FIBAアジアカップ予選 Window1
グループB 日本×チャイニーズ・タイペイ
1stクォーター 40秒
JPN 6
TPE 0
新生日本代表、好発進。
森重がファウルを得ながらねじ込む3点プレイを、
仙道が相手の裏をかくスリーを、それぞれ成功。
フロントラインによるフィジカルなアタックと、
バックコートによるアウトサイドシュートという
硬軟あわせたスタートダッシュとなった。
そして、この6点目の直後にブザー。
『ビビーーーーーーーーーー!!!!!!!』
台湾がタイムアウトを取得する。
道谷《ああっと、台湾早くもタイムアウトです》
塚本《1分と経たない間に取らせましたね!》
「おおおおーーーーーーー!!!!!!!!!」
会場は、大きな拍手と歓声に包まれる。
完全に日本が押している展開。
「押してる、押してる!! 圧倒的だ!!」
「これはすごい立ち上がりだぞ!!!」
「そしてこの戦い方!! なんて迫力だ!!」
日本ベンチ、そしてベンチ後方の18人、
25人の男が一斉に立ち上がる。
ガタッ!!
「よーーーーーーっっっし!!!!!!!!」
やはり闘争心むき出し。
誰一人表情を緩ませることなく、鬼気迫る空気で、
吠えながら、手を叩きながら5人を迎える。
「よしよしよしよし!!!!!!!」
「まだまだ行くぞ!! 気ぃ抜くんじゃねえぞ!」
ゴツッ!!! ガッシイイイ!!!!!
ある者はコブシをぶつけ合い、
ある者は腕相撲のような形でグッと手を握り合い、
ある者は押し倒さんばかりに胸をぶつけ合う。
コートから戻った5人がベンチに座る。
その5人の前に立つ大浜。
「よくやった、スタートは悪かねえぞ」
5人は無言。
返事をするでも頷くでもなく、大浜の目を見る。
決して反抗しているわけではないだろうが、
自軍の将にすら対戦相手に向けるような顔つき。
「………。」
それを眺めるスタッフ陣には、
彼らがこう言っているように見えた。
ーー 練習通りに戦ってきただけ
ーー 良いも悪いもない
大浜、続ける。
「タイム後に相手が何をしてくるかは分からねえが
こっちは何も変わりゃしねえ。戦ってこい」
佐戸 「よし」
ガタッ!
5人が立ち上がる。
本来は作戦タイムとして使われる時間であり、
何らか策が授けられるものだが、いまにおいては
そういった類の会話はなく、ただ「継続」。
道谷、問う。
《まだ1分にも満たない試合時間ではありますが、
岡浜さん、ここまでの日本、いかがでしょうか》
岡浜、満足げに答える。
《いやあ、本当に素晴らしいですね。ビッグマンが
ああやって活躍してくれているのは、私としては
大変嬉しいことですよ》
道谷《岡浜さんらしい感想ですね》
塚本《仰るとおりインサイドは迫力ありましたよ》
岡浜、続ける。
《多くの日本人は、小さな選手が大きな選手を
やっつけるのを見たがるものですが、ああやって
日本の大型プレイヤーが相手選手を圧倒する姿も
頼もしいことだと思いませんか?》
道谷《もちろんです》
塚本《かつての岡浜さんのように、ですね》
岡浜、ここで視聴者へメッセージ的なひとこと。
《大きな選手は決して悪者なんかじゃないんです。
今日はぜひ日本のビッグマンに注目してください》
テレビの前の荒石、ニヤリ。
「へえ〜、イイコト言うじゃん、レジェンド」
須形 「でも、言われてみればそうかも」
千種 「漫画の主人公も小さな選手が多い?」
天崎 「森重さんはデカくて頼もしいのさ」
荒石 「さあ、今日は色々見ものだぜ、ゴール下」
(花道、暴れて来いよ)
『ビビーーーーーーーーーー!!!!!!』
道谷《さあ、試合再開です》
塚本《台湾はどう動いてくるでしょうか》
両チームともコートに入る5人は変わらない。
町田 「台湾、どう来るかな…」
弥生 「ポイントは絞りづらいはずよ」
町田、ニコリ。
「そうですね、序盤のインサイド攻勢のままなら
守備の重点も定められたでしょうけど、その後に
仙道が外から1発決めてますから。しかも2対1の
シチュエーションで、敢えての外ですからね」
彦一 「仙道さん…」
(あんなわずかな時間のたった1本のオフェンスで
相手に選択肢を突き付けた。これが仙道さんや)
大浜、腕組み。
「まあ、仕掛けてくるとしたらオフェンスかな。
何か思い切った作戦で来るかもしれねえ」
そのとき、コート上の佐戸が人差し指を
クイクイっと動かした。
選手を呼び、小さな円陣。
佐戸 「外から撃ってくる、距離を作るな」
コク。
仙道、河田雅、桜木、森重、頷く。
大浜 「たとえば、外か」
続く、台湾のオフェンス。
桜木花道が即座に反応した。
キュキュッ!!!
外でボールを持った相手に対し、一気に詰める。
手を挙げて密着せんばかりのディフェンス。
当然、シュートは撃てない。
「おおおおおおおーーーーーーー!!!!!!」
「突然のスッポンディフェンス…!!!!」
「……!!!!!」
台湾ベンチ一同、目を見開く。
(外のシュートを警戒してきた…!!?)
(インサイドのプレイヤーが外で持っても…!)
ボールは、陳(チェン)大豊、
100キロを超えるパワープレイヤー、
のはずが、
その陳がアウトサイドでボールを受けた瞬間、
桜木は、ピュアシューターをチェックするかの
ごとく一気に前に出た。
大浜、ニヤリ。
「誰だって外から撃ってくるんだろ」
(デカいから外はない、なんていつの時代の話よ)
スタッフ陣は再び呆然。
「いや、とはいえ大浜さんは指示はしていない」
「桜木が相手の策を読んだというのか…!!?」
そこに森尾。
「ケンだよ」
「佐戸…!?」
「佐戸さんが指示を出した!?」
大浜 「まあ、アイツだろうな」
佐戸、手を叩く。
「よしよしよし!!」
スタッフ陣、感心の表情。
「佐戸健一か…」
「コート上に、もうひとり監督がいるよ」
「しかも、大浜さんとともにイサキ自動車黄金期を
築いた男だ。言われなくとも監督の意図や作戦は
分かるんだろうな」
森尾、ニコリ。
「ケンがコートにいる時間の安心感というか、
信頼度は、大浜さんの中でも特別なんだろう」
樽瀬 「……。」
深津 「……。」
「そして、即座に実行した桜木だ…」
「いまのは速かった…」
そしてベンチ後方席の三井は、
かつての後輩に、感心の表情。
「しかし、あの野郎、外のプレイヤーを守るのも
上手くなったもんだな」
(俺ほどじゃないとはいえ)
神、ニコリ。
「1試合のうちで、俺と森重、どちらにも
マッチアップしたような奴ですからね」
与野 「ハイブリッド・ディフェンダーだっけ?」
浜崎 「そんな記事もあったな」
赤木 「……。」
(あの瞬発力は俺にはない。だが、現代バスケでは
アウトサイドに対する守備力が全員に求められる。
アイツに負けるわけにはいかない)
キュキュッ!!!!!
「チェック!!!!」
「オッケー!!!!」
ほかのメンバーも同じだった。
三井や神のようなシューターを警戒するかのように
誰に対してもハードなチェックを見せる。
台湾は攻めあぐねた。
道谷《日本、いい守備です!!》
塚本《これは24秒を狙えますよ!!!》
そして、ショットクロック残り2秒、
ガン!!!
台湾、苦し紛れのシュートはリングに弾かれる。
25人が吠える。
ベンチから客席から、身を乗り出して吠える。
「リバーーーーン!!!!!!!!!!!」
ガッシイイイ!!!!!!!
リバウンドは河田雅。
町田 「よーーーっし、守った。日本ボール」
弥生 「河田君が3番に入っていると中も強いわ」
彦一 「これは強力なフロントラインや」
(河田さんの3番起用は、もしかしたら大浜監督の
ファーストチョイスかもしれん)
道谷《さあ、日本の攻撃》
塚本《追加点、行きたいですねえ》
観衆はワクワクを抑えられない。
日本の攻撃、次は何が飛び出すかわからない。
「「「 イッポン!!!!!!!!!! 」」」
ガンガン!!!!!!!!
「「「 イッポン!!!!!!!!!! 」」」
ガンガン!!!!!!!!
「「「 イッポン!!!!!!!!!! 」」」
ガンガン!!!!!!!!
ユニバの時と同じ、
「一本」とも「日本」とも聴こえる大声援。
ダム!!!!!!
「仙道、行ったああああーーーーー!!!!!!」
「今度はドライブ!!!!!」
ビッ!!!!
「いや、引き付けてのパスだ!!!!」
道谷《ゴール下、河田!!!》
塚本《来た!!!!》
ビッ!!!
町田 「いや、ここもパス!!!!」
弥生 「佐戸さんが走りこんでる!」
バス!!!!!!!
道谷《佐戸が決めたああああーーーーー!!!!》
岡浜《いい合わせですねえ》
1stクォーター 1分20秒
JPN 8
TPE 0
まずはフロントラインのインサイド、
その後、バックコートのアウトサイド、
続く攻撃はバックコートのインサイドだった。
「うおおおおーーーーーーー!!!!!!!!!」
「佐戸も乗ってるよ!!!!」
「どこでも点が獲れるぞ、日本!!!!!」
パンパンパン!!!!!
佐戸、手を叩く。
「さあ、ディフェンス!!!!!!!」
「オウ!!!!!!!!!!」
佐戸 (絶対に、絶対に勝つ)
続く
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スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1293) へのコメント一覧
佐戸さんの指示によって花道が動いてむしろ圧倒している。
この調子じゃ台湾戦は圧勝で終わりそうですね。
この後の選手交代でピュアシューターの森尾とかを入れた
日本がどう変わっていくのか注目ですね。
スポーツは肉体的競争の場。フィジカルエリートが圧倒的優位なはずなのに。判官贔屓の価値観からからアンコンシャスバイアスは打ち破って欲しい。
怪我にだけは気をつけてほしいもんです(特に佐戸さん)
ワクワクがとまらない
この日本代表は、ユニバでアメリカに負けた日本代表チームと比較すると、心技体すべてが異なるチームとなってこのアジアの大会に臨んでいることが伝わってきます。色々な人が周囲との関わりの中で成長している物語ならではと思います。
これからも奥行のある物語を楽しませてください。
これからどのように世界相手にベールを脱ぐのか?、
Kさんいつもありがとうございます!
森重と仙道が連続で中・外で3点を決めて6点リードの日本。大事なスタートをきる日本、大浜監督の声により、このままの流れで続行。スタートの5人以外も全力で闘争心をむき出しに。
タイムアウト明け、佐戸さんが4人に指示を出し、それを受け花道が相手にシュートを撃たせない!オフェンスでは仙道のドライブから雅史へパス。更にインサイドに切り込んだミスター佐戸さんが決めリードを8点に広げました!
これは凄い!ポイントガードが変わることにより、スタイルもガラリと変わるが、樽瀬や深津が束ねるメンバーも見たいっす!
花道の守備をみて感心する三井、負けじと奮闘する赤木、応援する荒石!湘北のらしさ良いっすね〜!
大学界、明利・青葉で湘北の未来を築いていく荒石・天崎・須形の3人にはこの日本代表をみて更に上のレベルに上がってほしい!
日本の応援といえば、ミッチーの専属応援団団長堀田番長の姿が見えないが2戦目以降から応援だろうか?
日本代表頑張れ〜!
試合を開始して一分も経過していないのにも関わらず、やむなく、タイムアウト
それなのに、アッサリ、佐戸に作戦を見切られ返り討ち
メンバーチェンジが無かった以上、インサイドでのフィジカル勝負では分が悪いのは明白
となると、スラッシャータイプに頼るか、セットプレイを駆使するか
しかし、仙道、沢北や諸星と練習してきた河田兄、流川がライバルであり、身体能力が半端ない桜木の三人にとっては、相手が、相当の凄玉じゃない限り、抜けるとは思えない
この後、台湾が選手交代をしてきたとしても、前半が終わった時点で、試合の趨勢は決定づけられることになるかも
つまり、このアジアカップ予選は、新生・日本代表のお披露目大会になりそうだな
まきちゃんのことかな?
佐戸のプレイを目の前で見た河田は3Pが打て 当たり負けのしないPGであれば他にはいないPGとしても活躍できると この大会 PG河田の誕生だぁ!
桜木「丸ゴリ・・・」
赤木「河田・・・」
牧「雅史・・・」
日本代表、良い流れです。桜木花道が最初のプレイで火を付けて他メンバーも負けじと感化されて、このまま怪我なく進んでコンビプレイやベンチメンバーの活躍も見てみたいです。
桜木のマークついたり、流川のダンク止めたり、三井のレイアップブロックしたり、
本当にせわしなかった印象。
全ポジションの役割こなしていたといっても過言ではない。
急激な身長の増加で、1番から5番までの全てのポジションの“経験”があるというだけで(しかも、“高2”のインターハイの海南戦では、既に、インサイドの選手としてプレイしている)、PGの選手として、代表入りできるレベルにあるとは、とても思えない
逆に、インサイドの選手で、“硬軟併せ持つ”のは河田兄くらいなもの
仙道のPG起用ですら、賛否両論となるのに、流石に、厳し過ぎるだろ
ここから先も見ものですね。ミッチーやゴリとの絡みも期待してます🏀更新ありがとうございました🙇♀️
小さい河村が活躍するから燃えるんや
大丈夫、岡浜と比べたら、みんな小さい
ごめん、兄ちゃん
お兄ちゃんって言った事ないよね 笑
"ハイブリッド・ディフェンダー"桜木、良いですね笑
流川のオフェンス力に並ぶのは中々に困難な事と思われますが、ディフェンス力で抜きん出てほしいです。
終生のライバルの2人がいつか対峙、もしくは共闘する場面が楽しみです!
がんばれニッポン!!!
なんとなくやけど。
次回も楽しみです。