週刊バスケットボール編集部の会議室は、
普段ならば出勤前の時間にもかかわらず、
編集部員、ライター、カメラマンなど
関係者陣で溢れかえっていた。
その会議室前方の大型モニタの目の前、
格闘技会場でいえばスペシャルリングサイドとも
いえるであろう座席には、お馴染みの三人の姿。
町田 「これに勝てば、いよいよスイート16」
弥生 「凄いところまで辿り着いたわね」
彦一 「要チェックどころの騒ぎやないで…!」
―― NCAAトーナメント
全米最強、つまりは世界最強の大学チームを決める
この大会の出場枠は「68」。
ディビジョン1〜3合計約1000校のチームから、
選ばれし者たちのみが辿り着ける大舞台である。
当然ここには、アメリカのみならず全世界の優秀な
学生プレイヤーが集まっている。この大会の活躍が
NBAへの道に繋がっていることは言うまでもない。
特にベスト16以上のラウンドは、
「スイート・シックスティーン」
「エリート・エイト」
「ファイナル・フォー」
と、各ラウンドに愛称がつけられ、ひと際特別な
位置づけとなっており、世界中の大学生にとって
最高最大の夢の舞台となっている。
そこに、
流川楓と沢北栄治がいた。
「沢北も流川もラウンド64を勝利した」
「この大会に出場した時点で、既に日本人初の
偉業なんだ。ベスト16なんてもはや“事件”だぞ」
「それが同時期にふたりだなんて…。ついに
こういう日が来たんだな。本当に長かった…」
この部屋に集うバスケ関係者の多くは、
日本が世界で打ちのめされる姿を何度も見てきた。
日本が世界の強豪相手に勝つことも、
日本人がアメリカで活躍することも、
夢のまた夢とされた時代を生きてきた者にとっては
ふたりの日本人がここに出場していること自体が
すでに奇跡のような状態である。
「バスケ界に黄金世代が現れた」
「時を同じくしてBリーグが誕生した」
「そしてNCAAトーナメントに出場する日本人が」
彦一、目を潤ませながら画面を見つめる。
「夜明けや、日本バスケの夜明けや…!」
スピーカーから米国現地の
放送席の実況が聴こえてくる。
《へい、みんな、興奮で頭を真っ白にする準備は
もう出来てるか? ベスト16を賭けた戦いだぜ》
《これを勝ったチームは、TDガーデン(※)で戦う
権利を勝ち取ることができる》
※マサチューセッツ州にあるスポーツスタジアム。
NBA東地区の強豪「ボストン・セルティックス」の
ホームアリーナとして知られている
《さあ、次の試合はトム・マイカンの登場だ!!》
《みんな、背番号21から目を離さないようにな!》
「8時からルカワ、11時から小坊主か」
モニタの前で腕組みの桜木花道。
Bリーグクラブ・東京ペイサーズのクラブハウス、
こちらも朝早くから桜木、森尾、杉山らが集結。
森尾 「言っとくが11時から練習だぞ」
桜木 「ぬ…」
与野 「流川のゴンザガ大だけ見てくかな」
桜木同様、腕組みの杉山。
「流川とフレデリック・カマラは
もちろん要注目だが、それより…」
桜木 「21番のノッポだな」
杉山 「お」
森尾、ニコリ。
「トム・マイカン。いますぐNBAに入っても
最強インサイドプレイヤーの候補になるだろう。
まさか流川のチームと対戦することになるとはな」
杉山、頷く。
「あのユニバの時から、どう変わっているか。
あの時点で既に完成されたプレイヤーだったが」
与野 (ノッポか…、まあ、間違っちゃいないが)
モニタには両軍のスターティングラインナップが
表示されている。
ゴンザガ大
G/24. テディ・ゴディ(195cm / 95kg / 3年 )
G/13. スタン・ウィリアムス (188cm / 90kg / 3年)
F/11. カエデ・ルカワ (195cm / 89kg / 2年)
F/21. フレデリック・カマラ(204cm / 102kg / 2年)
C/5. スティーブ・ハンセン(206cm/ 110kg/ 4年)
ウェイク・フォレスト大
G/8. マイケル・マクドナルド(186cm / 88kg / 2年)
G/6. ジャン・リビエール(192cm / 90kg / 4年 )
G/33. パトリック・スミス (199cm / 101kg / 3年)
F/24. マイティ・モー(202cm / 115kg / 4年)
C/21. トム・マイカン(211cm/ 110kg/ 3年)
弥生 「流川君もカマラ君もスタメンね」
町田 「以前見たトーナメントと同じ布陣か」
彦一、天井を見上げる。
「ああ、こんな大舞台のコートに、
ワイが知っとる選手がふたりも…」
弥生 「泣くのは早いわよ」
桜木 「俺と同じか…」
森尾 「ん? 何が?」
桜木 「いや、何でもない」
レフェリーがボールをトス。
《さあ、試合開始!!》
《繰り返すぜ、白の21番に注目だ!》
バッシイイ!!!!
《やはりマイカンが叩いた!!》
《さあ、ウェイク・フォレスト大のボールから、
前半の20分が幕開けだ!!(※) 》
※NCAAのルールは、4クォーター制ではなく
前半20分・後半20分の20分ハーフ制
ビッ! ビッ!
ビッ!!
ウェイク・フォレスト大は、中外でボールを回し、
当然のようにボールをインサイドに送る。
《さあ、マイカンだ!!》
杉山 「来たぞ!」
桜木 「よし、行け、ノッポ」
ローポスト、ペイントエリアのやや外で、
マイカンが相手を背負う形でボールを持った。
キュッ!!
少し体を右に振る。
キュッ!!
そして逆方向にフロントターン。
ビッ!!
右手でワンハンドジャンパー。
バス!!!!
1stハーフ 15秒
WFU 2
ZAGS 0
WFU…ウェイク・フォレスト大学
ZAGS …ゴンザガ大学
《さっそく来た! マイカンのゴール下だ!》
《ただ振り向いて撃っただけだが、あれが最強だ。
彼は基本の重要性を俺たちに教えてくれるぜ》
町田、苦笑い。
「いたってシンプルなターンシュートだが、
あれを誰も止めらないんだよなあ…」
隣席の編集部員がニコリ。
「お、解説も町田さんと同じこと言ってましたよ」
町田 「マジ?」
弥生 「やるわね、町田君」
※いつもの3人は英語は分からない
彦一 「町田さん、アンビリーバブル」
※英語ではなく片仮名
杉山 「アイツはあれを全部決めてくるんだ」
森尾 「今日も20-10のダブルダブル確実かな」
桜木 「フン」
《次はゴンザガ大のオフェンスだ》
《こっちは多国籍軍だぜ。なんと日本人もいると
いうから驚きだ。あの黒髪の11番だ》
「あ、流川がちょっと注目される」
彦一 「…!!?」
(おおお…!!! 流川君…!!!)
ビッ! ビッ!
ゴンザガ大も、相手同様にまずはボールを回し、
ビッ!!
そして、流川へ。
「来た…!!!!!!」
町田 「1対1、行きそうだぞ!!」
弥生 「オーラが出てるわね!!」
桜木 「……。」
いつぞやの会話を思い出す。
―― 桜木 「ルカワ」
―― 流川 「…?」
―― 桜木 「負けるなよ」
―― 流川 「テメエもだ」
桜木 「行け」
ダム!!!!
流川、仕掛ける。
《おっと、行ったぜ、カエデ・ルカワ!!!》
《日本人が勝負に行った!!!》
キュッ!!
そして急ストップ。
この動きでディフェンスとの距離が発生。
その瞬間、流川が一瞬リングに目を向ける。
キュッ!!
ディフェンスのスミスが前に出る。
ダム!!!!
入れ替わるように流川がドリブルイン。
弥生 「上手い…!!!!!」
彦一 「行け…!!」
町田 「行け…!!!」
桜木 (行け!!!!!!!)
流川、鮮やかにゴール下を駆け抜ける。
バス!!!!
1stハーフ 30秒
WFU 2
ZAGS 2
《おおおおお!!! ルカワ!!》
《日本からやってきた男がいきなり決めた!!》
杉山 「やったよ、アイツ!!」
森尾 「これはまた初っ端からナイスプレイ」
与野 「流川がやってくれたぜ、桜木」
桜木 「フツーだ、フツー」
与野 「フッ…」
(それ、メチャクチャ褒めちゃってるぞ)
続く
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スラムダンクの続きを勝手に考えてみる(1315) へのコメント一覧
懐かしくなりました。
本当にスラムダンクの続きみたいでかなり感動しております。頑張って続きもお願いします。
プロレス vs K―1か(パトスミを入れてくるところが、また)
桜木、今は、完全に流川を認めているんだな
以前なら、表向きには、“キツネ”と呼んでいたんだから
しかし、ゴンザガ大の1番、デカ過ぎだろ
身長は流川と同じだけど、体重は流川の方が軽いんだからな
こんなのがPGを務めていたら、さしものダンプカー・牧とはいえ、吹き飛ばされるぞ
ということは、やっぱり、宮城の“電光石火”が必要ってことか(勿論、ゴディが米国代表に入るとは限らないけど)
Kさんいつもありがとうございます!
韓国様が終わり、舞台はアメリカにうつり、NCAAトーナメントが開始。世界最強の大学を決めるためディピッジョン1〜3の合計1000以上の中から戦う。そして勝ち進むとNBAの道も開かれている中ベスト16に残る流川と沢北!凄いほんと凄い‼️
このアメリカでの放送局の実況も日本に劣らずノリノリで最高!流川&カマラ、11時からは沢北が登場、流川の試合をモニターで見る東京ペイサーズのメンバー。流川の試合を花道が見る!更に流川&カマラがスタメン!鳥肌ものです。
流川&カマラの相手はユニバで日本代表が戦った基本を中心のティム•マイカン。果たして勝ち上がるのどちらか?
マイカンがジャンプボールを制し、ローポストでボールをもらいシンプルなターンシュートで先制!攻守を入れ替えゴンザカ大は流川が勝負に行き、ドリブルからの急ストップから再びとんでもないスピードで切り込み決めた〜!
ほんと凄い凄い‼️ベスト16には早すぎるカードだが流川&カマラのチームに勝ってほしい!
この試合を見て更に花道が燃えて日本で大暴れしてほしい。
花道のおれと同じかの一言に気になりました。
花道の恒例のあだ名も炸裂しており、マイカンのあだ名がノッポは笑いました笑
ゴンザカ大学がんばれ!流川&カマラ頑張れ!
vs.仮想ダンカン。また絶対のめり込む試合が始まってしまった!
パトリック・スミスの身長と体重のことでしょうか?
3番のプレー、3Pを意識しているのでは???
は流川のマッチアップ選手パトリック・スミスの身長と体重ですかね。
桜木と同じ身体能力相手に、技術‘だけ’で対抗はしない気がするな。
フィジカルでも負けないところ見せてほしい‼︎
相手チームはマイカン以外K-1ファイター(笑)、パワー溢れる戦いが見られそうですね!
桜木とのコンビプレーが待ち遠しい!
あと流川の得点が、同じ15秒になっちゃってます〜。
こちら、よろしくお願い致します!!!
ディビジョン1〜3合計約1000校のチームから、
選ばれ者たちのみが辿り着ける大舞台である。
↓
ディビジョン1〜3合計約1000校のチームから、
選ばれ"た"者たちのみが辿り着ける大舞台である。
フツーだ、フツー!!
トム・マイカンだった!!
いつぞやの会話を思い出す。
―― 宮益 「木暮」
―― 木暮 「…?」
―― 宮益 「負けるなよ」
―― 木暮 「テメエもだ」
こんなアナザーストーリーどない?
花道は代表で99を背負うから番号は3倍大きい
体格が一緒でもおそらく花道の方が3倍はやい
赤頭の彗星!
ダンカン!
この野郎〜
心の底で思ってほしい(もちろん流川はそんな言い訳をしないだろうけど)
高さでどうしても苦戦するんだろうな
しかし、そこはスピードとテクニックとパワーとガッツで蹴散らしてほしい🇯🇵
何気にUFCトーナメント準優勝ですもんね