グループB 日本×チャイニーズ・タイペイ
1stクォーター 残り2分45秒
JPN 21
TPE 12
「来たあああああーーーーーー!!!!!」
「バスケットカウント・ワンスローーーー!!!」
桜木、ファウルを受けながらシュートをねじ込む。
観客席も放送席もベンチ裏も、
日本代表を推すあらゆる人間がコブシを握った。
道谷《ここで決めました、桜木!!》
岡浜《仙道から桜木、素晴らしい連係でしたね》
塚本、興奮解説。
《いやあ、ちょっと序盤の勢いが止まったような
感じもあったんですが、この一発でもう一度波が
来るかもしれませんよ! ビッグプレイです!》
天崎家、
テレビの前で一同頷く。
天崎 「まさにビッグプレイだ」
須形 「上手いなあ、仙道さん」
荒石 「敵チームにいると、超厄介だけどな」
天崎 「さあ、桜木さん、頼みますよ」
キュッ…。
桜木、フリースローレーンに向かう。
佐戸と目が合った。
桜木 「ミスター」
佐戸 「……。」
桜木 「勝つぜ」
レフェリーからボールを受け取る。
道谷《桜木、フリースローです》
塚本《しっかり決めておきたい》
ザシュ!!!!
決めた。
荒石 「よし!!」
天崎 「桜木さん!!」
1stクォーター 残り2分45秒
JPN 22
TPE 12
「よーーーーーーっし!!!!!!!!!」
「オッケー!!! 桜木!!!!!!」
パンパンパンパン!!!!!!
赤木、三井、手を叩く。
赤木 「さあ、ディフェンス!!!」
三井 「よしよしよし、止めるぞ!!!!」
日本ベンチ、スタッフ陣も手を叩く。
「さあ、行こう!!!」
そして、コブシを握る。
「これでまた日本の流れになるか」
「序盤の空気に戻したい」
が、
台湾のシュートもなかなか外れない。
ザシュ!!!
1stクォーター 残り2分25秒
JPN 22
TPE 14
道谷《台湾、ミドルシュートを決めました》
塚本、解説。
《うーん、決してフリーにはしていませんし、
チェックもしっかり入っているんですがねえ。
台湾のタッチがよくなってきましたかね》
道谷《前回大会ベスト4の台湾、崩れません》
「ああ……」
記者席からため息。
町田 「ああ、あれも入っちまうのかよ…!」
弥生 「守備が悪いわけじゃないんだけど」
町田 「微妙に嫌な感じは変わらないですね…」
彦一 「また日本の流れになると思うたのに…」
(こういう日なんか…、日本代表がどれだけ
ええプレイをしても、返される日なんか…)
日本は8点リードしている。
なのに台湾の一本に記者席は少し沈んだ。
その空気はまるで、ビハインド状態から
なかなか追いつけないときかのよう。
だが、選手は違う。
桜木 「次だ、次!!!!」
声を出し、オフェンスに向かう。
そして、ベンチ裏からも声が飛ぶ。
三井 「オッケー、オッケー、次だ、次!!!」
諸星 「入っちまうもんはしょうがねえ!!」
花形 「次、一本決め返そう!!」
大浜 「そうだ、戦え」
ビッ!!!
ボールが動く。
ハイポストの河田雅からローポストの森重へ。
ハイ&ローのパス交換。
「おおおお!!!!!!!!」
「いい形!!!!!!!」
キュキュッ!!!!
台湾ディフェンスが、体を寄せる。
バス!!!
森重、体をぶつけながらシュートをねじ込む。
1stクォーター 残り2分
JPN 24
TPE 14
このコート上で最も大きな男、森重寛。
流れも雰囲気も関係ない、とばかりに決める。
「おおお…!!!!!」
場内、どよめき。
「森重、強えええええ……!!!!!」
「普通に強えよ!! 勝ってるよ、ゴール下!!」
「ゴール下、さっきの桜木とどっちが上だ!!?」
桜木 「ぬ?」
森重 「…!?」
一瞬、視線が交錯。
桜木 「フン、分かり切ったことを」
森重 「俺の方が強い」
道谷《塚本さん、本当に頼もしいゴール下です》
塚本、解説。
《はい、この大舞台で真っ向勝負を続けているのが
凄いですよ。相手は全員が前回大会に出場していて、
経験では日本の選手たちを遥かに上回るわけですが、
黄金世代にはキャリアの差は関係ないといいますか、
まさに、彼らは怖いものなしですね》
弥生 「すごい…」
町田 「ねじ伏せるように決めやがった」
その後、台湾も得点を記録するが、
日本は再び真っ向勝負の形で決め返す。
ダム!!!
道谷《仙道が仕掛けた!!》
塚本《1対1!!》
「行けええええーーーーーーーー!!!!!!!」
観客席から声が飛ぶ。
仙道だけに、期待の形は様々。
(仙道!!!!)
(ここからシュートもパスもある!!!)
キュッ!!!
仙道のステップ、右足を横に差し出しつつ、
ボールを差し出すアクション。
「…!!!」
台湾ディフェンスが動く。
しかし仙道はパスを出さない。
モーションを止めると、次の一歩は大きく左へ。
「…!!!!!!」
「パスフェイク!!!!」
「さらにユーロステップ…!!!!!」
岡浜《おお!!!》
塚本《上手い!!!!》
バス!!!!!
相手守備を振り切り、レイアップシュート。
1stクォーター 残り1分
JPN 26
TPE 16
「上手あああああーーーーーーい!!!!!」
「あんなの止められねええ!!!!!」
道谷《これも真っ向勝負の1対1!!!!》
塚本《いやあ、これまた素晴らしい!!》
道谷《先ほどの森重といい、迷いを感じませんね》
塚本《はい、いい意味で、日本らしくないです!》
そして、
『ビビーーーーーーーーーーーーー!!!!!!』
1stクォーター終了
JPN 28
TPE 19
日本の9点リードで、最初の10分が終了。
「おおおおおーーーーーーーー!!!!!!」
「いいぞ、日本!! メチャクチャ点獲ってる!」
「勝てる、勝てる!!!!」
木暮 「確かにハイスコアゲームだ」
彩子 「このペースだと100点を超えますね」
晴子 「もうこのまま進んでほしいです…!」
木暮 「ああ、そうなってほしいな」
(頼むぞ、日本。いまはいいペースで進んでる)
第2クォーター開始まで
2分のインターバル。
日本ベンチの大浜は、腕組み。
「出来としちゃあ、まあまあってとこか」
「……。」
大浜 「若い衆はな」
「……!?」
大浜、交代を指示。
「佐戸、土屋、若穂、桜木、富沢、で行く」
これにより、仙道、河田雅、森重がベンチへ。
スタッフ陣、この采配に驚く。
「大浜さん…!!?」
(完全に攻撃の軸になっていた3人を下げるのか)
(たしかに休憩は入れていくものだが)
(少なくとも森重は残すべきなんじゃ…)
大浜、佐戸を睨むような視線で声をかける。
「お前は代えねえぞ」
佐戸 「はい」
大浜、続ける。
「俺はこの試合、まだまだもつれるとみている。
勝ってる側の言い方じゃねえが、辛抱強くいけ」
『ビビーーーーーー!!!!!!!!』
2ndクォーターが始まる。
両軍メンバーがコートに入る。
佐戸、パチンと両頬を自ら叩く。
「よし」
桜木は、佐戸にもう一度告げた。
「勝つぜ」
続く
--
スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1296) へのコメント一覧
佐戸から桜木へ魂は
受け継がれる!!
トーシーシン!
身体能力以上に、このメンタルが良い意味で日本人らしくない
敢えて、桜木を残したところが、ポイントだな
土屋も黄金世代だけど、どちらかというと、飄々としている感じだし
桜木の“トーソーシン”が、どこまで伝播するのか、楽しみだな(イライラが爆発する可能性もあるけど)
Kさんいつもありがとうございます!
相手が運良くスリーを決め停滞状態になるが、仙道さんからのパスから花道が、りょーちんばりのフェイクでバスカンをねじ込む!
流石仙道さんや、アンビリーバブルや!決めた花道も流石っす。フリースローも決め再び10点リードに伸ばした日本。
荒石&天崎が喜ぶ中、この調子ではいかず、相手は落ち着き決めるが、花道の声の切り替えにより、流れを渡さず、雅史から森重への絶妙なパスで身体をぶつけながら決めた〜!更に仙道が仕掛けユーロステップから鮮やかに決めました!
9点リードで第一クォーターを終えた日本だが、攻撃の要であった仙道・雅史・森重を下げ土屋・若穂・富沢が入ることに。
佐戸さんと花道は変えない大浜監督、監督の作戦が気になるが、佐戸さんへの信頼、花道を残したことに大きな意味があるはず!
新たに入った3人にも期待です!土屋と花道の絡みを見れるのも楽しみですし、佐戸さんがどうコントロールするか?ワクワクドキドキです。
日本代表頑張れ〜!
トーツーツソ!
>>7
トーシーシン?
トーツーツン?
そういう感じがいいなぁ
トーシンヨビコウ
深津がみたい
国内では黄金世代の壁であり強敵って雰囲気を出してたけど世界の舞台では実力云々以上にメンタルの問題でアジアですら通用してなかったんだよね
でもそれも若手に触発されて殻を破れたなら今からでももっと成長できるはず
波乱は無しだ
いつも楽しく見ています。
Kさんも無理せず頑張ってください。
アジアでは1位にならんとね、先ずは!次回も楽しみです🙇♀️
後、個人的には、他の選手を差し置いて土屋がメンバーになれた理由がずっと気になってました。ユニバーシアードの時は「潤滑油」の役割りでしたが、今回の理由はなんでしょう😆気になります♪
うまくいってるのは今だけさ、きっとどこかで追いついてくる。ああやっぱりかそりゃそうだよなこれが実力だよ、っていう思考は本当に陥りがち。
「ゴリ勝てるよな、」を
思い出しました。
佐戸に言った「勝つぜ」とは
ニュアンスが違いますが、
花道の勝ちへの執着って、
ピュアで良いですよね。
町田 「ああ、あれも入っちまうのかよ…!」
弥生 「守備が悪いわけじゃないんだけど」
このへんのところが、日本が、これまで国際試合で勝てなかった所以なのかもしれないな
台湾は勿論のこと、国際試合で実績を残してきているような国にとっては
“フリーの状態”で撃たしてもらえるなんていうことは、早々なくて
厳しいチェックを受けても、何とか得点に繋げないといけないということが、もはや、当たり前のこととして、要求されているのだろう
昔、「風光る」という野球漫画だったと思ったが、主人公の少年は、雨の日を想定して、濡れたボールで練習したり
相手投手が、“いいコース”に投げてくることなんて、ほとんど無いものとして、ボールくさい球ばかりを打つ練習をしてた
おそらく、青葉学院がスローガンとして掲げていた、“空いたら撃つ”という積極的な攻撃姿勢は、国際試合においては、基本中の基本に過ぎず
“その先”を見据えた練習を、常日頃からしていない限り、たとえ、勢いがあったとしても、それだけで、押し切るなんてことは難しいんだと思う
ただ救いは、黄金世代に関して言えば、フィジカルにおいても、身体能力においても、メンタルにおいても、それまでの日本代表を背負ってきた者達を上回るタレントが揃っているということだろう
そして、何よりも、「諦めたら、そこで試合終了ですよ」という安西イズムが、浸透しまくっていること
大浜監督の『もつれる』という予想が当たったとしても、この安西イズムがある限り、今の新生日本代表が、そう簡単には、敗れるということはないと見た
ちなみに、「風光る」では、他にも、グラウンドに異物を埋め込んで
意図的に、イレギュラーバウンドが起こる状態を作り出して、守備練習(ノック)をするなんてことも
トーンーツソ
やっぱり、主人公が活躍するのが一番盛り上がる。
将来のNBA選手として、世界に見つかってほしい
Kさんが描くふたりのコンビプレー
楽しみにしてます!!
いつもおもしろい読み物ありがとうございます。