもなく、その影もアメリカに進出する。
乞うご期待!
三井(だな)
…ゴッ👊
the secondに繋がるわけですね!
『スラムダンクの続き』とリアルがリンクする今日このごろ。
kさんの想い(願い)はどれくらい実現してるのでしょうか?
貴方の書く相田弥生が不愉快で仕方ないので
キャラ変出来ないならもうださないでください。
この時を待っていたよ…。
キャラ変ってwww
普段こういうコメントはムカつく方ですがキャラ変が面白すぎるので星5つ差し上げます(笑)
これはぐうの音も出ないな
ただの理想でしかありませんが、小暮にはアナリストなどのチームスタッフとして
当時のメンバー全員関わって欲しいですよね!
ぐう!
Kさん ありがとうございます。
気が付けば私も
高血圧、高尿酸値 など
ご指摘いただいております
今後も安西先生の楽しみが今後もどんどん増えて行きそうですね!
そろそろアメリカ組の様子が見れそうですかね??
続きが楽しみ(*^^*)
Kさん、いつもありがとうございます!
お体には気をつけて下さいね。
嘘ついちゃいけないよ